コルネットの2つのCD
最近入手した2つのコルネット(古楽器)ソロのCD。
一つは師匠にこんなの出てるよと教えてもらった、マイケル・コルバーの「Ricercare」。オルガン伴奏のディミニューションも数曲入っているが、大半はタイトルの通りバッサーノやヴィルジリアーノのリチェルカーレ(無伴奏ソロ曲)をこれでもかというくらいにガンガン吹きまくっている。圧巻はビーバーのロザリオのソナタからシャコンヌ。ずっと聴いているとこれはソプラノサックスの演奏なのか?と惑うくらい。いやあ、技術的にはすごいんだけど、正直言ってコルネット吹きの僕ですら数分聴いていると「もういいか」ってお腹いっぱいの感じになってくる。
曲のせいなのか、演奏のせいなのか。確かにリチェルカーレって練習してても今ひとつどこが面白いのかさっぱり、という性格の曲(少なくとも僕にとっては)だし、それを音楽的に聴かせるって至難の技じゃないかとは思う。演奏は先に書いたとおりフィンガリングにしろスタミナにしろ超人的で、真似して吹いてみろといわれてもできないくらい見事なんだけど、それを聴いて楽しいかと訊かれれば「いやそれほどでも」って感じなんだよなあ。たぶん演奏している方は楽しいんじゃないかとは思うんだけれど。
ーームカシ、ジブンモソンナエンソウヲ無理矢理ヒトニキイテモラッタコトガアッタッケーー
もう一つは先日タワレコで入手したブルース・ディッキーの新しいソロCD「La Bella Minuta」。確か去年の10月くらいに、リリースしました、と本人がFacebookに告知していたけれど、やっと日本に入って来たというわけだ。
中身はオルガンとガンバアンサンブルを伴奏としたコルネットでのディミニューション及びアンサンブル曲。91年にリリースされた同じディッキー氏による「なんと官能的なコルネットよ」というソロCDの続編みたいなもの。
これはもう何と言ったらいいか、初期バロックの王道を行く内容で、コルネット吹きにとってみると直球をど真ん中にズバーンと攻められた感じ。
まず全体の響きが魅惑的。録音場所も一役かっているだろう。これはマントヴァの教会で収録されたものだけれど、ヨーロッパの古い教会の音響はそこで音を出してみると病みつきになるくらい何にも代え難いものがある。オルガンはそれこそその音楽があった当時の16世紀のものだし、教会の礼拝堂に広がっていく艶やかなコルネットの音色の素晴らしさ。それに奇をてらわない正攻法の、それでいてセンスのいい演奏スタイルと(音程やダイナミクスなど)完璧にコントロールされた技術。さすがブルース・ディッキー、依然としてこの楽器の第一人者だなあと感じ入ってしまった。思わず、襟を正して聴かなければ、と思ったものだった。
というわけで、久しぶりにマイ・コレクションに加わったコルネットのCDがそれぞれに対照的だったのが面白かった。
