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2016年2月

2016/02/26

コルネット逆曲がりの謎

BCJのシュッツの演奏会を聴きに行った時のこと。

 

ゲストで来ていたコンチェルト・パラティーノのコルネット奏者、Jamie Savanの使っていた2本のコルネットのうち1本が極めて珍しいものだった。というのは、通常コルネットは歌口から右側に緩やかにカーブを描いた形なのだが、その1本は逆に左側にカーブしていたのだ。いや、昔の図版にないわけではないのだが実物は初めて見た。

 

楽器が右側にカーブしている訳は「昔の角笛の名残だ」とか「指穴間隔が広いから曲がっていたほうが右薬指が指穴に届きやすいから」など諸説がある。特に後者の説に立つならば逆向きのカーブだと吹きにくいのではないか。

 

演奏会が終わって彼に直接訊いてみたところ、「いや、それが意外と問題ないんだよ」とのこと。実際に楽器にさわらせてもらったが構えてみると確かに違和感はない。ピッチがコアトーンのa=466だったからコルネットが小振りなせいもあったかもしれない。慣れないのはビジュアルだけの問題だ。ちなみに楽器製作者はマッカーンだと言っていた。

 

そのときは深く考えてみなかったんだけれど、うちでコルネットをさらっていて「なるほど」と腑に落ちた。つまり、逆向きになっていることで左手の薬指はノーマルな楽器より孔を押さえやすくなるからだ。それが右薬指のハンディより大きい気がする。なぜならば左手は親指も孔を押さえなくちゃいけないから固定されているのに対し、右親指は楽器を保持するだけの役割だから位置はフリーに決められる。意外と人間工学的に優れた形状だったというわけだね。

 

 

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2016/02/25

老後に向かない楽器

前回リュートがいかに老後の楽しみ向きかを列挙したのだが、裏を返すとラッパがいかに不向きかがわかろうというものだ。

・大きい音や高い音を練習するとすぐバテる
・大きい音は周りの迷惑になる
・旋律楽器だから一人で吹いていてもつまらない
・ソロで楽しめる曲はほとんどと言っていいほどない(アンサンブルやオケは別)
・加齢とともに技量・体力が落ちて下手になる

よくよく向いてない楽器だな

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2016/02/24

老後の楽しみ

もう老後の心配か、と揶揄されてしまいそうだが、和英辞書で「老後の楽しみ」を引くと what he expects to do after his retirement とあって、すなわち引退後の楽しみってことだね。

大掛かりなコンサートも一応終了し、仕事でも時間的余裕ができてきたから、そろそろ出番かなと思い、しばらく押し入れでホコリを被っていたこれを取り出して来た。

Lute1

リュートは老後の楽しみに最適な利点をいくつも持っている。

・演奏にそれほど体力を必要としない
・1台で旋律から伴奏まで完結する
・大きな音はでないから音量的にまわりに迷惑をかけない
・リチェルカーレからダンス、リュートソングまで膨大なレパートリーがある
・(これは僕の個人的問題ではあるが)練習してもなかなか簡単には上手くなれないので上達が気長に楽しめる

これから長い夜をのんびりと調弦に費やす時間が増えそうだ。調弦だけで満足しないようにしようっと。

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コルネットたち

持っているコルネットを並べてみた。

 

Cornettos_1

 

上から
mute cornetto in F 440 (H. Gohin)
mute cornetto in F 466 (H. Gohin)
mute cornetto in G 440 (S. Delmas)
mute cornetto in G 466
straight cornetto in G 466
cornetto in G 440 (P. Fanciullacci)
cornetto in G 466 (P. Fanciullacci)
cornetto in G 440 (T. Kuwahara)
cornetto in G 466 (T. Kuwahara)
cornetto in G 440 (S. Delmas)
cornetto in G 466 (S. Delmas)
cornetto in G 466 (S. Delmas)

 

カッコ内は製作者、書いてないのはスイスのメーカーなんだけど名前を忘れてしまった。
曲がったコルネットでマウスピースがついている楽器たちが今主にコンサートなどで使用しているもの。
それからここに映っていない楽器があと3つある。C. Monk のcornettino と同じくMonk のcornetto in G 440(貸し出し中)、それにDelmas のcornetto in G 440(貸し出し中)。

 

だから全部で都合15本持っているのか。今初めて数を把握した。

 

 

 

 

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Bruce Dickey のインタビュー


先日、HBS (Historic Brass Society) がオンラインで開催した、コルネットの第一人者Bruce Dickey へのインタヴューがYouTubeで公開されている。(リンク先はこちら

