ブレイク
アントネッロのアレンジの場合、ときどきブレイクという小技を使う。つまりフレーズの最後の音をセッコに(短く)して次の音に入るまで空白の時間を作るのだ。頻繁にやるのは逆効果になるけど、適切にブレイクが決まるとこれはやる方も聴く方も楽しい。聴いている方はなんだかいきなり空中に放り出されたような感覚に陥る。まっすぐ走っていた列車の先の線路が急に消えてしまって、あれっ?と思った瞬間またレールが現れるような。
なぜ楽しいのかと思うにたぶんタブーに触れているからなんじゃないかと思うのだがどうだろうか。つまり、通常音楽は始まったが最後、曲の終わりまで音のなくなることはない。もちろん曲の途中で一旦小終止して出直すようなところは別にして。音が鳴っている間が音楽という認識だからだ。(そういえば昨日入ったインドレストランで思ったけど、インド音楽って延々と同じ調子で続いていて果てるところを知らないね、あれは)
作為的なブレイクはそこを逆手に取る。ほら、音のない状態ってこんなにスリリングなんですよって。
音のない状態に耐えられない人たちもいる。典型的なのはアナウンサー。きっと職業柄いたたまれないんだろうね、みんなと無音を共有するっていう状態が。永遠に続くわけじゃないんだからちょっとは沈黙を楽しもうよ、ね。
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