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2007/05/05

初心者のためのナチュラルトランペット案内

ITG (International Trumpet Guild) ジャーナル2002年3月号に掲載されたElisa Koehlerの記事を紹介します。

 

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これからナチュラルトランペットを始めようと思っている人たちに、どこからスタートすべきかなどのガイダンスとともに基本的な情報を提供するのがこの稿の目的です。

 

【ナチュラルトランペットを勉強することによるメリット】

 

バルブのないバロック期のトランペット演奏を勉強することには様々な利点があります。それは過去のトランペットの栄光の遺産に触れるということだけでなくモダントランペットの演奏においても音楽性や技術を磨くのに役立ちます。ナチュラルトランペットを演奏してみると、音の出し方や柔軟性、音域の幅、正確に音を捉えること、アーティキュレーション、アンブシュア、息のコントロールなどの基本的な問題に直面します。おそらく一番のメリットはオーラルな技術が向上することでしょう。また、ナチュラルトランペットは高次倍音での正確性が要求されますので倍音の違いを聴き分ける能力が不可欠となります。フレットのない弦楽器や歌のように耳を訓練することが良い演奏へとつながります。

 

バロック音楽をピッコロトランペットで演奏する人にとってはりわけナチュラルを練習することで得ることが多いでしょう。正しいバロック演奏のフレージングやアーティキュレーションのみならず、ナチュラルトランペットの音域毎のパート(プリンシパル、中音域、クラリーノ)の持つキャラクターについての理解が深まります。ピッコロトランペットでナチュラルトランペットの音を真似ることはできませんが、本来の音を知っておくことは間違いなくその音楽家の演奏を豊かにすると思います。

 

【オーセンティック(正統的)ということについて】

 

バロックトランペットを演奏するための第一歩はふさわしい楽器を手に入れることです。
これが正しいという決まりごとはないのでいろんなことを検討しなくてはいけません。現代のメーカーはたいていエーエやハース、ブルなどの歴史的な楽器をモデルにしたレプリカを製作しています、従ってそれらの違いを知っておく必要があります。タール教授の Art of Baroque Trumpet Playing の1巻と2巻に歴史的モデルと現代のコピー楽器の写真が載っているのでそれを参考にするといいでしょう。またバークレイの Art of the Trumpet-Maker も17、18世紀のニュルンベルクの楽器がどのように作られたか仔細に説明してありますので理解を深めるには最適の書です。製作過程も含めて事前にいろいろ情報を得ておいた方が良い買い物ができるでしょう。

 

楽器購入の前にオーセンシティ(正統性)の問題について触れておきましょう。
ナチュラルトランペットは自然倍音しか出すことができないので、いくつかの音はもともとピッチがずれています。一番問題になるのは11倍音(F)と13倍音(A)です。11倍音はファにしては高すぎるしファ#としては低すぎます。また、13倍音のラの音もかなりフラットです。17、18世紀の奏者はこれを唇で調整(ベンディング)していました。またこの二つの音ばかりではなく第8倍音を下げてシの音を出したり第9倍音を下げてド#を出したりしていました。
現代においては1960年頃にオットー・シュタインコップがドイツのメーカー、フィンケの製作した楽器に穴(vent hole)を開けて不安定な11,13倍音の調子を補正するシステムを開発しました。シュタインコップ自身はルネサンスコルネットの再生も手がけていましたから、そこからヒントを得たのかもしれません。後に、イギリスの奏者マイケル・レアードがさらに開発を進めてより音程を安定させる4つ穴のシステムを考案しました。

 

こうした補正孔によってナチュラルトランペットは演奏しやすくなりましたが、音質は若干変わってしまいました。この妥協策の楽器は300年前に使われていたものとは違って、もはや「ナチュラルトランペット」とは言いがたいものがあります。従ってここではナチュラルトランペットとは無孔の楽器をさし、補正孔付きのものを「バロックトランペット」と呼ぶことにします。

 

以上のように補正孔は現代に生み出された妥協案ではありますが、プロ奏者の間では必要だとみなされていることが多いようです。無孔の楽器は正統性と音質の面で得難いものがあるのですが、現代の聴衆の耳が平均律とピンポイントで正確な音を出すことに慣れている以上、それに対してナチュラルで応えるにはかなりの危険を冒すことになります。バロックトランペット専門の奏者の数はこの数年でかなり増加しましたが、モダンと併用する奏者はその安全性という点で孔のついた楽器を選好しているようです。

 

