「合唱ができるまで」
というタイトルのフランス映画を観る。アマチュア合唱団のリハーサル風景を淡々と記録したもの。ラトルの「ベルリンフィルと子供達」と似た趣向だが、こちらの方はナレーションも全く入らない。
音楽が作られて行く過程が新鮮なんだろうと思う、知らない人には。指導者兼指揮者の女性の情熱ならびにその音楽が素晴らしいということもあるし。練習方法もそれぞれの世代(子供、ティーンエージャー、成人)に合わせてよく工夫してあって、日本の合唱団の練習とは若干違う面もあるように思われた。それと感心したのは生徒のレベルに合わせて練習はするんだけれどあくまでも要求するレベルは落としてないこと。そういう指導者に恵まれた子供たちは幸せだと思う。
オーケストラは音大生なんだろうか、若手のメンバーだった。コンマスと指揮者のやり取りを見てて思ったんだが、向こうの(って一括りにしちゃいけないね、この映画のフランス人とか、イギリスにいた時のアマオケの人とか、オーストリアやカナダでセミナーを受けた時の学生とか、つまり自分の体験では皆いわゆる西洋人なんだが)人って、自分の意見を言う時に全く物怖じとか遠慮とかしない。日本のオケだと指揮者とオケメンバーという立場の違いとか自分の実力とか年の差とかそんな要素がごっちゃになって必ず遠慮した物言いになるし、むしろ一介のオケメンバーがマエストロに対等な口の利き方をしようものなら「なんだよあいつの態度は」ってことになる。どっちがいいかという問題ではないのだが、自分(日本人)としてはそういう場面に遭遇するとちょっと違和感がある。
映画に話を戻すと、ラ・ヴォーチェ・オルフィカのリハーサル風景を映画にした方がもっと面白いんじゃなかろうか、とも思った。
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