国民性の違い
昨年からずっと話題になっているアメリカのサブプライム問題。
サブプライムローンの中にはいろいろ悪質なものもあって、中でもよく使われたオプションARMローンというのは貸し手の側からみても「いかがなものか」的商品である。
どんないかがわしさか。例えばローン会社から2000万円を借りるとする。通常の貸し付けだと毎月10万返済して金利分と元本のちょっとを返済することになる。住宅ローンを借りた人なら実感するだろうけど、元本の減り方というのは最初のうち本当に情けないくらいごくわずかである。とにかく金利負担ってすごい重しなのだ。しかしながら、このオプションARMだとその毎月の返済額が5万でいいよ、ってことになっている。家を早く買いたい、けど先立つものが、という人には朗報である。
でも仏の顔も3年(あるいは5年)まで。なにしろ返すべき元本どころか金利分もろくに支払ってなかったのだから、3年後にはその金利も上乗せされて元本が2100万円に増えているっていう寸法だ。ローン会社が追加融資をしてくれていたと考えるのが分かり易いかもしれない。
ローン会社はいつまでもそれを続けている訳にはいかないから、あるときからちゃんと取り立てに走る。つまり4年目からの毎月の返済額は15万ですよ、支払えないなら耳を揃えて2100万円用意していただきましょう(あるいは担保の家を差し押さえさせていただきましょう)と。
ちょっと待って、冗談じゃない、今までもぎりぎりの生活だったのに急に3倍のお金なんて払えないし、毎月お金返済していたのになんで借金増えているんだ、これは詐欺だ。借り手はそう思ってもちゃんと最初の契約のときにサインをしているから裁判じゃ勝てない。
という訳で楽観的でその場しのぎでお金を借りた人たちと、返済能力に疑いを持っていてもきちんと審査せず貸し付けをした倫理観に欠ける貸し手たちが作り出した狂騒曲が、アメリカの金融市場を混乱させたばかりでなくこんな極東の地まで巻き込んでいるという構図だ。迷惑な話だよねえ。
先月ブラジルなど南米諸国に出張して来た外国株式のファンドマネジャーのレポートは印象深かった。ラテン気質とでもいうのか、とにかく現地の人たちはとりあえず今自分が持っているキャッシュの範囲内でしか物事をとらえないんだそうだ。しかもとにかくあるものは使ってしまう。いま手元に5万ある。ローンの返済が5万?、じゃ金借りようか。3年後?そんなこと今から心配してどうするよ。
かって20%を超えるハイパーインフレを経験したから預金を信頼するなって身にしみているのかもしれないが、宵越しのお金を持たないっていう国民性の違い、気質の差っていうのも大きく影響しているに違いないと思う。
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