ITW Report(Day 3)
ワークショップも3日目になると個々人の進捗状況がばらばらになってくる。講師陣による作業のデモンストレーションも時間をおきながら随時行われるが、そのあと必ずしも全員が同じ作業にとりかかるというわけでもない。とりあえずデモを見て、また自分が今やっている作業に戻る、という感じになってきた。
そのさらに右隣がスペインのカタルーニャからきた Karl (Catalunya, Spain)
今日は日当りの良い外で黙々と作業をしていた。その彼が彫ったGarlandとFerruleはこちら。
なんと "亀"。なんで亀なの?と訊いたら「僕らは初心者だから亀のようによちよちと、でも着実に進んで行きたいから」と言っていた。ふーむ、なるほどー。
今朝フェイスブックで友達にもなった Giorgio (Milan, Italy)
彼は受講生の中でも一番製作ペースが早い方。今日なども「明日の朝には完成させて早く吹いてみたいんだ、待ちきれないよ」と言っていた。インマー氏のマスターコースを受講しているそうだ。
さて、紹介はこれくらいにして作業の説明を続けよう。
** 作業6:ガーランドの作成(その2)**
昨日作ったガーランドに線を入れて中央の二本のラインに挟まれた部分に好きな文字を彫って行く。
ベルと反対側のふちには山型のギザギザで装飾するのも楽しい。
でも実際は思ったようなラインや文字を彫って行くのは至難の技だ。セラフィノフ氏がデモンストレーションしてくれたのは、ナイフを右左にぐりぐりとしながら進めていくやり方で、これが一番効果的でかつ安全(手が滑って指を切ったりしない)なんだそうだ。自分でやってみると確かに言われた通り。こういう教えがとてもありがたい。
** 作業7:リムワイヤー(Rim Wire)の作成 **
ベルの淵に当たる部分。ここはワイヤーになっている。ガーランドに沿って接合部分が斜めになるようハンマーで叩き、丸くかつ平たくなるように作成する。文章で説明するよりも写真で見てもらう方が分かりやすいかも。
** 作業8:フェレル (Ferrule) の作成 **
フェレルとは全部で5カ所、ヤードとボウをつなぐジョイント部分のことである。ヤードやボウは直径11mmだがフェレルになる部分は直径12mm である。まずは12mmの直管を作り、それを5つの短いパーツにカットする。
これにもラインを入れる。ちょっとした装飾をつけても良い。** 作業9:ボウ(bow)の作成 **
いよいよ管を曲げる作業に入る。ナチュラルトランペットは管が1周半しているので半円形の部分(ボウ)が2つ必要となる。パイプのままではきれいに曲げることは出来ないので、まずは一本の棒になるようにパイプの中に金属(鉛)を入れる。鉛を使うのは液体から固体、固体から液体に変わる凝固点の温度が低いからである。
まずは2本のパイプをバーナーで熱して柔らかくしたのち、中にお湯を注ぎ込み、そのあとで溶かした鉛を注入する。そのパイプを水に沈めるとまたたく間に中の鉛が凝固する。これで曲げる準備ができた。
木の枠に沿って慎重に曲げて行く。このときパイプを作った時の接合部分が局面の内側や外側に来ないように、つまり木枠に置いた時に上向きが下向きになるようにする。接合部分は弱いのでなるべく曲げたり伸ばしたりしなくてもいいように配慮している訳だ。
U字に平行になるように曲がったらヤスリできれいに磨いてから中の鉛を溶かしてまた元のパイプの状態にし、余分な部分をカットする。
3日目に僕ができた作業はここまで。人によってはもっと進んでいるが、まあ、焦らずに行こうと思う。
今日の成果の写真がこちら
今日のおまけ:
僕の左隣の作業台はフランスのバロックトランペット奏者 Guy Ferberだ。なんという幸運!ときどきBCJの演奏も手伝ってくれているのは皆さんご存知のとおり。作業中にもいろいろトランペットの演奏の話で盛り上がる。
今日は食事中にバッハのレパートリーについて話をしていたら、「OK、バッハの演奏のコツを教えてあげるよ」と作業が終了した後ににわかレッスンをしてもらえることになった。
ロ短調ミサ、クリスマスオラトリオの第6部、マニフィカト。
なにをどう教わったのかは、、、、ヒ・ミ・ツ
| 固定リンク
「トランペットの話題」カテゴリの記事
- ブラスアンサンブル編曲(ダウランド)(2020.04.23)
- 高音攻略法(2023.07.25)
- ナチュラルトランペットのウォームアップ(動画紹介)(2022.10.22)
- 思いつき話(2022.08.18)
- ラッパ購入遍歴(その2)(2022.06.30)
コメント