適切なマウスピースを選ぶという別の問題もあります。たいていのプレーヤーはナチュラルトランペットを始める際にシャンクにアダプターをつけてモダンのマウスピースをつけて始めます。正統的なバロックのマウスピースは広いカップと大きくてフラットなリム、急角度なエッジ、長めのシャンクなどがその特徴です。長めのシャンクはリードパイプにテーパーがないことを補完する役割を果たしていますし、またカップの大きさや形状などは音質や唇での調節を容易にすることに関係しています。ナチュラルの場合は高次倍音を使うために浅くて小さいカップが必ずしも高音域を出しやすくするための助けとはならないのです。

 

マウスピースの選択は極めて個人的な問題ではありますが、奏者はこうした正統性と吹きやすさのバランスをとる必要があります。初めは慣れたモダンのマウスピースを使い、徐々に楽器に慣れて来たらより正統的なマウスピースにスイッチしていくのがいいでしょう。モダンのマウスピースを使用するプロの奏者の場合、それは歴史的様式感をふまえた演奏をより確実にするための妥協策だということを認識しておくべきでしょう。

 

補正孔やテーパーのついたリードパイプ、モダンのマウスピースを使うことなどは邪道だという意見もありますが、楽器にケチをつけることは初心者にとってはどうでもいい問題なので、とりあえず慣れたマウスピースで孔なしのナチュラルトランペットを吹いてみるべきでしょう。理論と実践の軋轢は他のジャンルと同じようにバロックトランペットの世界にもありますが、それはちゃんとした楽器を買って人前で演奏するようになってから考えればいいと思います。ただナチュラルトランペットを学ぼうという人は歴史的な演奏法というものがどんなであったかを尊重する必要はあるでしょう。孔つきの楽器は正確さや安全性を高めますが、一方特に初期の段階ではそれがオーバーブロウ気味になったりアーティキュレーションが鋭くなりすぎたりという悪い癖がつきがちですので注意が必要です。

 

【楽器の入手法】

 

楽器メーカーやマウスピースについてはヒストリック・ブラス・ソサイエティが一番良い情報源です。最新の調査は2001年のニュースレターに載っています。
この稿の目的は特定のメーカーを推薦することにあるのではありませんが、そのリストのなかからいくつかピックアップすると、バークレイ(カナダ)、エッガー(スイス)、キーヴィ(イギリス)、マインル(ドイツ)、ナウマン(アメリカ)、トムス(イギリス)、ハイデ(オランダ)などが挙げられます。David Baum の Natural Trumpet Resource Web Site も参考になります。

 

中古のナチュラルトランペットもたまにプロショップやeBayなどのインターネットオークションで出回ることがあります。モダンのBトランペットを解体してナチュラルに組み立てなおすという手もありますが、やはりちゃんと学ぶにはきちんとした楽器を手に入れた方がいいでしょう。

 

たいていのナチュラルトランペットは次のようないくつかの部品によって構成されていて、パーツを替えることによりいくつか違う調を演奏することができるようになっています。メインの部分はコーパス(Copus)で、調整変換用の丸い部分がクルーク(Crook)、コーパスとクルークをつなぐまっすぐな管(孔つきと孔なしがあります)をヤード(Yard)と呼びます。これらのパーツはハンダ付けされていませんが、それこそが音程などの柔軟性をもたらす元となっているのです。またリードパイプの延長管やチューニング用の小さい部品(Bits)もあります。メーカーによってはリードパイプの部分でチューニング調整できるようになっているタイプもあります。

 

メーカーによって違いはありますが、通常はD(モダンピッチ、A=440Hz)、 Db(バロックピッチのD、A=415Hz)、 C(モダンピッチ)そしてCb(バロックピッチのC)が使えるようになっています。
楽器を買う際にはいろんな要素を考慮する必要がありますが、検討項目をチェックリストとして作成してみました。

 

・どのモデルか
  どの歴史的モデルの楽器にするか(エーエ、ハース、ブルなど)
・マウスピースは
  そのメーカーはマウスピースの選択の余地があるか。モダンのマウスピースは装着可能か
・キーとピッチ
  どのピッチの楽器にするか
・孔つきにするかどうか
  補正孔つきの楽器かどうか。孔なしのヤードも手にいれられるか
・チューニング方法
  チューニングビッツを使うのか、リードパイプで調整可能か
・ケース
  ケースはついているか、別途買わなければいけないのか

 

【教材について】

 

