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2015/06/18

ITW Report(Day 4)

もう組み立て寸前という段階までくると、みんな俄然早く作り上げたいと気がはやるのか、僕が始業5分前に部屋に着いたときには既に僕以外の全員が揃っていてそれぞれ黙々と作業をしていた。

** 作業10:ガーランドとリムの溶接 **

作業6と7で作ったガーランドとリムをくっつける。きちんと正確な場所に接着するように特別な台に載せてデバイダーでガーランドにつけたラインとリムが平行になっているかを確かめる。

これに限らずいろんな工程においていろんな器具が用意されている(過去の経験の賜物)ので便利に間違いなく作業が進められるのはありがたいことだ。

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溶接にはソフトシルバーを使用した。溶接したあとはみ出した余分な銀を削り取り、鋏でギザギザの山型模様を作る。

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** 作業11:ガーランドの取り付け **

出来上がったガーランドをベルにくっつける。ガーランドをベルに通し、リムからはみ出た部分をハンマーでベルの内側に叩いて固定する。溶接はしないのだ。

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** 作業12:ループ(Loop)の作成とボウへの溶接 **

段々細かいパーツになってくる。ループとは前後2つのボウについている小さな輪っかのことで、楽器に旗を下げたりする時に使うものだ。もちろん現代ではコンサートのときに旗を垂らしているラッパ奏者はいないけど(笑

この溶接にもソフトシルバーを使った。

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** 作業13:余分なパイプのカット **

Day2のレポートの冒頭に載せた写真の2枚目は実物大の設計図でもある。この図面にベルやヤードを当てて余分な部分をのこぎりで切り取る。

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** 作業14:ベルに穴を空ける **

ベルに孔をあける?と聞くとギョッとするかもしれないが、ニュルンベルグタイプのナチュラルトランペットはベルとボウを溶接しないでワイヤーでつなぎ止めているだけなのだ(これに対してイングランドで作られていたタイプはここが溶接留めになっている)。そのワイヤーを通すための細い孔(1mm)をあける作業。機械のドリルを使うからあっという間に済んで作業と言えるほどのことでもないけど。

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さて、これでパーツは出来上がり。ヤスリで磨いていよいよ組み立て作業に移る。気持ちが前のめりになるねえ。

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<閑話休題>

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今まで紹介しなかったことだけれど僕のお気に入りのプロセスがあるのでそれをここに書いておこう。それは冷却作業だ。金属加工ではバーナーを使って溶接したり、金属を熱して柔らかくしたり、ということを何度となくやる必要がある。実はそのあと必ず熱くなった部分を水で冷やすという行為をしている。熱くなった金属に直接触れるとやけどをして危険だからだ。

バーナーの側には大きな水槽があって、そこにパーツを入れて冷やす。熱くなった金属が水に浸かると "ジュッ"とか " チュッ"  という音がしてすぐ手で持てるような温度に下がる。何度もやるうちにこの音が好きになってきた(笑)

** 作業15:アセンブリ(組み立て) **

パーツを組み立てる。溶接はいっさいしない。なので出来上がったトランペットはいつでも分解することが可能だ。

ただし、11mmの円筒形のパイプをはめ込むには片側をほんの少し拡げ、もう片側をほんの少しすぼめる必要がある。それ専用の工具を使って組み立てていく。組み立ての際に5つあったフェレル(直径12mm)も差し込んでいく。

拡げる作業

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すぼめるための工具とその作業

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順番に管を差し込んでいき、先ほど開けたベルの孔にワイヤーを通してボウをくくり付け、トランペットらしい形になった。この時点で初めてマウスピースをつけて音を出すことができる。

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** 作業16:コード(紐)の巻き付け **

いよいよ最終作業となった。紐の巻き付けである。マウスパイプの部分とベルの側のパイプとの間に四角いかまぼこ板のようなものを渡し。それを紐でくくり付け固定する作業。紐は約5mあれば充分だ。この長さを測るのにこのワークショップに特別のやり方があった(バークレイ氏が実演してくれた)のだけれどもその詳細はマル秘ということにしておこう。

紐を巻くのは退屈な作業だから昔の人は歌でもうたいながら作業をした、と言ってバークレイ氏とセラフィノフ氏が実演してくれた。

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==== 完 成 ! ====

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ついこの間の写真がこちら。これが4日でこうなるとは想像もつかないよね。

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一番早かったのは17歳のMalteの楽器で今朝の9時過ぎ。僕は午後4時半に完成して、最後から数えて3人目くらいだったかな。ともあれ13名の受講生全員が4日目で全行程を終えることができた。素晴らしいことだ。いつもよりペースがうんと早かったと先生方もおっしゃっていた。みんなの集中力の賜物だね。

5時にはみんなで作り立てほやほやの楽器でアンサンブルができた。

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今日のおまけ:

我々がワークショップに使用した Handwerke のパーティが今日Schwerin の街中で行われていた。我々ITWのメンバーはそのパーティにお呼ばれしてファンファーレを演奏(もちろん出来立ての楽器で)、そのあとビールと食事を美味しくいただきました。

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