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2005/07/20

音が出なかった本番

前回の種明かしの前に昔の話をひとつ

かれこれ10数年前のことです、僕らのブラスアンサンブルに結婚式披露宴での演奏の依頼がありました。当時は結構結婚式での仕事が多かったので、新郎新婦の入場に始まって、ケーキ入刀、キャンドルサービスなど式の進行に合わせて定番のプログラムがあって、演奏する我々も慣れたものです。たいていの場合、アトラクションとしての我々の見せ場の時には、チャールズ&ダイアナの結婚式の時に使われたジェレミア・クラークのトランペット・ヴォランタリーという曲を演奏していました。

これは曲名の通りトランペットが大活躍する曲で、2本のトランペットが交代で旋律を吹くというアレンジになっていて、僕らのグループはそれをY社製の2本のストレートなピッコロトランペット(アイーダのときに使われるトランペットみたいなものと思ってください)を使い、ステージの両側からステレオ効果満点でお送りするのが常でした。

さて、その曲が始まり、僕の相方が8小節テーマを吹き終わって次は僕がテーマを朗々と吹く番です。ところが、、、そう、お分かりですよね、どんなにキバってもうんともすんとも音が出ません。リハの時は大丈夫だったのに。

あわてて僕は楽器のチェックをします(ピストンを反対に差し込んでいないかとか)。その間、非常事態を察知した僕の相方は僕のパートを代奏してくれました(いい奴だ)。しかしたったの8小節では原因究明までには至りません。僕のパートも終わり、また本来の自分のパートを吹く相方。次の僕の8小節も吹いてもらって、、、。

そんな感じで、僕の楽器はたったの1つの音も出せないまま、1本のトランペットのためのヴォランタリーはバテバテのソリストと共に終了しました。

後で控え室に戻って、犯人はラッパケースに入れてあったウォークマン用の単3乾電池がトランペットに詰まっていたことが判明しました。相方を始め皆に大目玉を食ったこと、推して知るべしです。その場に居ながら音を出せなかった経験はあとにも先にもこれが初めて。でももう時効かな。   店長

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