司会はトランペット奏者かつHBS役員のStanley Curtis。
100分を越す長さなので全部を見るのは大変という人向けに、僕が見て面白かったところをかいつまんで紹介しよう。


インタヴューはまずBruce Dickeyのコルネット奏者としてのこれまでの経歴や音楽活動の話から始まるが、40:00くらいからリサーチの話題に移る。

 コルネットが活躍していた17世紀から現存するオルガンなどの楽器、アーカイブスに残っている当時の楽譜、これらの現物に直接触れてその匂いを嗅ぎ、当時の奏者や作曲家に思いを馳せる(インスパイアされる)ことの重要性は大きい、とBruceは言う。これははるか東洋に暮らしている我々には叶わない贅沢だけれども、実際自分の体験でもそう思う(チェコのクロムニジューシュでビーバーやシュメルツァーの譜面を見たときの感動は忘れられない)し、同様の思いをした方は多いだろう。Bruceは「いつも夢見ているんだけど、1610年か1608年頃のヴェニスのサン・マルコ寺院にタイムスリップして、20分でいいから当時の演奏が聴けたらどんなにかいいだろう。多分すごい面食らうだろうけどね」とも言っている。それができないから、いろんな資料や材料をパズルのピースのようにつなぎ合わせて当時を再現する、その飽くなき好奇心がとても大事だということだね。


1:05:00 - バロック演奏のアーティキュレーションについて。
 モダン奏法の代表例として、まず古楽奏法という概念がほとんどなかった時代の(かの有名な)アメリカ3大メジャーオケによるジョバンニ・ガブリエリのCanzon primi toni の演奏(1968年)を紹介し、続いて、近年では同じ曲の同じモダン楽器の演奏でありながらも古楽らしい演奏がなされるようになった例として、なんと日本の松ヶ丘女子高の演奏(2017年のアンサンブルコンテスト)が引用されている。Bruceはfabulousと言って絶賛しているが、実際素晴らしい演奏だと思う。

1:09:00 - コルネット演奏の究極の形は声楽を模倣すること。
 A.ガブリエリのCaro dolce ben mio (オルガン伴奏のコルネットソロ)や最近のBreathtakingのCD(ソプラノのハナ・ブラジコヴァとの共演)などのBruceの演奏を聴きながら、同時に楽譜を参照しつつ、イタリア語をいかに音に載せるか、声楽を模倣するとはどういうことかの実例を示してくれる。とてもわかりやすい。

1:21:00 - Q&A タイム
 参加者からいくつか質問があるが、1:25:00あたりにコルネットメーカーについての質問に対して、Bruceは以下の通り回答している。
「今は北米にもヨーロッパにも多くの優れたメーカーがある。例えば、
- Matthew Jennejohn(カナダ、モントリオール)
- Paolo Fanciullacci(イタリア)
- Selge Delmas(パリ)
- Damien Bandonnet(リヨン)
- Andrew Hallock(オランダ)
- Sam Goble(ケンブリッジ)
- Ricardo Simian(バーゼル)
なんかかな。
Ricardoは3Dプリンターで楽器を作っているけれど、ちゃんと使い物になる。サイトからも注文できるし」

なるほど。僕も知らないメーカーがいくつかある。

 以上の他にもコルネット吹きには興味深い話がたくさんあるので、時間のある方は全編ご覧になることをおすすめします。

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Bruce Dickey.com

コルネットの第一人者、ブルース・ディッキーの新しいホームページが出来たらしい。

ディスコグラフィとか動画、試聴もできて素晴らしい。
コルネットに興味ある人は是非訪れてみて下さい。

 

1441636583177

こちらは同じテイストのコンチェルト・パラティーノのHP

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参考文献(コルネット関連)

楽器について

 

Anthony Baines / Brass Instruments (Faber 1976)

 

デイヴィッド・マンロウ / 中世・ルネサンスの楽器 (音楽之友社 1979)
David Manrow / Instruments of the Middle Ages and Renaissance (Oxford University Press 1976)

 

Friend Robert Overton / Der Zink (SCHOTT 1981)

 

Pierre Trichet / On the cornett and serpent (Brass Bulletin No.46 1984)

 

John McCann / Snakes, Trees and Flames: A Discussion of Venetian curved cornett decorations (HBS Journal vol.1 1989)

 

John McCann / A cornett odyssey (HBS Journal vol.3 1991)

 

John MCcann / The Cornett: A Maker's Perspective (HBS Newsletter No.4 1992)

 

Bruce Haynes / Cornetts and historical pitch standards (HBS Journal vol.6 1994)