つい最近までナチュラルトランペットを勉強するためのいい教材はありませんでした。バロックの作品が不足していたというわけではありません。バッハやヘンデルの偉大な作品はたくさんあるのですが、それらが楽器の演奏を勉強するのに適切な教材というわけではないからです。エドワード・タールの新しい教本「バロックトランペット演奏の芸術」全3巻が出版されたおかげで、ナチュラルトランペットを学ぼうという奏者にとってそうした問題が解決されることとなりました。タールの教本の出版以前には、歴史的な教材、ファンティーニ (1638) やアルテンブルグ (1795) 、ドゥヴィユーヌ (1857) などのエチュードを使って勉強するか、あるいはフリーデマン・インマーやマイケル・レアード、エドワード・タールなどのところに行って直接教えを請うしかなかったのです。

 

本で学ぶよりも良い教師につくほうが良いに越したことはありませんが、タールの教本は歴史的奏法の大事な点を全て網羅してありますし、彼の豊富な指導経験による実践的な練習法が記されています。練習に有効なヒント、アンサンブルでの音程のとり方、適切なトリルのかけ方などにも言及してあります。タールの教本は補正孔については触れていませんが、その他のナチュラルトランペットの勉強に関することは全てこの3巻で取り扱われています。補正孔についてはマイケル・レアードの Brass WorkBook for Natural Trumpet を参考にするといいでしょう。ただしこうした優れた教本で演奏法を学ぶことはもちろん可能ですが、特に初期の段階ではきちんとプロフェッショナルなナチュラルトランペット奏者に教えてもらうことが重要だと思います。

 

演奏に必要な技術的基礎が得られたらば、ナチュラルトランペットで演奏出来る宝の山が待っています。タールやギュットラーのおかげでバロックトランペットの曲の信頼出来る楽譜が出版されて利用できる状態にあります。オーケストラやアンサンブルでのレパートリーとしてはヘンデルやバッハの前にヘンリー・パーセルの曲に取り組むことをお奨めします。通常トランペット2本のデュエットの曲ですし、スタミナや音域という点からそれほど冒険的ではありません。聖セシリアの日のオードや妖精の女王などは演奏していても楽しく、2本で練習するのに効果的な教材です。パーセルの全作品はバッハやヘンデルの全作品集と同じくムジカ・ララから出版されています。誰しも持っておくべきレパートリーでしょう。

 

アンサンブル演奏で問題となりがちなのは音程です。これはナチュラルトランペットが倍音列を利用する音律によることに起因します。従って練習室で一人での練習ばかりするよりも、外へでて仲間を募ってアンサンブル練習をすることが大事です。バッハやヘンデルの曲では、まずクラリーノ(1番)パートにトライするよりもプリンシパルパート(3番)から始めた方がいいでしょう。ソロの曲で言えば、パーセルの曲を始めとして、ファンティーニやヴィヴィアーニのソナタ、ヘンデルの組曲、ジェレミア・クラークの組曲などが初心者には適しています。

 

【まずは吹いてみよう】

 

初めての人は楽器の持ち方にとまどうかもしれません。メーカーや楽器のタイプによって違いますが、通常はモダン楽器と同じく左手で楽器を持ちます。装飾のボールのところかひもでおおわれた木のブロックのところがちょうど良いグリップになるはずです。右手は反対側のヤードを持つかあるいは楽器にさわらずただ奏者の脇に添えます。補正孔のついた楽器であれば右手はその穴を操作するのに使います。ロングタイプのトランペットの場合は楽器を持ったポジションに慣れるのにちょっとかかるかもしれません。モダンに比べると楽器自体は軽いのですが、腕を伸ばすことになるためです。繰り返し少しずつ練習するのが良いと思います。

 

楽器を持つポジションが決まったら次は音楽を創ることに専念します。しかし最初は思うようにいかないことが往々にしてあるでしょう。それは倍音列が低いことと音律が違うこと、管が長いのでレスポンスが違うこと、テーパーのないリードパイプなどに起因するものです。ピッチを確かめるにはチューナーを慎重に使い、やがて時間が経つうちに耳、肺、アンブシュアが楽器の特性に慣れてくるはずです。モダン楽器の経験の長い人でさえナチュラルトランペットの感覚を掴むにはしばらくかかると思います。

 

