比較してみた(その1)
新着の楽器があるといろいろ比較したくなる。
まずはベルのサイズ。
測ってみたのは時代の古い順に以下の5つの楽器。
1. ルネサンス・スライドトランペット
モデル:Hans Memlinc 1433-1494の絵を元にしたもの
製作者:Geert Jan van der Heide
2. バロック・ナチュラルトランペット
モデル:Johann Wilhelm Haas 1649-1723, Nuremberg
製作者:Markus Raquet
3. バロック・ナチュラルトランペット
モデル:Johann Leonhard Ehe II, Nuremberg 1746
製作者:Rainer Egger
4. クラシカル・インベンショントランペット
モデル:Micheal Saurle 1772-1845, Munich
製作者:Markus Raquet
5. クラシカル・キイトランペット
モデル:Joseph Ignaz Meindl, about 1830 Bohemia
製作者:Geert Jan van der Heide
計測をしたのは次の4つの部分
a. ベルの直径
b. ベルから5cmの部分の管の太さ(直径)
c. ベルから10cmの部分の管の太さ(直径)
d. ベルから20cmの部分の管の太さ(直径)
計測結果をマトリックスにすると次の通りだった。(単位はcm)
1 2 3 4 5
スライド ハース エーエ インベ キイ
a.(ベル直径) 10.5 11.4 11.0 11.0 12.0
b.(ベル5cm) 4.5 3.5 4.4 4.6 5.5
c.(ベル10cm) 3.4 2.8 3.2 2.9 3.5
d.(ベル20cm) 2.8 2.1 2.1 1.8 2.5
今回到着した4.のインベンショントランペットに関して言うと、ベルは大きくないものの、朝顔の広がり方が細いところから始まって最後5cmくらいのところでは結構広がっている感じ。バロックのハースモデルほど最後の広がり方は急じゃないけど、ボールのあたりの細さはむしろインベンションの方が細い。
従って音色はベルの開き方がフリューゲルに似ているキイトランペットが一番まろやかな音がするのに対して、同じクラシカルでもインベンションは明るい音色だ。むしろ2ndトランペットには線が細すぎるのではないかという懸念もある。それ以外のものについてはベルの広がり方が一番穏やかなルネサンスタイプはやはり野太い音がする。エーエとハースは同時代のニュルンベルグのバロック時代のものだからだろうか、音色的にはそれほど差がないように思われる。ややハースの方が明るいかも。
ベルの直径は時代とともに大きくなっていったわけでもなく、むしろ地域やマイスターの好みによるものだったのかもしれない。
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