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2008/09/28

ナチュラルトランペットのレパートリー(ドイツ編)

ドイツ

ドイツの作曲家、年代順にいってみましょうか。

Michael Praetorius / In dulci jubilo
全3巻のシンタグマ・ムジクム(音楽大全)や舞曲集テルプしコーレで有名なプレトリウスが編曲したクリスマスの曲の中に5本のトランペットアンサンブルが華やかに使われています。1619年の出版だからこれは次にあげるシュッツの影響を受けたものかもしれません。

Heinrich Schutz / Danket dem Herrn SWV45 from Psalmen David
ドレスデンの宮廷楽長を長く務めたシュッツは若い時にヴェネツィアに留学して最新のイタリア音楽の影響をもろに受けました。このダヴィデ詩編の出版は1619年ですが多分作曲年代は1612から1615の間。譜面にはプリンシパルのトランペットパート1つが書かれているだけですが、モンテヴェルディやガブリエリを師としイタリアもの大好きなシュッツのことだからオルフェオと同じようにトランペットアンサンブルで演奏されたに違いありません。CDの演奏を聴いてもそれぞれに自由にアレンジされていてトップパートの即興の素材としてもいいかもしれません。

Heinrich Schutz / Buccinate SWV275
         Jubilate Deo SWV276 from Symphoniae Sacrae I

どちらもシンフォニア・サクレ第1集(1629)から。それまでは主に野外で吹き鳴らされる粗野な楽器であったトランペットが徐々に室内アンサンブルにも使われるようになってきたはしりの曲と言えるでしょう。

Heinrich Schutz / Weihnachtshistorie SWV435 より
シュッツのクリスマス物語。間奏曲の6曲目でトランペット2本を従えてヘロデ王がいかにもエラそうに登場します。この頃から王様とトランペットは切っても切れない関係にあったわけですね。

Johann Pezel / Bicinia集より
ライプチッヒのシュタットパイパー(都市楽師)だったペーツェルが1675年に出版した曲集の中にトランペット2本と通奏低音のSonatina(69番から74番まで)とトランペットとファゴットと通奏低音のSonata(75番)があります。どれも難しくて当時のシュタットパイパーのレベルの高さがわかります。

Georg Philipp Telemann / Concerto in D
バロックトランペットのコンチェルトと言えば何と言ってもこの曲。一説にはテレマンの弟子の作曲ともいわれています。アダージョで始まるメロディアスな第一楽章で上のDまで上昇するところ、アレグロ楽章の軽やかなところなど聞いているだけでたまらない魅力の曲です。

Georg Philipp Telemann / Tafel Muik II Teil
テレマンをもう一曲。ターフェルムジーク(食卓の音楽)の第2組曲。トランペット1本オーボエ1本と弦合奏のアンサンブルです。これはもう純粋にオーボエとの掛け合いが楽しい。でも全曲吹き通すにはスタミナが必要そうです。

Johann Sebastian Bach の曲
ナチュラルトランペットを演奏するならば何と言ってもJSバッハのレパートリーは欠かせないでしょう。トランペットパートだけを抜粋した全集がMusica Raraから全3冊で出ているのでこれをみると全部を俯瞰することができます。また全集ということでは今エドワード・タールの監修の元にCarusから全4巻(うち第2巻が未刊)が出版される計画なので、今から買いそろえるならばこちらの方をお奨めします。

Cantataより
カンタータはバッハの音楽の多様性に触れることができる音楽の森といって過言じゃないでしょう。トランペットの出番についても例外じゃありません。さらい甲斐があります。気に入っている曲を列挙してみましょう。

トランペットソロの曲
147, 75, 76, 66, 51, 110-6, 70, 77, 90, 103, 128

トランペット3本または4本の曲
29, 31, 41, 119, 120, 129, 130, 172

その他の曲
Christmas Oratorio BWV248
Messe h-moll BWV232
Magnificat BWV243a
Orchestersuite No.3 BWV1068
Orchestersuite No.4 BWV1069

ここらへんの曲はもう有名どころだから解説は不要でしょう。クリスマスオラトリオは第1曲の3本の曲もわくわくしますし、8曲目のソロも吹き甲斐があります。最後の最後(64曲目)に大変なソロの曲が待っているのもドキドキものでしかも最後の音はハイD! これが気持ちよく吹けたらラッパ冥利に尽きます。
ロ短調ミサも大曲ですね。吹くところがいっぱいあってしかも目立ちます。
マニフィカトはちょっとつらいけどin DのBWV243じゃなくて半音高いin EsのBWV243aがお勧めです。243でオーボエに取って代わられた10曲目の定旋律がとてもおいしいところ。

ともあれ、バッハの曲にははずれはありません。全部お勧めといってもいいくらい。やはりここは全集を揃えてブランデンブルクの2番も含めて全曲制覇をしたいところです。

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