体はどれだけ憶えているか
この数日さらうのはラッパばかりだったので、ちょっと不安になって106番のリコーダーを数日ぶりにさらってみた。指と息がシンクロすることを確認してホッと安心。
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こういう体に憶えさせた技ってどれくらい保持できるものなんだろうか。例えば自転車乗りとかスケートやスキーをするっていうのは(錆びつく面はあるだろうが)一旦習得してしまえば一生もののような気がする。
で、楽器演奏ってどうなんだろうね。ひところ必死でさらったテレマンのファンタジー(リコーダー)とか今でも暗譜でいける一方、リュートは全部リセットとまではいかないものの、ブランクがあると思い出すのに時間がかかる。
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楽器の習得プロセスを考えてみると、例えばリコーダーをさらっていて演奏するのに難しいフレーズがあるとして、それがフィンガリングの問題とタンギングの問題との両面があるとすると、まず僕らはそれをゆっくりとさらうことから始める。すると、フィンガリングについては最初は突飛な指使いの連続する動きで孤立していた音の羅列と思われていたものが、だんだんとつながりとして捉えられるようになる。タンギングのタイミングについても同じこと。それは例えて言えば脳のシナプスが関連性を見つけてネットワークを作って行く作業に似ている。そうやってゆっくりと何遍も指の動きを憶え込ませるのと徐々に早くしていくのを同時に行う。一旦シナプスがつながればもうそのフレーズは慣れた音階を吹くのと同じレベルになっていくということだ。
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一旦つながったシナプスのネットワークは意外と長持ちするのではないだろうか、根拠はないけど。細胞レベルでは記憶させたときのシナプスはもうとっくに代替わりしているにもかかわらず。どれだけ体内にたくさんのネットワークを築けたか、が、いわゆる「技」ということになるのではないか。
先日TVでフィギュアスケートの往年のメダリストたちによる大会をやっていた。もちろんオリンピックなどで活躍していた当時の滑りではない。体重やスタイルも違うし筋力だって絶頂期のように連日鍛えているわけではなかろう。しかし、その滑りは見事に美しかった。それはチカラ技ではないスケーティングの技というものを(頂点を極めた人たちだからこそ)超一流のレベルで保持しているからだろう。
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アンチエイジングというと、どうしても経年とともに避けられない体力の衰えを如何に軽減するかばかりに気がいってしまいがちだが、練習でどれだけ技を蓄えていくか、それがプレーヤーとして長く現役を続けて行く秘訣なのかもしれない。
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