Memento Mori
「きみに読む物語」なる映画を観て「老い」ということについて考えさせられた。今朝の朝日新聞によると若年性アルツハイマーは40代からでも進行するという。恐いことだ。
どこからとははっきりと境界は引けないが、人生ある時期になると残りの時間から逆算してものごとを考えだすようになる。その残された時間をさらに記憶を失った状態で過ごすなんて残酷なことだ。いや、アルツハイマーに限らない、その他の病気や事故等でいつなんどき人生を急に終えることになるかもしれない。いつ終わっても人生十分充実してたから悔いはない、という人は少なかろう。だから昔の人たちは「メメント・モリ(死を覚えよ)」と常に戒めていたんだろう。
でも終わりの時期が知らされていないからこうやって平然と日々の暮らしができるとも言える。死神からあと何ヶ月、何日と宣告されたら狼狽してしまって何も手につかず、ただ我が身の不幸を嘆いて過ごすことに明け暮れそうだ。例え残り日数が同じでも、知らされるのと無知なままなのとでは気の持ちようが全然違う。告知はされなくていいけど終わりがあることを常に意識しておくこと、この叡智がメメント・モリという言葉に集約されている。 店長
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