古楽コンクールにて
甲府の古楽コンクールでは古楽器や楽譜、CDなどの展示会場もあって、わざわざ甲府まで行ったのにはそこでナチュラルトランペットを展示しているミュンクヴィッツさんに会うのも目的だった。彼とは2年前のこの会場で初めて知り合って、以来楽器を紹介してもらったり、去年のドイツ旅行のときにお世話になったりしてとても懇意にさせてもらっている仲だ。
コンクールを聴くよりも展示会場の方がもっぱらメインの目的だった感もあるくらい。
彼は今年もいっぱい楽器を持ってきていて、今までのリーデルモデル(1752 ショートタイプとロングタイプ)とハインライン(1632)に加えて、昨年復元したビルクホルツ(1650)と最近開発中のクラシックタイプも展示してあった。
クラシックタイプは1810年頃のSauer(?)がモデルだということで、3つ穴ショートタイプと4つ穴ロングタイプとあり、ロングタイプはもちろん穴なしにすることも可能。見た目はバロックのモデルとほとんど変わらず、ベルシェイプの広がり方は穏やかでやはりクラシックそのものだがベルそのものはバロックより一回り大きめという感じでそれほど大きくはない。
試奏した感想だが、かなりいい吹奏感で伸びやかに音が広がる。ショートよりはロングの方がいい音がする(ミュンクヴィッツ氏自身はショートの音の方が好みらしいが)。多分管の直径も若干太めな気がした。モダン楽器から持ち替える場合もバロックほど吹奏感にギャップがなくて、古典派のレパートリーのオケで使うには最適という感じだ。最近もある有名なトランペット奏者の肝いりでハンブルグの音大にまとめて納入したとかいう話だった。
僕が思うに、これからはむしろバロック時代の楽器よりこうしたクラシックタイプの楽器の方に需要が出てくるんじゃなかろうか。ヨーロッパだと今やバッハ、ヘンデルにナチュラルを使うのは当たり前のようになってきているが、今はドイツカンマー・ブレーメンやチューリッヒ・トーンハレのように現代楽器のオケでもモーツアルトやベートーヴェンなどの古典派を演るときはナチュラルトランペットを使用する例がだんだん増えてきている。それはおそらくピリオド演奏にこだわろうということではなくてナチュラルだとその曲が求めている望ましい音を出すことが容易だからなんだと思う。
日本でも山形交響楽団のようにナチュラルを使い始めているところが出てきているし、今後もじわりじわりとそうした流れが増えてくるんではなかろうか(若干希望的観測もあるにはあるが)。そうしたときに従来のバロック時代の楽器ではなくて、今回のようなクラシックタイプの楽器を使うとよりスムーズにオケ&奏者にフィットするのは間違いない。今までは楽器そのものの供給がなかったけど、エッガーにしろ、ミュンクヴィッツにしろ近年はヨーロッパの工房が徐々にそうした道をプレーヤーと一緒に開拓しているように思われる。
そういう意を強くした今回の展示会だったが、惜しむらくは金管楽器関係者があまりにも少なくてせっかくの展示がもったいない気も同時にした。多分古楽に的を絞るより金管楽器関係の催し物(トランペットフォーラムとか夏の金管関係のセミナーとか)に出展したほうが興味を持ってくれる人の目により多く触れるのではなかろうか。今度機会があったらそう伝えておこう。
