ターフェルムジーク(トランペット奏者の観点から)
テレマンのターフェルムジークが作曲されたのは1733年、テレマン52歳の時だ。円熟期の作品といえる。3つの曲集からなり、それぞれの曲集は管弦楽組曲、四重奏曲、コンチェルト、トリオソナタ、ソロソナタ、終曲の6つの部分で構成されている。トランペットを含むのは第2集の組曲と終曲。いずれも編成は弦楽合奏にオーボエとトランペットを各1本加え、調性はトランペットが映えるニ長調になっている。
組曲はフランス序曲風のオーバチェアとそれに続く4つのエア(舞曲)の組み合わせで、どの曲も親しみやすい曲想で演奏していても楽しい。コンチェルトと違い全ての楽章にトランペットの出番があるのだが、適度に休みの小節がはさんであるので吹きづめでバテるということもない。また音域的にも極端な高音などがなく緊張せずに吹くことができる。このあたりさすが楽器の特性を熟知しているテレマンの作品だと感心する。この無理がなく演奏しやすいというテレマンの曲の特長は他の楽器にもあてはまるんだろうか、今度機会があったら訊いてみよう。
トランペット吹きとしては組曲と終曲だけではなく、テレマンがこの曲集にカルテットやトリオソナタは無理としても、トランペットのためのコンチェルトを作曲してくれてれば良かったのになあと思う。 トランペットコンチェルトと言えば例の有名なのがあるじゃないかと言われそうだが、あの曲は後年の研究により贋作(テレマンの弟子が作曲した)だという説が有力なのである。そう言われて改めて曲をみると、アダージョ楽章における異常なスタミナの必要性とか終楽章における高音域のフレーズなど、さきほど書いたテレマンの曲の特性から外れるところが多々ある。もちろんそれはこの曲の良さを損なうものでもないし、実際のところ自分も大好きな曲であることに変わりはないのだが。だから欲を言えばテレマンの真作のコンチェルトがもう一曲くらいあっても良かったのになあ、というくらいの要望ということで。
もし現代にテレマンが生きてたら、「ラッパが吹きやすくて聴き映えのするやつ、ひとつお願いしますよ」って頼めば多作家の彼のこと、苦もなくさらさらって書き上げてくれるんじゃないかなあ。
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