「ベルリンフィル ー最高のハーモニーを求めて」(ネタばれ注意)
昨日はベルリンフィル、アジアツアーのドキュメント映画を観る。
映画館に行ってみたら知り合いいるかな、と思ったがやはり某オケのオーボエ吹きに会い、並んで観ることに。
現在のベルリンフィルを団員と常任指揮者(サイモン・ラトル)の視点から描いて行く。2005年のツアー(北京、ソウル、上海、香港、台北、東京)のそれぞれの場所でのこまぎれなローカル映像の中にこれもまたこまぎれなインタヴューをはめ込み、団員達の想いや立場、オケ生活、この特別なオケに対する気持ちなどの舞台裏をじわじわと明らかにする。ツアーが進むにつれテーマも移って行く。
現役の団員の話なだけに先の映画(帝国オーケストラ)に比べると一段とリアリティがある。
ラトルはいつの間にかサーの称号がついていたんだね、知らなかった。
ツアーの曲(英雄の生涯、エロイカ、それに現代曲)もインタヴューの構成に合わせるように上手く使われていた。それにしても、あの音が全部リハも含めて全部ライヴっていうのがすごい。(現代曲のリハでのリズムにてこずっているところを除き)常に完璧な音だね。北京到着直後、時差ぼけでの英雄の生涯の出だしの音はなんなんですか、あれは。
台北でのシーンにはちょっとうるうるとしてしまったが、あそこで終わったね、という意見には同感。後で冷静に考えてみると仕組まれていたのかなとも思う。というのも、香港でも野外放映があり、そして台北でも。っていうのは普通やらないよね。あのツアーはドキュメントを撮るよっていうのが先に決まっていて、じゃあ絵になるSomething Special を演出しよう!っていう企みだったのではないかと。どうせやるなら東京でやって欲しかったよね。無料ならファンだって一杯集まるだろうし。あ、広い場所がないのか。
それから、トライアル中の団員達だけじゃなくて、今回のツアーで引退という団員にももっと焦点当てれば違う切り口の描き方も付け加えられただろうにね、ちょっともったいない感じもした。
上映の後、スクリーンにも頻繁に登場したホルンのサラ・ウィルスが舞台挨拶。おいしいおまけ付きだった。
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