1Q97 フィリップ・ジョーンズ招聘 そして
1997年(平成9年)のできごと
4/19 - 4/20 合宿(岩井 民宿沼田)
6/8 第62回チャペルコンサート(立教小学校)
6/15 第18回定期演奏会(石橋メモリアルホール)
プログラム
I 「音楽の楽しみ」(1621)より(S. シャイト/中村孝志編)
II ヴェニス・聖マルコ寺院の音楽(G. ガブリエリ)
第1旋法によるカンツオン第1番 (1597)
3つのヴァイオリンのためのソナタ (1615)
カンツオン第28番 (1608)
III オラトリオ「ソロモン」より「シバの女王の入場」(G.F. ヘンデル )
IV イギリス組曲より3つの楽章(J.S. バッハ/ J. クーツィール編)
プレリュード/サラバンド/ガボット
V 金管のための3つのバガテル(A. グート)
VI ガーデンレイン(武満徹)
VII ロンドンの小景(G. ラングフォード)
出演
Trp 大津留史郎、北村和弘、中村孝志、山岸善樹、山本陽史 Hrn 西岡淳
Trb 今村和司、川原洋二、志村努、関根一臣 Eup 川原晴子
Tuba 土田恭四郎
僕が日本屈指の古楽集団アントネッロの濱田氏に弟子入りしてバロックの勉強を始めたのは1995年秋のこと。この頃は既にその世界にどっぷりつかっていた。自分の指向がそうだったので、メンバーの理解が得られれば、なんとかブラスアンサンブルの演奏にも古楽奏法を取り入れてみたいものだと思っていた。アーティキュレーションの付け方、音のシェープ、とりわけメッサ・ディ・ヴォーチェ(音の中程を膨らます)などはモダンの金管奏法とは相容れない部分もあるので抵抗は多いかもしれないが、ロンドンブラスのガブリエリの録音など古楽奏者のフィリップ・ピケットのアドヴァイスによりかなりそれに成功していると思われたので、バレンタインとしてもどこまでできるかやってみたかったのだ。
そんな思惑で実際濱田さんにも1度練習を見てもらった。なんとか古楽奏法のアイデアを入れてみたかったのだが、結果はやはり中途半端なものに終わってしまったと言わざるを得ない。メンバーの反応も「面白い試みだけどねえ、今ひとつどう吹いたらいいのかわからないし」と困惑ぎみだったようだ。結局は奏者がスタイルを身につけられるかどうかがポイントだし、その徹底には時間がかかるんだなと今となっては思う。お願いされた濱田さんもどう指導したらいいものか悩まれたのではないかと思う。
さて、話をコンサートに戻すと、武満徹のガーデンレインはSVBEにとってチャレンジングな選曲だった。指揮は山本。終曲のロンドンの小景では曲に合わせてご当地のスライド映写をするという試みもやってみた。アンコールはトロンボーンアンサンブルの小品と「ルスランとリュドミラ」序曲。これは確かグッドアップブラスから借りた譜面。歌は珍しく山岸さんソロによる「おやじの海」。〆のヴォランタリーはナチュラルトランペット2本でやってみた(けど、ボロボロだった。このころはナチュラルの吹き方を知らなかったんだね)。
10/11 第11回ブラスアンサンブルフェスティバル in 愛媛今治
会場:今治市公会堂
幹事団体:愛媛ウィンドアンサンブル 参加18団体
特別ゲスト:フィリップ・ジョーンズ
演奏曲目:金管のための3つのバガテル(A. グート)
ガーデンレイン(武満徹)
なんと2年越しで交渉していたフィリップ・ジョーンズ氏の来日が実現することとなった。アマチュアの団体がなんの後ろ盾もなくブラスアンサンブルの開祖を招聘し、それに応えてはるばるイギリスからこのためだけに来てもらえたというのは快挙だったんじゃないかと思う。どきどきしながら成田に迎えにあがるが、直接ご本人とお会いするのは成田が初めて。なにしろこれまで神とも崇めていた方をアテンドするのだからと相当緊張していたのだが、そうした懸念はお会いした一瞬のうちに吹き飛んでしまった。最初から要を得た会話で、もう何年間もお付き合いいただいているような感覚に陥ったくらいだ。
フェスティバルではクリニックや御前演奏、一緒の宴会やPJ賞の授与などNABEOの参加団体の人たちにも喜んでもらえてあの時にNABEOで招聘できて本当に良かったと思う。たぶんあの時が来日の最後のチャンスだったと思う。
詳しい顛末は2007年10月のブログに書いたのでそちらをご参照いただきたい。
バレンタインはガーデンレインを再演。指揮は中村。ホルンの西岡が所属オケの本番とバッティングしたため来られず、ムリを言って上野の森ブラスの澤さんにエキストラをお願いした。残念ながら本番のステージでは譜面が落ちるなどの事故があったのが悔やまれる。
10/12 フィリップ・ジョーンズ公開クリニック(今治市中央住民センター)
曲目:「音楽の楽しみ」より(S. シャイト/中村編)
アンサンブルクリニック。戦いのガイヤルドなど最初こそ自分たちが努力した古楽奏法も意識した演奏スタイルだったのだが、PJのアドバイスが入る都度、徐々に聴き慣れたPJBEの解釈の曲になってしまったのは、悔しいけどさすがの影響力だった。
10/20 ミーティング(池袋 ギョーザ楼)
いろいろ思うところがあって、フェスティバルでの演奏を機に団を離れることとした。古楽演奏に傾倒していてモダンのブラスアンサンブルに対する興味が薄れてきたことと、やりたいことはやり尽くしたかなという気持ちもあったので辞めることについて未練はなかった。
ただ、自ら代表をやっていただけに、自分のわがままで辞めてしまって、残って続けたいというメンバーにはとても迷惑をかけたと思っている。東京に戻り、今後の体制をどうするかのミーティングが池袋で開かれた。それに顔を出したのが僕のバレンタイン活動の最後ということになった。ちなみに団の代表はそのときに山岸さんに引き継いでもらい、現在に至っている。
さて、唐突な幕切れで申し訳ないのですが、私のバレンタイン史は以上で終了です。バレンタインは今も活発に活動していますが、これ以降のできごとはどなたか他のメンバーに訊いていただくしかありません。最初からここまでお読みくださった方々、どうもありがとうございました。正確さは期したつもりですが、なにぶん私の記憶と独断に依るものなので、きっと思い違いや失礼な文章があるとは思いますが、その点はご容赦ください。ここが違うよとか私の記憶違いがあればお知らせいただけると幸いです。
それでは
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