最初のうちは補正孔を使わないことをお奨めします。初めのうちはプリンシパルの音域の練習でこれは穴を必要としませんし、まずはナチュラルトランペット独特の感覚に慣れることが重要だからです。また調子はずれの音を無理矢理平均律に合わせようとしないほうがいいでしょう。フリーに吹くことを体感できたらやがてナチュラルトランペットの持つ柔軟性が見えてきますし、言ってみれば「自然にあらがって吹かない」ことによって豊かな響きが得られることがわかってくると思います。

 

ナチュラルトランペットの音程の傾向をあるがままに受け入れることから実際の練習が始まります。ロングトーン、フレキシビリティ、音程への取り組み、これらは全てタールの教則本の第1巻で取り扱っています。練習曲としてはドゥヴィユーヌのもの、ウォームアップにはマイケル・レアードの教本をお奨めします。トランペット奏者にはおなじみのスタンプのベンディングの練習やカルーソーの耐久力の練習なども有効でしょう。

 

補正孔の練習をする場合には、まずヤードが正しく装着されているかどうかをチェックしなければなりません。ポジションのチェックには、真ん中のCの音、上のGの音を穴を塞いだ時と開けた時に同じ音程であるかどうかを調べるのがいい方法です。その音程が違っているようならば、ヤードを前後に動かして同一音程が得られるところにセットします。リードパイプのところで音程調節ができるタイプならば、リードパイプとヤードのコンビネーションでベストポジションを探すこととなります。

 

補正孔の呼び方はメーカーによって統一がとれていませんが、4つ穴システムを考案したマイケル・レアードに倣うと、T=親指、2=人差し指、3=中指もしくは薬指、5=小指 となっています。3つ穴システムの場合は3番目の穴がなく、従ってT、2、5となります。4つ穴の場合は特に手の位置が遠く、最初は慣れないものですし、ピストンと違って木管楽器のようなフィンガリングテクニックを必要とします。最初は親指を使ってFの音を得る練習に焦点をあてたほうがいいでしょう。

 

もう1点、実践的なことですがつば抜きについて。たいていの楽器にはウォーターキーがついていません。ですのでフレンチホルンのように楽器を回転させてリードパイプのところから水抜きをします。補正孔のついた楽器ならば親指の穴から水を出すことも可能です。

 

【本格的に勉強するには】

 

ナチュラルトランペットの演奏をプロとしてやっていこうとするのであれば、定評のある先生の指導を受け、技術を磨くための少なからぬエネルギーを費やし、適切な演奏技法を勉強し、レパートリーの習得をする等のことが必要となってきます。17,18世紀の奏者たちはマイスターの先生の下で毎日レッスンを受け2年間は研鑽を積むのが一般的だったと言われています。補正孔を使うのであればフィンガリングの技術も磨く必要があります。バロックトランペットやピリオド楽器による演奏の録音を聴くことも重要でしょう。生のコンサートを聴くのがもっと良いことは言うまでもありません。ピリオド楽器の演奏団体に関する情報源としては PIPE web site があります。こちらでコンサート情報を手に入れることもできるでしょう。

 

物理的な楽器の訓練の他にバロックの演奏様式を学ぶということも重要な課題です。現代の演奏と違う点は、音程(音律)、装飾と即興、アーティキュレーション、強弱の付け方、歌うような音のイメージなどです。幸い、バロック演奏に関しては適切な参考書がいくつか出ています。1999年にケンブリッジ大学から出版された Cambridge Handbooks to the Historical Performance of Music や Donington の Baroque Music:Style and Performance などです。

 

また、現代の研究も有益ですが、歴史的な教本に勝るものはありません。今やたいていのものは英語に翻訳されたものが出版されています。Bendinelli, Fantini それに Altenburg など。ファンティーニやアルテンブルグはアーティキュレーション、装飾、トリルなどについて取扱っています。また最も参考になるのはフルート奏者だったクヴァンツの教本です。クヴァンツは町楽師としてフルートの他にオーボエやヴァイオリン、トランペットの演奏もマスターしていました。結果、18世紀前半の演奏様式について、彼ほどさまざまな面から適切に解説を加えた教本は見当たらりません。

 

