カテゴリ: J. S. Bach
タイトル: Johann Sebastian Bach / Cantata ”Unser Mund sei voll Lachens” BWV 110
曲について:バッハのカンタータ第110番「笑いはわれらの口に満ち」は第63番と同じく降誕祭第一日目のための曲。初演は1725年12月25日、バッハがライプチヒでの3年目の年に当たる。トランペットの出番は3曲あり、1曲目の合唱では3本、6曲目のバスのアリアと7曲目のコラールではトランペット1本が使われている。1曲目は管弦楽組曲第4番からの転用(パロディ)で、華やかなフランス風序曲と合唱も加わるテンポの速い中間部から成る。演奏する立場から言うと出だしの3和音のコードが(音が高いだけに)綺麗に決まるかどうかがドキドキの曲でもある。6曲目はバスソロにからむオブリガートの役割だが音符こそは細かいけれど高い音も頻出せず(上昇音形でハイDが一回あるのみ)、演奏効果も高くてラッパ吹きにとってはおいしい曲。7曲目はコラールのソプラノとのユニゾンでおそらくトロンバ・ダ・ティラルシ(スライドトランペット)の使用を想定していたと思われる。
これも録音年月の古い順から紹介しよう。
演奏団体: Nikolaus Harnoncourt / Concentus Musicus Wien
録音年月: 1978. 2
レーベル: Teldec 825646718535
コメント: 75年の63番の演奏に比べるとかなり楽器に慣れてきたなと感じさせる。クリアな録音でオーボエもトランペットも若干尖っていて刺激的。6曲目は全体的にマルカートな演奏で5小節目から始まる16分音符のメリスマは全部均等タンギング。これも今ではありえないスタイルで時代を偲ばせるものだ。
お奨め度:
演奏団体: Philippe Herreweghe / Collegium Vocale
Trumpet: Susan Williams, Maarten Van Weverwijk, Leif Bengtsson
録音年月: 1995.12
レーベル: Harmonia Mundi HMX 2908138
コメント: 私事だが2007年にブレーメンでスーザン・ウィリアムズのクラスに参加させてもらったときの素材がこの序曲(正確には管組4番)だった。出だしの高音をいかに緊張しないで決めるかということについてとても貴重なアドヴァイスをもらったのもこの曲。これを聴くとそのときのことを思い出す。
さて、ウィリアムズの演奏はくせがなく模範的。6曲目など無理なく自然に歌っている。
お奨め度:
演奏団体: John Eliot Gardiner / English Baroque Soloists
Trumpet:Gabriele Cassone, Paul Sharp, Mauro Bernasconi
録音年月: 2000.12
レーベル: SDG 113
コメント: 1曲目が派手に始まったと思うと6曲目では逆にちょっと控え目になった。録音のせいだとは思うがこのバランスが逆だったら良かったかも。6曲目は技も鮮やかでダカーポ後には細かな装飾も入っている。ライブで興が乗るとそういうアドリブをやりたくなるものなんだよね。
お奨め度:
演奏団体: Ton Koopman / The Amsterdam Baroque Orchestra
Trumpet: Stephen Keavy, Jonathan Impett, James Ghigi
録音年月: 2001.11
レーベル: Antoine Marchand CC72215
コメント: キーヴィのソロはちょっと前のめり。それが弦と打ち消し合ってあまり線が浮かび上がって来ないのが残念。
お奨め度:
演奏団体: Diego Fasolis / I Barocchisti
Trumpet: Markus Würsch, Thomas Wigger, Roland Klaus
録音年月: 2003.11
レーベル: Arts 47717-8
コメント: 出だしから先鋭的なバッハ。16分音符のアウフタクトがやけに厳しくて耳に痛いくらい。これは指揮者の好みなのかな。ところが一転して6曲目はゆったりめのテンポで表情豊かな歌い方。これはバスソロのメルテンスの影響が大きいかもしれない。この曲に関してはこのCDの演奏も捨て難い。
お奨め度:
演奏団体: Masaaki Suzuki / Bach Collegium Japan
録音年月: 2008. 7
レーベル: BIS 1761
コメント: 会場の響きのおかげかとても堂々とした演奏。1つだけ気になる点は6曲目の出だしの中低音域の音色。五線の真ん中のソの音色が妙にくぐもっていてもったいない気がする。ドより上の音はきらびやかなのにね。これはこの録音に限らなくて他のBCJのCDでもそういう傾向があるのだけれどなぜなんだろう。
お奨め度:
演奏団体: Jos van Veldhoven / The Netherlands Bach Society
Trumpet: Robert Vanryne, Andreas Bengtsson, Leif Bengtsson
録音年月: 2009.12
レーベル: Channel Classics CCS SA 32010
コメント: 明るい音色がこの曲想に合っていると思う。 ヴァンレインはやはり自作の楽器なんだろうか。 6曲目は低音から高音までムラのない柔らかめの音色でしっとりと聴かせる。現時点でのベストCDはこれかな。
お奨め度: 推薦盤