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2005/03/10

さて、

水の都、ヴェネチアの中心にあるサンマルコ広場。大運河をはさんでその対岸にあるサンタ・マリア・デッラ・サルーテ教会は1630年、ときに猛威をふるったペストの制圧を感謝して建てられました。

数日前まで元気だった人がある日突然黒いむくろとなってしまう、ペストは黒死病と呼ばれ大変に恐れられていました。ヴェネチアは運河の発達した水上都市ですから伝染病には構造的にも弱かったのではないでしょうか。このときのペストによる犠牲者は人口の3割ともいわれ、この商業都市の経済に莫大な損害をもたらしました。

音楽産業も例外ではありえません。市の財政状況も悪化し、教会でも専属楽士をたくさん雇う余裕がなくなります。それに加えてそもそも腕の立つプレーヤー達の多くがペストの犠牲になったと考えていいでしょう。そうした相乗効果が1630年をコルネットという楽器のターニングポイントにしてしまったのではないでしょうか。

40年には経済は持ち直します。しかし、その頃にはすでに独奏楽器として台頭してきたヴァイオリンが器楽の主役に躍り出ます。コルネットは徐々に名手もいなくなり音程の不確かな時代遅れの楽器という地位に甘んじることになります。ドイツやオーストリアなどの北の地方ではまだ長生きしたようですが、いったん下り坂となった楽器がふたたび脚光を浴びることはなかったのでした。(涙)       店長  

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