ライヒェの残したもの
バロック時代のトランペット曲を練習していると、この時代のレパートリーにあってJ.S.バッハ (1685 - 1750) の曲たちは突出して難易度が高いことがすぐに分かります。その極め付けはブランデンブルグ協奏曲の第2番ですが、この曲に限らず、ロ短調ミサや数あるカンタータなどは難曲のオンパレードで、我々トランペット奏者たちの前に「どうだ、吹けるものなら吹いてみろ」的な厳しさで立ちはだかっているようにすら見えます。
同時代のヘンデルやテレマンの曲はこれほどまでには難しくないのですけれどもね。
バッハがなぜそんなに難しい曲を残したかについてははっきりとした原因があります。彼が教会オルガニストとして働いていたライプチヒには昔からすぐれたトランペット奏者を輩出する伝統がありました。17世紀の末には作曲家としても知られるヨハン・ペーツェルが市のお抱えのトランペット奏者として活躍、一人おいて次に1719年にそのポストに収まったのがゴットフリート・ライヒェ(1734年没)です。この人はとんでもないラッパの名手だったようで、この人が吹けるからバッハが難曲を書いたのか、バッハが書いたからこの人が挑戦したのか、そこのところはよく分かりませんが、いづれにせよ二人の共同作業により上に述べたようなトランペットのウルトラC難度の曲が量産されたという訳です。
後世のトランペット奏者たちにとってはいい迷惑ですよねー。ブランデンブルグのありえない難しさはトランペット吹きじゃないと理解できないと思います。これで今まで何人のラッパ吹きが討ち死にしてきたことか。。。。あ、私はまだまだブランデンの山には登ろうとは思ってませんから、念のため。 店長
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