旅行第3日目 (ゴージャスな1日)
ロストック滞在&ベリッツ
朝4時起床。場所が変わっても起きる時間に変化はないようだ。ホテルで朝食後、少しばかり町を散歩。ミュンクビッツ氏の店の前まで行ってみるが今日は当然お休み。それからHandwerkeskammerへ向う。昨日よりすんなりと中に入れてミュンクヴィッツ氏もすぐ見つかった。再会を祝す。
奥にワークショップの作業場があるから、と建物の中を案内してくれたのはバンベルクで楽器製作とオリジナル楽器の修復をしているマルケス・ラケット氏。作業場に入ったら3人のおじさんたちが。なんとロバート・バークレイ(カナダのオタワ在のバロックトランペット製作の第一人者)とリチャード・セラフィノフ(アメリカ、インディアナのナチュラルホルンメーカー)たちだった。こんなところでまとめて会えるなんてラッキー。バークレイ氏に「もう楽器製作はリタイアされたと聞いていますが本当ですか?」と尋ねたところ「うん、もう数年前にやめて今はこうしたワークショップで腕を衰えないようにしているのさ」との返事。彼の新しい楽器がもう手に入らないのはかえすがえすも残念なことだと伝えておいた。
左からセラフィノフ氏、バークレイ氏、マデウフ氏
ミュンクヴィッツ氏がこれから朝食だからみんなと一緒にどうぞと誘ってくれた。先ほどのメーカーたちとワークショップの受講生、それから今夜のコンサートの主役であるJFマデウフ氏とフリーデマン・インマー氏も合流して総勢17人くらい。インマー氏はやはりでかい。背が2mくらいあるのか。ソプラノの奥さんとまだまだ子供の一人息子も一緒だった。
朝食を済ませて10時から同じ建物の中の別室で約束していたJFマドルフ氏のトランペットレッスン。レッスン中に見学者2名(一人は先ほどのラケット氏、もう一人の東洋人はあとで韓国人でインマー氏の元で勉強しているPaul Rhee 君だということが判明)。
レッスンはとても有意義だった。録音装置を持って来ていて正解。たっぷり2時間個人レッスンをしてもらう。
今までやってきたことは正しい方向だということが確認できたし、穴なしのナチュラルトランペットにどう取り組んでいくべきかという問題点、課題がより明確になった。ポイントはマウスピースと体の使い方に尽きる。努力すればああいう風に吹けるようになるのかどうか、今はまだ分からないけれど、ともかく目標として励みになる。焦らず頑張ろう。彼の使っているマウスピースはエッガーのBL1とのことで、通常のマウスピースに比べるとずいぶんとでかい(リムの内径19mm - 21mm)。だが、吹かせてもらうと確かに正しいイントネーションが取りやすい。バーゼルに行ったら買わなくちゃ。
昼食をマデウフ氏、ラケット氏と一緒に市内まで散歩がてら食べにいく。ここでもいろいろ有意義な話を聞くことができた。楽器の構造や博物館に関する話などなどラッパに関する話は尽きない。
一旦ワークショップ会場に戻り、数台の車に分乗してコンサート会場のKirche Belitz へ。
コンサートの概要は以下の通り
Festliches Trompetenkonzert
Claudia Immer -- Sopran
Friedemann Immer, Jean-Francois Madeuf, Ronald Kick, Paul Rhee, Michael Münkwitz -- Barocktrompeten
Frithjof Koch -- Pauken
Jan Knobbe -- Orgel
Program
1. Drei Intraden aus "Fünfstimmige blasende Musik" (Johann Pezel)
2, Zwei Sonaten (Johann Pezel)
3. "Danket dem Herrn" (Dietrich Buxtehude)
4. Suite fur 2 Trompeten (Henry Purcell)
5. Toccata Quinta für Orgel (Girolamo Frescobaldi)
6. Sonatas & Baletto (Giroramo Fantini)
7. "Allein Gott in der Höh sei Ehr" (J.S.Bach)
8. "Jauchzet Gott in allen Landen" BWV51 (J.S.Bach)
9. 3 Aufzüge (Daniel Speer)
10. Corent de Battaglia (Praetorius)
このコンサートは、ここロストック郊外の鄙びた村Belitz の教会で最近17世紀中旬にニュルンベルクで作られたオリジナルのトランペットが発見されたことを発端としている。発見されたトランペットは教会の礼拝堂右側に掲げられた絵画の両端に釘で引っ掛けてあったそうで、その発見された楽器を元にトランペット製作者のミュンクヴィッツ氏が楽器を正確に復元し、その楽器たちを使ってその発見された教会でコンサートをしようといういわくつきの演奏会だったのである。
ミュンクヴィッツ氏は出演者分の、すなわち5本のコピー楽器を作り、しかも全部が出来上がったのは最近だったからメンバーによっては楽器を手にして3日で本番という人もいたようだ。ソロ曲はインマー氏(51番など)とマデウフ氏(ファンティーニなど)が担当。曲によっては今回の復元楽器じゃなくてインマー氏は穴付きの楽器も使っていた。マデウフ氏もソロ曲用に使い勝手のいい楽器を探していたらしく、午前中の僕のレッスンのときに、本番用に僕の楽器を貸して欲しいという話だったので、なんと僕も楽器だけコンサートに参加していたことになる。
演奏は素晴らしかった。マデウフ氏は当然のことながら全曲完全なナチュラルトランペット(穴なし)、完璧な演奏。あそこに到達するのにどれくらいの努力が必要だったんだろうか。
コンサート後、みんなでまた車に分乗してロストックのワークショップに戻りシンプルな打ち上げ。Paul君がコルネットも勉強してみたいんだということでコルネット談義に。ちょうど持ち合わせのアントネッロのCDをおみやげとして渡す。インマー氏とも懇意に話ができたし、今日は本当にラッキーな一日だった。
| 固定リンク
「日記・コラム・つぶやき」カテゴリの記事
- スマホの引越し(2023.01.27)
- 2022年の私的出来事(2022.12.30)
- 画期的な福音(2022.12.18)
- 存在価値?(2022.10.25)
コメント