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2015/06/16

ITW Report(Day 2)

2日目の行程の説明に入る前に、今回我々が作っているトランペットについて説明しておこう。

ワークショップで作るナチュラルトランペットのモデルとなっているのはドイツのニュルンベルグのマイスターだったハインライン(Hanns Heinlein)が1632年に製作したものである。音楽史的には初期バロック、モンテヴェルディやファンティーニが活躍した頃にあたる。ヘンデルやバッハの盛期バロックよりは100年ほど前の時代なので、楽器のスタイルも朝顔の広がり方が穏やかだったり、いわゆるバロックトランペットとして世の中に普及しているモデルとはタイプが異なっている。

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ベルの広がり方が穏やかなのは、このワークショップにとって都合が良い。というのもベルを広げるのが少なくて済むのは今日のメインの作業であるハンマーリングの工程がより楽になるからである。時代が下って広がり方の大きいHaas ベルだとよほど大変なんだと思う。

*** 作業3:ベルの作成(その2) ***

まずは講師陣によるデモンストレーション。

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おっと、これは遊びのデモ。良い生徒は真似をしてはいけません(笑

バークレイ氏によるデモはこちら

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昨日作ったベルの部分を丸く広げるためにマンドリルと呼ばれるベルの内径を形取ったものに差し込み、ハンマーなどで叩いて丸くしておく。

それを今度はカナトコ(鉄床)に差し込み、金属のハンマーで叩いて拡げて行く。キンコンという高い音が響き渡り、一挙に鍛冶屋の雰囲気となる。バークレイズ氏が耳栓(ヘッドフォン)をしているのが見えるだろうか。

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金属は叩くと堅くなるので、再度柔らかくするためには熱してあげる必要がある。バーナーで溶接した部分を注意深く避けながらベルをあっため、ベルの最後5cmくらいの部分を徐々に拡げていく。
また、溶接部分は金属が2重になっているので、そこをハンマーで叩きながらシート1枚の薄さになるまで平たくしておく。

仕上げはまたマンドリルにはめ込み丸い金属の棒で力強くなめしていく。うまく広がらなければまたバーナーで熱して柔らかくして同じことを繰り返し、最終的にはマンドリルに奥までぴったりはまるまでひたすら頑張る。

では受講生の実演

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なんとかマンドリルに沿った形にベルを拡げることができた。ここがこのワークショップの工程の中で最もうるさくて最も体力を使うところだったようだ。因にこの工程ではバークレイ氏に一番お世話になった。

みんながベルを拡げ終わると工房には一挙に静けさが戻った。

*** 作業4:ボールの作成 ***

トランペットのベルから段々細くなっていく途中に丸いボールがある。これはアクセサリーでもあり、ラッパを右手で握るための目印であったりもする。この部分を作成する。

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もともと制作しやすいようにパーツが準備されているので我々受講生はそのパーツを溶接して組み立てるだけで済むようになっている。このあたりはこのワークショップの永年の経験で効率化が図られている部分だと思う。さもないと4日間ですべてをゼロから作るのはとても無理に近いに違いない。

ボールに限らず、溶接したあとは大体仕上げとしてヤスリで磨いてスクラッチをする。スクラッチをするといかにもハンドメイドのナチュラルトランペットらしくなる気がする。その部分の写真はこちら。

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*** 作業5:ガーランドの作成(その1) ***

ベルの周りに補強と装飾の目的で取り付けるのがガーランド(Garland)である。その部分を作成する。

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溶接されたガーランドはマンドリルにはめ込みベルの曲線に沿うようになだらかに曲がり目をつける。装飾は後日だ。セラフィノフ氏に出来をチェックしてもらう。こうして気軽に出来具合を見てもらえるのも講師が3人いてくれるメリットだと思う。たまに「自分のやり方はこうなんだけどね」と先のデモンストレーションと違うやり方を紹介してくれるのも面白いし。

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2日目も午後5時になると非情のベルがなって本日の作業は終了。今日はベルの製作に時間がかかったため僕ができたのはこの部分までだった。要領のいい受講生(特に僕の隣の席のGuyとか)はさらに別のパーツまで作っていたが、それは明日の楽しみに取っておこう。

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おまけ:

今日はお昼時に著名なバロックトランペット奏者であるフリーデマン・インマー氏が遊びにやってきた。すごい。こういうあたりにヨーロッパの良さというか贅沢さを実感する。

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ランチのときにインマー氏にこんにちはと握手を求めたら「フェイスブックで友達だったよね」と言われた。Viva, Facebook!

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