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2014年4月

2014/04/18

やっぱり勝負にならないね

仕事関係の洋書の新刊、知り合いから「新宿紀伊国屋でゲットしたよ」との情報をもらい、当然丸の内Mにはあるだろうと思って昼休みに行ったところ「まだ入荷してません」との返事。普段はやらないんだけど、すぐ入ってくるだろうと思って、店員さんの「お取り寄せしましょうか」に同意してつい注文を出したのが敗因だった。

そこから待てども暮らせども連絡はなし。そろそろ2週間になるのでこちらから店に問い合わせをしたところ、「入荷してお取り置きしてありますよ」「いつ?」「ご注文の翌日です」「連絡もらってないよ」「いえ、携帯の留守番メッセージにご伝言を残しました」

携帯を調べても留守電どころか着信履歴もなし。
それからずっと連絡なしっていうのもどうなんだろうか。
ネット店舗に客を奪われるのもしかたないやね。

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2014/04/13

スライド対バルブ対決

先日紹介したKoehlerさんの本に次のような逸話があった。(P73-P74)

 それはナチュラルトランペットからバルブトランペットへの移行期、1834年のこと。イギリスで全盛を誇っていた英国式スライドトランペットと出来たばかりのシュトルツェル式バルブトランペット(2つバルブ)とどちらが優れているかのコンテストが行われた。場所は新大陸はニューヨーク、大富豪のウィリアム・二ブロの庭園と邸宅で、そこでは夏の間アウトドアのサマーコンサートが開かれていた有名な社交場でもあった。

 スライドトランペットを代表したのはもちろんイギリス人のジョン・ノートン、アメリカに渡ってくる前はロンドンのロイヤルアカデミー音楽院の最初のトランペット教授でもあった。バルブ式を代表したのはイタリア人のアレッサンドロ・ガンバーティで、イタリアオペラカンパニーでは弟のアントニオと共にキイトランペットを吹いていたこともある。

 イベントを盛り上げようということなのか、二人の競技者にはそれぞれパトロンがついていて、ノートンにはニューヨーク・タイムズ紙、ガンバーディにはニューヨーク・イブニングスター紙という地元のマスコミがサポートしたというのだからずいぶんと大掛かりな勝負になったもんだ。

 ノートンはスライドトランペットの名手ハーパーに倣い、ヘンデルのメサイアから有名な"The trumpet shall sound" とサムソンの"Let the bright seraphim"を演奏し、片やガンバーディはイタリアオペラからアリアとその変奏曲を披露した。
 ところがあまりにスタイルが違うので審判もジャッジしにくかったのだろう、初戦は引き分け、改めて同一の楽器で勝負してもらうということになった。その同一の楽器というのがナチュラルトランペット(ハンドストップ奏法あり)というのだから???だけれども。

 さて、決戦の8月22日金曜日の夜にはなんと約4,000人の野次馬が集まったというのだから驚く。楽器は揃えたものの、曲の選択は奏者に委ねられていたとくことで、ガンバーディはロッシーニの曲を演奏し、ノートンはヘンデルの代わりに大衆に親しまれたポピュラーな曲を演奏した。しかしその日も決着はつかず、翌月曜日25日の延長戦を経て勝利を手にしたのはイギリスのノートンだった。
 当時の新聞記事によると「おそらくガンバーティはキイやバルブのついていないナチュラルトランペットの扱いに慣れてなかった」かららしい。

のどかな時代。1834年と言えば第九の初演から10年、ブラームスはまだ1歳の赤ん坊のときか。当時聴衆に馴染みのある一般的な楽器はナチュラルトランペットのハンドストップ奏法だったんだということが分かる貴重な逸話でもある。

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2014/04/09

"Fanfare and Finesse" (Elisa Koehler)

とても実務的で参考になる本が出た。

Fanfare_and_finesse_2

Fanfare and Finesse
--A Performer's Guide to Trumpet History and Literature--
Elisa Koehler (Indiana University Press)
ISBN 978-0-253-01179-4

読んで副題の通り。トランペットを演奏する万人にその歴史と文献の格好のガイドとなっている。
目次を見てみよう。

1. Fanfares and Finesse: An Introduction
2. The Natural Trumpet
3. The Modern Baroque Trumpet with Vent Holes
4. The Cornetto
5. The Slide Trumpet
6. The Quest for Chromaticism: Hand-Stopping, Keys, and Valves
7. Bugles, Flügels, and Horns
8. The Cornet
9. Changing of the Guard: Trumpets in Transition
10. Smaller Trumpets
11. Pitch, Temperament, and Transposition
12. Early Repertoire and Performance Practice
13. Baroque Repertoire
14. Classical Repertoire
15. Signals, Calls, and Fanfares
16. Strike Up the Band
17. The Modern Orchestral Trumpet
18. Jass and the Trumpet
19. Solo Repertoire after 1900
20. Brass Chamber Music
21. Trumpeting in the Twenty-First Century

