20年前のこと(続き)
ハリケーンの記憶のことが気になってちょっと調べてみた。
大型ハリケーン(英語ではStormという言葉の方を使うようだ)がイギリス南東部を襲ったのは1987年の10月15日深夜から16日早朝にかけて。19日がブラックマンデーだったから、つまり木曜日の深夜のことだった。
夜中じゅうひどい風だったが、記録によると風速は時速150km、死者18名、停電数十万世帯、倒れた木々1500万本という被害だったらしい。なんでもこれだけの規模の嵐は1703年以来だという。ヘンデルもびっくりだね(ってまだヘンデルはロンドンに移住してないけど)
イギリスは全土にわたって緑が美しい国だ。街路樹にも北国特有のまっすぐな高木が道の両側に並んでいてドライブしていても気持ちがいい。
ところがそれが倒れてみてびっくりしたけど、イギリスの土地が固い岩盤だからなのか、木の背が高い割りには根っこが深くなくて、むしろ地面を這うように横に広がっているのだった。だから強風には意外と弱いし倒れる時も地面からそれこそ根こそぎひっくり返ってしまう感じで倒れる。
そんな木々が至る所倒れているもんだから道路は使えない、線路も使えないという状態だった。それに庭好きのイギリス人だから裏庭や前庭に植えていた木々が倒れて被害を被った家もたくさんあった。
自分はといえば、金曜日の朝起きて家の外に出てみてびっくり。家の前の道は木が横たわって交通不能だし、裏庭の大きな木も倒れている。幸い自分の家にはぶつからなかったけど、隣の家の方向に倒れていて、さらに幸いなことにはフェンスに阻まれて隣の家をヒットする直前で止まっている。やれやれ。
会社にはBritish Rail を使って通っていた。今日はいくらなんでも無理だろうとは思ったものの、とりあえず平日なので会社行かなくちゃという気持ちだったのかその努力はしたんだという証拠作りのためだったのか、今では気持ちは定かではないが、いつもの通りスーツを着、ネクタイを締めて駅に向う。駅に行く途中も倒れた木に阻まれて障害物走(歩?)みたいなことになっている。駅に着いたが駅員も客もおらず当然列車もなく、復旧の見込みは皆目見当つかずといった雰囲気。
と、そこに向こうからやはりスーツを着た出勤のいでたちのビジネスマンが一人。近づくにつれそれは同じ駅を利用する日本のT銀行に勤めるOさんということが判明。
「おはようございます」
「やー、こりゃひどいですねえ」
「ほんと、これじゃあBRは今日一日ダメでしょうねえ」
「会社にはいけそうもないですね」
「クルマも無理ですしね」
「しょうがないから帰りますか」
「そうですね」
1987年10月16日早朝、ロンドン郊外Purley Oaks駅での日本人2人の会話。
なんかのどかだ。
同類が居たので安心して家に帰ってBBCを見る
「Great StormのためBank of England は本日をBank Holiday(休日)とすることに決定しました。」
ハリケーンがくれた特別休暇でリラックスした一日だった。
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