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2008/02/16

LP

「初めまして。突然ですがデヴィッド・マンロウの音源はお持ちですか?もしお持ちでしたら是非聴かせてください」

数日前、こんなメールが知り合いの息子さんから届いた。マンロウは70年代に活躍して夭折したイギリスのリコーダー奏者。僕が古楽をやっているというので聞きづてで問い合わせをしてきたらしい。なんでも高校生のその彼は今ギターをやっていて、彼の好きなギタリストがマンロウの影響を受けたと語ったからというのでどんなものなのか聴きたくなったらしい。

マンロウは僕が古楽に目覚めた頃聴きあさった音楽家で、日本で手に入るレコードは片っ端から買っていたし、イギリス滞在中もレコードショップで見つければこつこつと集めていた。多分彼のプロデュースしたものはほとんど持っているのではないだろうか。

「何をお探しですか?それからLPだけど聴けますか?」

と返事を打ったがその後返答はなし。

とりあえず「デヴィッド・マンロウの芸術」という2枚組と「中世・ルネサンスの楽器」という2枚組、それにマンロウの特集記事が載っていた82年頃の「季刊リコーダー」を貸し出すことにしてその知り合い(彼の母親)に託す。

先日その彼に初めて会う機会があった。
「どうだった?ちゃんと聴けた?」

「それが・・・」

と言葉を濁すので、母親に聞いたところ、まだレコードプレーヤーを出してないので聴けていないらしい。

「この子がね、ママ、LPってなあに?って訊くのよ」

そりゃあメールに返事ができなかったのは無理ないかも。

今や音楽はCD、MDで聴く時代だし、iTuneなどはもう既にハードの媒体の形すらなしていない世の中。なにしろ平成生まれの彼が、いかに普段音楽に慣れ親しんでいてもLPに触れるどころか名前さえも聞いた事なくてもそれが普通なんだろう。いわんやSPをや。


付記)LPはLong Playの略。LPが出現してそれまでのレコードはSP (Standard Play) と呼ばれることになった。78回転がスタンダードだったんだよ、なにせ。

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