杉並公会堂とフンメルのコンチェルト
フンメルのトランペットコンチェルトは過去にも人前で演奏したことがある。
自分が大学4年生の時(1978/7/8)、所属する大学オケのサマーコンサートでのことだ。
場所は杉並公会堂の大ホール、改修した今のように綺麗な建物ではなくて、古ぼけた公民館のような施設だった。楽屋は2階で畳敷きだったように記憶している。でも音響は良かった。 指揮者のハウエルさんはこの曲をモーリス・アンドレと共演したことがあるということもあって僕もアンドレの演奏を参考にカデンツを入れたりしたのだった。
せっかくの機会だからということで九州から両親が上京してきてコンサートを聴いてくれた。僕の演奏を親が聴いたのはこれを含めてもほんの数回しかなかったと思う。 今から考えると小学校のときから続けてきた趣味をこうやって親に披露できたのは貴重な機会だったんだと思う。親孝行的な意味でも。
今から数年前、正月に帰省したときに、娘が作った「これしかない」のチラシを親に見せた時、親父が「杉並公会堂っちゅうのは孝志の演奏会を聴きに行ったところじゃろが」と云われて、場所を憶えているくらい記憶に残っているんだなあ、と感慨深かったものだ。
その父親は震災の年に急な病気で倒れてそのまま帰らぬ人となってしまった。
35年後に同じ杉並公会堂(ホールは小ホールながら)でフンメルを演奏できることになったのもなんかの縁だろう。
演奏会の3日前、容態が悪くなって急遽入院した母親が亡くなったのはその演奏会が無事終了して3日後のことだった。そんなわけでもはや演奏を聴いてもらうことは叶わなかったけれど、ちゃんとコンサートが終わるのを待つように逝ったのは母が気をつかってくれたからかもしれない。
もうちょっと親孝行しとくべきだったな。
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