ナチュラルトランペットのレパートリー(イタリア編)
バロック時代にはトランペットは高貴な存在として扱われていて、トランペットがかっこ良く活躍する曲がたくさんあります。この稿ではどんな曲があるのか、さらって楽しい曲あるいはトレーニングに有効な曲などを作曲者の国別に紹介していきたいと思います。イタリアから行ってみよう!
イタリア
Claudio Monteverdi / Toccata from Orfeo (1607) まずはこの曲、元は北イタリアはマンチュアのゴンザーガ家のテーマ曲ですが、モンテヴェルディが世に問うた世界最古のオペラ「オルフェオ」の冒頭を、5本のトランペットによるファンファーレで華やかに開幕を告げます。
Girolamo Fantini / Sonatas (1638) 教則本の稿でふれたファンティーニの本の中には練習曲やデュエットの曲などの他に通奏低音付きのトランペットの小品が数曲含まれています。タンギングやトリルなど、いわゆる初期バロックのマナーは現代とはかなりかけ離れていますので、モダン的演奏で吹いてもさっぱりサマにならないという難物ですが、それをなんとか物にしようという練習に最適かもしれません。後でプレーヤーの項目で触れますが、ニコラス・エクルンドの演奏(NAXOS)がとても参考になります。
Giovanni Buonaventura Viviani / Sonata prima, Sonata seconda (1678) ファンティーニは勉強になるけど、所詮ラッパ吹きが曲を書いたって言う面があって音楽的な完成度という面から見ると今ひとつという気がしないでもないです。そこへいくとこのヴィヴィアーニの2つのソナタは良く書かれてあって音楽的にも満足がいきます。自分にとっては1番、2番のソナタともにアダージョ楽章をどう歌うかが結構難しい課題です。
Arcangelo Corelli / Sonata いわゆるトリオソナタの原型を作ったのはこのコレルリあたりなんでしょうか。ヴァイオリン曲が多い中で1曲トランペットのためのソナタを作曲しています。緩急楽章が交替する形式でアレグロの楽章はヴァイオリン2本とのカノンになっていて楽しい曲です。
Maurizio Cazzati / La Caprata, La Bianchina, La Zabeccari (1665) 16世紀末から17世紀初頭のコルネットにおける聖地がヴェネチアのサンマルコ大聖堂だとすると、同時期のトランペットにおけるメッカは間違いなくボローニャの聖ペトロニオ教会でしょう。ボローニャは中世から大学町として発達しましたので、音楽も盛んでした。カザッティはそうした音楽家の1人で作品35のソナタ集の中にトランペットを含むものが3曲あります。中でCaprataはミュートをつけることが指定されており、オルフェオのトッカータと同様、ミュートの使用が一般的だったことが伺えます。
Giuseppe Torelli / Sonata G1, G7, Concertoなど
ボローニャの作曲家では他にもBononchiniやDomenico Gabrielli、Manfredini などがトランペットの活躍する曲を書いていますが、このトレルリは最もトランペットを活かした多くの曲を残した作曲家だといえます。トランペットの音域や得意なフレーズに知悉していてそれを有効に曲に活かしています。中でも私の好きな曲はスローな始まり(とはいえテンポ指定はないのだが)のG1で、曲の最初のテーマが最終楽章のアレグロの途中で回想されるところなどは見事な仕掛けだと思います。
Alessandro Stradella / Sinfonia avanti "Il Barcheggio" (1681) ストラデッラはモデナの作曲家。その生涯は極めてドラマティック(というか最期は殺されているんですね、この人は)ですが、曲は典型的なバロックのソナタ(アレグローアリアーアレグローアリア)形式になっています。それぞれの曲の開始がトランペットソロなのもカッコいいのですが、そのトランペットの扱いがメロディアスなのがトレルリと同じく魅力的です。
Alessandro Scarlatti / 7 Arie con Tromba sola Alessandro Scarlatti / Cantata "Su le sponde del Tebro" スカルラッティ父子の父の方。ナポリの宮廷やサロン用の曲をたくさん書いています。ここに挙げた曲はいずれもソプラノとのアンサンブル曲。ソプラノとトランペットは相性が良くて、競演という名がふさわしい華やかな曲です。
Antonio Vivaldi / Concerto in C イタリアの最後にヴェネチアの作曲家、ヴィヴァルディの2本のトランペットのためのコンチェルトを挙げておきましょう。2本のトランペットが最初と最後のアレグロ楽章で掛け合い的に細かいパッセージを競い合います。有名な曲なのでCDなども多いですね。
ヴィヴァルディにはまたグローリアという合唱曲でも1本のトランペットが効果的に使われています。
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