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2008/03/16

スピーチの内容

昨日の発表会で自分の演奏の前にちょっとした説明をした。
とっさに考えたことだったのでうまくまとまらなかったけど、言いたかったことも含めて改めてここに書き記すことにしとこう。

「今日演奏する楽器、これはキイ・トランペットというもので、1790年から1830年くらいまでオーストリア、イタリアあたりで使われた楽器です。ナチュラルトランペットからバルブトランペットへ移行する狭間にあだ花のように出現した楽器で、世代としては1世代、非常に短命でした。

構造としては、ナチュラルトランペットに穴をあけ、それをキイで操作して開閉することでそれまでナチュラルで出せなかった半音階が出せるようになっています。今現存するオリジナル楽器は世界に25本くらいなのですが、3つから多いものでは8つのキイがついていて、この楽器にも5つのキイがついています。

金管楽器を演奏したことのある方はご存知ですが、今のラッパは3つあるバルブの真ん中、中指を押さえると管が長くなって半音音が下がり、人差し指を押さえると全音音が下がり、薬指を押さえると1音半音が下がるという仕組みになっています。
ところがこの楽器は薬指を押さえると半音音が「上がり」、中指を押さえると全音音が「上がり」、人差し指で1音半「上がり」、小指で「適当に?」音が「上がる」という仕組みになっていて、練習していると非常に頭がこんがらがってきます。

古典派の代表的なトランペットのための協奏曲には今日演奏するハイドンやフンメルの曲があり、今でもオーケストラの入団オーディションに使われたりしていますが、それらの曲はもともとこのキイトランペットのために作曲されたものです。
楽器は滅びて曲だけが残ったということですね。

最近はこの楽器に取り組んでいるんですが、なぜこの楽器が廃れて見向きもされなくなったのか、なんだか判るような気がしてきました。」

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