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2008/08/15

勝手コメント(トランペットのメーカー)

それでは各社メーカーへの私の独善的勝手コメントです。
まずは補正孔付きのバロックトランペットを主に作っているメーカーから。

Egger
スイスのバーゼルにあるエッガーの工房ではルネサンスからバロック、スライドトランペットまでさまざまなモデルを作っています。バロックタイプのモデルは Ehe III (1746)、 ショートタイプ(補正孔3つ)ロングタイプ(補正孔4つ)の2つがあります。希望によりベルを Haas のモデルに変えることも可能です。ヒストリカルモデルは伝統的工法で手作りで作ったもの、スタンダードモデルは一部近代的工法も利用して作ったものです。ヒストリカルの方が製作に手間がかかる分値段設定が少し高くなっています。
ここの工房はフリーデマン・インマーやエドワード・タールなどナチュラルトランペットの普及に努めた人たちと長年共同で開発をしてきているので、製品の品質も良く信頼がおけます。またいろいろな調への替え管(クルーク)のオプションも豊富です。孔なしのナチュラルトランペットももちろん製作しています。マウスピースもいろいろなモデルがありますので重宝します。ナチュラルトランペットにおける Vincent Bach (モダン楽器のスタンダード)っていう位置づけでしょうかね、ここの製品は。私がメインで使っている楽器もエッガーです。安心してお奨めできます。
日本でも取り扱っているところがありますし、アメリカのバロックトランペットショップ経由でも購入できます。ただ本当に選択肢が多いので、直接エッガーにメールしてマイスター(Rainer Egger)や彼の奥さん(Rose Egger)と相談しながらモデルやパーツを決めて購入するのが一番納得感があるかもしれません。

Keavy
ステファン・キーヴィはイギリスのナチュラルトランペット奏者です。トン・コープマン指揮するアムステルダム・バロックオーケストラのバッハのカンタータ全集でトランペットを吹いていますね。補正孔4つのロングタイプを作っています。彼自身が奏者だからということもありますが、実務的なイギリス人らしくオケでも使える安定感のある実用的な楽器を提供してくれています。モデルはいくつかのオリジナルを参考にしていますがモダン仕様に近い感じがします。機械を使って製作しているので値段も高くなく、注文してから届くまでの納期も長くないです。クルークも一通りの調が廉価で揃う(AからFまで)ので古典派までカバーしようという際には便利だと思います。マウスピースを挿入するリードパイプの標準仕様がモダンのマウスピース用になっていますが、バロックのマウスピース用のアジャスターも売っています。コストパフォーマンスを考えるととりあえず初めの1本という場合に向いているのではないかと思います。
ホームページはないので注文はメールでということになります。

Monke
ドイツではモンケの3つ孔バロックは入門用としてかなり普及しているようです。ちょっと楽器の傾向がモダンに近い感じがします。

Munkwitz
北ドイツの港町、ロストックのミュンクヴィッツの制作する楽器はバロックではやはり3つ孔のショートタイプです。ここは他のメーカーと違いドレスデンのリーデルというオリジナルをモデルにしています。オリジナル工法に則った良心的な作りの楽器ですが、近年はずいぶんと値上がりしてしまいました。日本で総代理店になっているところが神奈川県の茅ヶ崎にありますので、試奏して購入することができます。

Naumann
アメリカのメーカー、ナウマンは当初補正孔3つのショートタイプを作っていましたが、近年は4つ孔のロングタイプも製作しています。キーヴィと同じくレスポンスなどがモダン楽器から移行して初めて吹くのには適していると思います。私が最初に手に入れたナチュラルはここの製品でした。最近はカナダに移住したバロックトランペットの名手ニコラス・エクルンドやオーストラリアのジョン・フォスターがアドヴァイザーになっているようです。バロックトランペットショップ経由で購入することができます。

Parker
イギリスのパーカーはバロックタイプでは Ehe III (1746) をモデルとした補正孔4つのロングタイプを作っています。つまりエッガーと同じモデルで、私の吹いたところ吹奏感はキーヴィに似ている印象です。値段も高くなく、納期は数ヶ月と短めです。難点はこの楽器はずっしりと重たく、長く持つには辛いかもしれないっていうところでしょうか。

Webb
イギリスのオリジナル楽器(Harris, Shaw)に基づいたロングタイプ(補正孔4つ)を製作しています。ベルのところに銀で美しい装飾が施されています。値段は少々高め。納期は1ヶ月だからすぐ手に入ります。ここの楽器はある音大の備品として納品されているのを吹いたことがありますが、それは楽器が古かったせいか、いまひとつという感じでした。ちゃんとした楽器を吹いてみて評価を下したいので、品質についてはノーコメントとしておきましょう。日本で輸入を手がけていた店があったのですが、今は店じまいをしてしまいましたので購入するには直接メーカーにコンタクトする必要があります。

次回はオーセンティックな楽器製作のメーカーの紹介です。

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