各章のタイトルだけを見てもどれも僕のような古楽志向のトランペット吹きにはピンポイントでストライクゾーンなんだが、さらに素晴らしいのはこのあとに続く参考資料、

Appendix.A: Important Musicians
Appendix B: Significant Events in Trumpet History
Appendix C: Museums with Instrument Collections
Appendix D: Selected Recordings: An Annotated List
Appendix E: Period Instrument Resources

著者自身がこの付録は便利なはずって言っているけれど、確かにこの資料を見るためにだけでも購入する価値があろうというものだ。(その一端は先日の日記に載せた通り)

Koehlerさんは自身トランペット奏者であるが、Goucher音楽大学で教鞭もとり、また様々な団体の指導もされている。彼女が2002年にITGに寄稿した記事は僕も過去にこのブログにその骨子を転載させてもらった(初心者のためのナチュラルトランペット案内)が、その記事はこのブログの中でも最も閲覧の頻度が高いうちの一つとなっている。

先に述べた通りどの記事も興味深いが、特に古楽志向ではなくても、例えば17章のモダンオケのところでは、アメリカの15大メジャーオケでオーディションに使われる曲は何か、とか、オーケストラスタディの楽譜はどのようなものが出版されていてどれがいいかとか、本当にラッパを本格的にやっている人にも充分に参考になるんじゃないかと思う。英文も平易で読みやすいのがありがたい。(写真にリンクしたAmazonのページから中身を多少見ることができます)

ちょっと語り尽くせないけど、とりあえず購入して損のない本だということは太鼓判を押せる。
お奨めの一冊です。

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2014/04/04

トランペットの歴史的イベント

1607 モンテヴェルディ、音楽劇「オルフェオ」でトランペットアンサンブルを起用
1614 ベンディネッリ、教本「Tutta l'arte della trombetta」を出版
1638 ファンティーニ、曲集「Mode imparare a sonare di tromba」を出版
1700頃 トレッリ、トランペットのための作品を多数作曲
1721 J.S.バッハ、ブランデンブルク協奏曲第2番を作曲
1762 M.ハイドンのTrpコンチェルトで最高音のA6まで使用
1795 アルテンブルグ「Versuch einer Anleitung zur heroisch-musikalischen
Trompeter-und Pauker-Kunst」を出版
1800 ワイディンガー、J. ハイドンのコンチェルト初演(作曲は1796年)
1804 ワイディンガー、フンメルのコンチェルト初演
1814頃 シュトルツェル、バルブ機能を発明
1827 パリ・オペラ座管で初めてバルブトランペットが使用される
1839 ペリネが現在広く使用されているピストンバルブの特許をとる
1855 ブラックダイク・ミルズバンド創設
1857 デュベルネ、教本「Methode」を出版
1864 アーバン、教本「Method for Cornet」を出版
1898 ブランデンブルグ協奏曲のモダン楽器での復刻演奏(Theo Charlier)
1906 エネスコ、「Legende」を作曲
1907 ハイドンのコンチェルト復刻演奏(Alphnse Goeyens)
1912 エワルドのクインテットの譜面が出版される
1939 ヒンデミット、「Sonate for trumpet and piano」を作曲
1948 トマジとジョリベのコンチェルトが作曲される
1951 フィリップ・ジョーンズ・ブラスアンサンブル(PJBE)結成
1955 モーリス・アンドレ、ジューネーブのコンテストで優勝
1958 フンメルのコンチェルト復刻演奏(Armando Ghitalla)
1959 マイルス・デイビス、「Kind of Blue」リリース
1964 ブランデンブルグ協奏曲のバロックトランペット(3孔)による初録音(Walter Holy)
1967 ビートルズの「ペニーレイン」でピッコロトランペットが使われる(David Mason)
1970 カナディアン・ブラス結成
1975 ITG(International Trumpet Guild)が設立される
1984 ウィントン・マルサリス、ジャズとクラシックの双方でグラミー賞受賞
1987 フリーデマン・インマー、キイトランペットでハイドンの協奏曲を録音
1988 HBS(Historic Brass Society)が設立される
2009 J. F. マドゥフ、ブランデンブルグ協奏曲を完全ナチュラルTrpで録音

あっという間に400年くらい経つもんだね

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