プロのナチュラルトランペット奏者たちはクヴァンツの教本の他にコルネット(ツィンク)の教本も参考にしているようです。これはレパートリーの開拓という目的ではなくて、バロック時代の管楽演奏における微妙なアーティキュレーションやフレージングが参考になるからです。ここではコルネット演奏について述べる余裕はありませんが、ジェレミー・ウェストの優れた教本 How to Play the Cornett が豊かな知識を提供してくれます。コルネットはトランペットのアンブシュアと木管のフィンガリング技術の両方がいるのでコルネットを勉強したいというのであれば事前にリコーダーをさらったほうがいいかもしれません。リコーダーはどこでも手に入りますし、トランペット練習の休憩に息の練習として使うのにちょうど良いでしょう。リコーダーとコルネットの運指は全く一緒というわけではありませんが、フィンガリングに慣れておけばトランペットから移行する時に抵抗が少ないだろうと思われます。最後に、人間の声(歌)はすべての楽器が真似するべきモデルでしたから、個人的な歌のレッスンを受けることはどの器楽奏者にとっても音楽性を高めることにつながるでしょう。

 

【結びに】

 

バルブのないトランペットや他の金管古楽器を演奏すると、金管演奏の芸術的な遺産が明らかになると同時にトランペットの優れた演奏というものは時空を超えて不変だということを実感します。加えて、近年すぐれたピリオド楽器による演奏が盛んになってきたことでモダン楽器によるクラシックの演奏にも影響を与えてきています。文化歴史学者のJacques Barzun は次のように述べています:

 

「昔の曲をその時代の楽器で演奏するという最近のはやりは、単にダイナミクスが違うということではなくて音楽の意味そのものの違いを際立たせている。音色の違い(モダン楽器にあってピリオド楽器にないもの、あるいはその逆)は音楽の持つ力や雰囲気に影響を及ぼすし、それはケトルドラムであれオカリナであれ音は単に音にすぎないというような乱暴な議論を一蹴する。それに、今や19世紀型のオーケストラが廃れてから室内楽がはやってきているのは、経済的な理由もあるけれども、ロマン主義そのものが古くさいという感覚になってきているからでもある」

 

ナチュラルトランペットに関しては穴のあるやなしやという問題は決して古くさい問題ではなく、純粋派と実務派の間で熱い論争が続いています。ロバート・バークレイに代表される聡明な学者は補正孔に対して強く反対している一方、マイケルレアードのように補正孔をさらに開発することにより、数えきれないほどの優れた演奏や録音を通してファンを増やして来た奏者たちがその対極にいます。純粋派は正統性ということにこだわりますが、バロックトランペットのプロの奏者の大多数は現在穴付きの楽器を使っているのが現実です。正統的な楽器を使った演奏についてはまだ緒についたばかりという状況でしょう。

 

この歴史的な楽器に対するアプローチとしては、謙虚にかつ好奇心から入るというのがベストなのではないかと思います。私は今いわばトランペット演奏に関しては新しい「黄金時代」にあるのではないかと考えています。かってエドワード・タールによるナチュラルトランペットの録音を初めて聴いた時には、その素晴らしさに感動したものの、どうやって楽器を手に入れるかとかどのように学ぶかということについては全く手探り状態でした。今や様変わりです。ヒストリック・ブラス・ソサイエティは1989年に創設され、より多くのトランペット奏者がナチュラルを演奏するようになってきました。第1回のアルテンブルグコンテストは1995年に開催され、第2回は2001年11月に行われています。ナチュラルトランペットを演奏するには努力と自律を必要としますが、その努力に見合う以上の実りがあると思います。もしこの読者がナチュラルトランペットに興味はあるけれど、そんなことは無理だろうと諦めていたとするならば、この小論文が多少なりとも参考になり、演奏する夢が実現することにつながのであれば望外の喜びです。

 

Elisa Koehler

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コメント

お久ぶりです。お元気ですか。バロック・トランペットについて教えてください。ミヒャエル・ミュンクヴィッツ
とうメーカーについて何か御存じでしたらお教えいただけると助かります。
高橋 実

投稿: 高橋 実 | 2014/10/13 11:11

高橋さん、お久しぶりです。
ミュンクヴィッツさんは北ドイツのロストック在住のトランペットメーカーです。HPはこちらです。
http://trompetenmacher.de/en/

ルネサンスからバロック、クラシカルまで各時代のナチュラルトランペットのモデルを作っていらっしゃいます。

ミュンクヴィッツさんはカナダのボブ・バークレイさん、アメリカのセラフィノフさんと一緒に毎年夏にナチュラルトランペットを制作するセミナーを開催されています。まだ参加したことはないのですが、できれば近いうちに参加したいなと思っています。

なお、ミュンクヴィッツさんの楽器は日本では茅ヶ崎にあるムジカアンティカ湘南というお店が日本での総代理店をやっているので楽器の試奏もそちらですることが可能ですよ。

投稿: PHIL | 2014/10/13 12:04

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