幻のファンファーレ再演
自分はアレンジはさんざんやったけれども作曲はほとんどやったことはない。唯一の自作と言えるのは高校3年のときに体育大会のオープニングを飾るファンファーレを書いたことくらいだろうか。
この歳になってから高校同期のO君(当時は学生指揮だった)に会うたびに「そういえばお前の作ったファンファーレはいい曲だったよなあ」と言われることが増えた。しかしながら残念なことに作った当の本人はどんな曲だったか、さっぱり憶えちゃいない。記憶にあるのは、①授業中に案を練ったこと、②当時夢中で聴いていたストラヴィンスキーの春の祭典の影響で変拍子を使ったこと、③最初に登場したフレーズが尺を短くして繰り返されるフラクタル構造の曲にしようと思ったこと、くらい。
もう高校の部室にも譜面は残ってないだろうなあ、すっかり幻の曲だなあ、と思っていた。
ところが、先日高校のブラスバンドのOB会があり、その曲の話になったとき、僕らの2年後輩のトランペットのK君が、
「その曲、憶えてますよ」
と言うではないか!
「ついていた和声もだいたい憶えています」だと。
モーツァルトか、君は!
その場で口三味線で歌ってもらったが、鮮明に思い出すどころか、ああ、そんな感じだったかも、程度だった。しかもフラクタル構造は段々縮小するんじゃなくて拡大するパターンだった。
そんな自分の情けなさはともかく、そんな40数年も前に自分が作った曲に再会したこと、そしてそれを憶えていてくれた後輩がいたことにとても感動した夜だった。
