ナチュラルトランペットについて熱く語った夜
トランペット奏者の神代修さんの主宰する「ラ・トロンバの会」(ナチュラルトランペットを研究する会)に参加してきた。
今回はオーケストラ・リベラ・クラシカのコンサートに出演されるためにオランダから招聘したグラハム・ニコルソン氏による特別講義の会となった。
テーマは主に古典派の時代に使用されたクラシカルのトランペットについて。ニコルソン氏は今回の来日に間に合わせるように楽器を製作された(出来上がったのはついこの間の日曜日だとのこと)ためか、ご本人の興味も今はそこにあったのかなと推察される。
講義はまずはナチュラルトランペットの楽器とマウスピースの変遷について、豊富な図版(設計図)を元にざっと説明、これらの資料だけでも楽器を自作する人には垂涎ものではなかろうか。
それから、今回持参した楽器について、主にバロックとクラシカルの違いを強調しつつ、説明がなされた。
要は卵が先か鶏が先かの問題と同じなんだが、その時代その時代に合った楽器があって、その楽器を念頭に作曲されているわけだから、その様式に適した楽器を選択するのが一番無理がないということ。どの時代が特に優れているということもなくて、ある特質を獲得すればその見返りにある特質を失ってしまう、でもそれは奏者が一番楽に演奏出来るように楽器が開発されたためなので極めて合理的なことだったのだ という趣旨の説明だった。
昔の図版に則って作られたレプリカのマウスピースたちがおもしろかった。ちょっと吹かせてもらったが、リムの幅は大きくてもそれほど違和感はなくて、やはり古典派を演奏するのに適したマウスピースだなと感じた。
本講義のあと西新宿のとある居酒屋で飲みながら(ほとんど全員参加だったのでは?)楽器について、奏法についていろんな話をうかがうことができ、本当に有意義な一晩だった。と同時に日本のプレーヤーでこうしたことを同じレベル(深い知識と知見)で語れる人はいないんだよなあと少し淋しくもあり。
今回の通訳はリベラクラシカの主宰である鈴木秀美さん。
僕は秀美さんの通訳業には感心してしまった。というのも、先年に芸大でブルース・ディッキー/シャルル・トートの特別講義があった際に秀美さんのお兄さんが通訳をされたときに、ひどい誤訳とかもあって少なからず失望(これは専門楽器が違うからやむを得ないことかも)したのだけれども、今回はそういうこともなく、何かと話が膨らんで脱線しがちになりそうなところも含めて参加者がよく理解出来るように司会進行を進めていて、聞く方もストレスがたまるようなこともなく、これはなかなかできることではないなと感じ入った次第。
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