目白バ・ロック音楽祭 クロージングコンサート
立教大学第一食堂にアントネッロのコンサート「ラス・フォリアス ーーフランシスコ・ザビエル時代のスペイン音楽」を聴く。
会場に着くといきなり嬉しい誤算が。チケットを予約した時は後ろの席しか残っていなくて、視覚的には諦めていたんだけど、(多分出演者の意向か)会場セッティングが変更になっていて、ホールを縦長ではなく横長に使うように、つまりステージが中央に設営されてて、その周りを取り囲むように客席が設えてあった。そのおかげで僕のN14の席はステージの左真横、前から3列目という位置に。ここだと、実はいつもアントネッロで演奏する時の立ち位置(すなわち右手に濱田さん、右奥にまりえさんを見るポジション)なので、臨場感および一体感たっぷり。とても一観客として落ち着いて見ているわけにはいかなそうだ。
今回のプログラムはタイトルにある通り、古今のいろんなフォリアスを中心にスペインゆかりの初期バロック曲をちりばめるという形式。ストラーチェのフォリアス(チェンバロ)から始まり、2曲目のセルマのカンツォンからもうすでに音楽がフリーだ。何度も聴いたことのある曲なのに新鮮な感動が。アントネッロの音楽は常に進化している。
3曲目のフレスコバルディのセ・ラウラ(そよ風が吹けば)にもノックアウトされた。実はこの曲、僕がコルネットを始めた当初にレッスン曲として洗礼を受けた曲。春日さんの歌は確かにセ・ラウラだが、情熱的で自在。最初ゆっくり始めてテンポアップするアレンジも見事だ。太鼓屋さんのカホンも冴える。
春日さんはいつもと同じくサービス精神たっぷりで、茶目っ気ある演技が観客をなごませてた。
セルマのカンツォン1番では濱田・西山組と石川・ニコラウ組の対戦がスリリングな聴きものだった。
休憩20分を挟んで、フォリアスの世界はまた繰り広げられる。
途中困ったのはカナリオスのとき。これって去年エコーの演奏会やったときにエコー隊長いじめで使われた曲じゃん(分かる人には分かる内輪ネタ)。濱田さんがあたかもこっちに振ったような気がして(なんかやんなくちゃいけないのかな)と元エコー隊としてはドキドキしてしまった。
でもそんなドッキリはなくて、ちゃんと2階遠方から古橋さんがハッピバースデーを返したのでホッと一安心。
コンサートの圧巻はまりえさんとニコラウ競演のチェンバロデュオ。さわればヤケドしそうな丁々発止としたホットな演奏。僕の席からはニコラウしか見れなかったけど、まりえさんからはきっと湯気が出てたに違いない。
そして終曲、チャコーナ「素敵な人生」には2階バルコニー席からカンティガのときの女性陣も加わり、まりえさんのあざやかなカスタネットさばきも聴きもので、賑やかかつ豪華に締めくくった。
いつまでも止むことない大きな拍手にアンコール2曲のサービス。
フォリアスで満腹な中、幸せな気分で立教大学をあとにした。
目白バ・ロック音楽祭も今年で2年目だが、着実にファンを増やしているように思える。来年の企画が今から楽しみだ。
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コメント
店長さんに同意致します。
公演中、小生は感動のあまり何度涙を拭った事か…
この国における多くの「音楽祭」が尻すぼみに消えていった例は多々有るのですが、この目白バ・ロック音楽祭はそういった事とは無縁の、生命力溢れる進化し続ける気配を感じます。
来年以降のこの音楽祭への、店長さん達の登場も楽しみにしております。どうぞ、お元気で…
投稿: ロレンツォおじじ | 2006/06/25 22:34