"Fanfare and Finesse" (Elisa Koehler)
とても実務的で参考になる本が出た。
Fanfare and Finesse
--A Performer's Guide to Trumpet History and Literature--
Elisa Koehler (Indiana University Press)
ISBN 978-0-253-01179-4
読んで副題の通り。トランペットを演奏する万人にその歴史と文献の格好のガイドとなっている。
目次を見てみよう。
1. Fanfares and Finesse: An Introduction
2. The Natural Trumpet
3. The Modern Baroque Trumpet with Vent Holes
4. The Cornetto
5. The Slide Trumpet
6. The Quest for Chromaticism: Hand-Stopping, Keys, and Valves
7. Bugles, Flügels, and Horns
8. The Cornet
9. Changing of the Guard: Trumpets in Transition
10. Smaller Trumpets
11. Pitch, Temperament, and Transposition
12. Early Repertoire and Performance Practice
13. Baroque Repertoire
14. Classical Repertoire
15. Signals, Calls, and Fanfares
16. Strike Up the Band
17. The Modern Orchestral Trumpet
18. Jass and the Trumpet
19. Solo Repertoire after 1900
20. Brass Chamber Music
21. Trumpeting in the Twenty-First Century
各章のタイトルだけを見てもどれも僕のような古楽志向のトランペット吹きにはピンポイントでストライクゾーンなんだが、さらに素晴らしいのはこのあとに続く参考資料、
Appendix.A: Important Musicians
Appendix B: Significant Events in Trumpet History
Appendix C: Museums with Instrument Collections
Appendix D: Selected Recordings: An Annotated List
Appendix E: Period Instrument Resources
著者自身がこの付録は便利なはずって言っているけれど、確かにこの資料を見るためにだけでも購入する価値があろうというものだ。(その一端は先日の日記に載せた通り)
Koehlerさんは自身トランペット奏者であるが、Goucher音楽大学で教鞭もとり、また様々な団体の指導もされている。彼女が2002年にITGに寄稿した記事は僕も過去にこのブログにその骨子を転載させてもらった(初心者のためのナチュラルトランペット案内)が、その記事はこのブログの中でも最も閲覧の頻度が高いうちの一つとなっている。
先に述べた通りどの記事も興味深いが、特に古楽志向ではなくても、例えば17章のモダンオケのところでは、アメリカの15大メジャーオケでオーディションに使われる曲は何か、とか、オーケストラスタディの楽譜はどのようなものが出版されていてどれがいいかとか、本当にラッパを本格的にやっている人にも充分に参考になるんじゃないかと思う。英文も平易で読みやすいのがありがたい。(写真にリンクしたAmazonのページから中身を多少見ることができます)
ちょっと語り尽くせないけど、とりあえず購入して損のない本だということは太鼓判を押せる。
お奨めの一冊です。
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