岐路(その3)
その2まで書いて、その3はないなーと思っていたら、、あった、あった。
ちょっと順番が前後してしまうけど、これも人生変えた出来事だった。
それは大学4年生の春、最後のテストも終わって学生最後の春休みを利用して旅行にでも行こうかという時期。そう、ちょうど僕らの年代から流行り始めた卒業旅行に、僕は就職後のローンまで組んでヨーロッパに20日くらい行くつもりで準備していたときだった。
リーン、リーン
下宿で共有している電話に出てみたらオケの同期のKだった。
K「おい、お前の名前学生課に出とったぞ」
僕「なんで?」
K「国際関係論の単位が欲しかったら○○日の追試を受けろってさ」
僕「ほ、ほんと、それ?」
K「ああ、確かめてこいよ」
急いで学校へ行き確認すると確かに数人の名前が貼り出されてある。
国際関係論は法学部の単位で、学生の間では「仏(ホトケ)のH」と言われ単位を取るのが比較的易しいコマとして知られていた。補足すると、僕の行ってた大学では4学部あるそれぞれの学部生は他学部の単位をそれぞれ最低2つづつ取得する必要があり、法学部の単位としてこの国際関係論はそういう理由で他学部生にも人気の授業(というか単位)だったのである。経済学部生の僕にとっても例外ではなく、この単位は安パイに数えていた、というかこれが取れてようやく法学の履修をクリアするところだったのである。ところがその追試の日は既に旅行計画のまっただ中。旅行は?卒業は?就職は?ローンはどうなる?頭がパニクる。
慌ててその足で教授室へ
「先生、掲示が出ていた経済学部の○○ですが」
おずおずと教授室の中に入る。
「実は事情があって追試を受けることができないんですが」
「なになに、君は4年生で今度卒業だっけ」
「はい、就職も決まっております」
「ちょっと待って。あ、君ね、君の答案を見たけど、ここのところを理解していないね」
「はあ、そうですか」
「ここは、こういうことだから、こう解釈しないといけない。わかったね」
「は、はい、わかりました」
「よろしい、では追試は受けたことにしておきましょう」
ラッキー!口頭問答だけで単位をくれることになったのである。
評判のホトケとはこのことか。
旅行にも心置きなく旅立ち、晴れて卒業。
あのときKが電話くれてなかったら、そして仏のH教授じゃなかったら。
もう1年大学にいて就職もフイにしていたに違いない。
このときの体験がトラウマとして残っているのか、数年経ってもしばしば夢の中で「自分はひょっとして大学を卒業出来てないんじゃないか」という不安に駆られることがある。そしてそんなときは「いや、そういえばロンドンに赴任するとき、学生課に行って卒業証明を取りに行って現物を見たから絶対卒業しているはず」と(やはり夢の中で)冷静に考え直すことが恒例になっている。
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