職人の技
レヴューのためテレマンのターフェルムジークをまとめ聴きしている。6種類くらいあるがどれも甲乙つけがたい。これはもちろんそれぞれの演奏の素晴らしさもあると思うんだけれど、それ以上に曲が良くできているからなんじゃないかと思う。
テレマンのターフェルムジークはタイトルこそ「食卓の音楽」で、なんらかの機会音楽として作曲されたかのように誤解されやすいが、実際のところは商業的意図(つまり楽譜を出版することが目的)をもってテレマンが書いた器楽のみによる室内楽の集大成ともいうべき作品集である。実際、出版前の時点でドイツのみならず世界各地から予約が殺到し(中にはヘンデルなどの作曲家も多数含まれている)目論み通りテレマンはこれにより大変稼いだとされる。
テレマンの音楽は演奏してみると分かるのだけれど、楽器の使い方に無理がなく、それでいて演奏効果は高く、アンサンブルの楽しみを満喫することができる。だからプロ、アマチュア問わず楽譜を求める人が多かったんだろうなと容易に推察できる。これは彼が大衆に迎合しているということでは全くなく、そういうすべを心得た希有な音楽家だったからということだと思う。例えれば職人が丹精込めて仕上げた料理のごとく。鉄人テレマンのお店には行列が絶えなかったということだね。
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