 

Jeffrey Nussbaum / Survey of Modern Cornetto Makers (HBS Newsletter No.6 1994)
Jeffrey Nussbaum / Cornetto and Serpent Makers Worldwide (HBS Newsletter No.12 1999)

 

Trever Herbert / The Cambridge Companion to Brass Instruments (Cambridge University Press 1997)

 

Crispian Steele-Perkins / Trumpet (Kahn & Averill 2001)

 

Stewart Carter / The Salem cornetts (HBS Journal vol.14 2002)

 

Marie Garnier-Marzullo / A Brief Discussion on Cornetto Making with Serge Delmas (HBS Newsletter No.15 2002)

 

 

 

 

演奏法など

 

Edmund A. Bowles / A brief overview of musical ensembles with brass instruments in European Festivals of State (HBS Jornal vol.2 1990)

 

Bruce Dickey / L'accento : In search of a forgotten ornament (HBS Jornal vol.3 1991)

 

Douglas Kirk / A Report from The London Cornett and Sackbut Symposium (HBS Newsletter No.3 1991)

 

Gio. Battista Bovicelli, translated by Jesse Rosenberg / Regole, Passaggi di Musica (1594) (HBS Jornal vol.4 1992)

 

Yoshimichi Hamada / The Side Embouchure (HBS Newsletter No.5 1993)

 

Hans Lampl / Praetorius on performance : Excerpts from SYNTAGMA MUSICUM III (HBS Journal vol.6 1994)

 

Bruce Dickey / Message from a Cornettist at St. Mark's, dated 1614 (HBS Newsletter No.10 1997)

 

Jeffrey Nussbaum / Cornetto Symposium in Oxford (HBS Newsletter No.13 2000)

 

Arno Paduch / New Facts about cornetto playing in 17th Century Central America (HBS Newsletter No.15 2002)

 

 

 

レパートリーについて

 

Richard Erig / Italian Diminutions - The Pieces with more than one diminution from 1553 to 1638 (Amadeus 1979)

 

Howard Weiner / Giovanni Martino Cesare and his editors (HBS Jornal vol.3 1991)

 

Bruce Dickey / The Apparato musicale (1613) o Amante Franzoni (HBS Newsletter No.5 1993)

 

Jeffrey Nussbaum / Cornetto Discography (HBS Newsletter No.8 1995)
Jeffrey Nussbaum / Cornetto Discography, Part 2 (HBS Newsletter No.11 1998)

 

Michael Collver & Bruce Dickey / A Catalog of Music for the Cornett (Indiana University Press 1996)

 

 

 

プレーヤーについて

 

Robert Ischer / Early music: A new approach with Bruce Dickey (Brass Bulletin No.67 1989)

 

Jeffrey Nussbaum / An Interview with Cornetto Virtuoso Bruce Dickey (HBS Newsletter No.4 1992)

 

Jeffrey Nussbaum / A Conversation with Early Brass Players Susan Addison and David Staff (HBS Newsletter No.8 1995)

 

Susan Smith / A Cacophony of Cornettists (HBS Newsletter No.9 1996)

 

木幡一誠 / インタビュー マイケル・レアード ーイギリスの誇るベテランに聞く、モダンと古楽器の接点ー (月刊パイパース 1999年8月号)

 

木幡一誠 / インタビュー 濱田芳通 ーコルネットが活躍していた時代ー (月刊パイパース 2000年3月号)

 

Jeffrey Nussbaum / An Interview with Cornett Player, Maker, and Musica Fiata Director, Roland Wilson (HBS Newsletter No.14 2001)

 

Jeffrey Nussbaum / An Interview with Jean-Pierre Canihac and Marie Garnier-Marzullo (HBS Newsletter No.16 2003)

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楽譜の入手のしかた

初期バロックの譜面を中心に楽譜の入手の仕方についてコメントします。下記の通りいくつか方法があります。それぞれについて自分の知っているノウハウを記したいと思います。
 1. 出版譜を購入する
 2. 図書館を利用する
 3. インターネットでダウンロードする
 4. 友人からもらう

 

1.
まず1の出版譜を購入する について。日本の楽譜屋さんは絶望的に在庫がありませんし、もしあったとしてもバカ高くてお勧めできません。ここはインターネットを活用して専門店に直接オーダーするのが賢明です。初期バロックものを多く手がけていてかつ編集も良心的な出版社には次のようなところがあります。

 

London Pro Musica
ディミニューションの譜面やトリオソナタなどの現代譜が豊富。通奏低音はリアライゼーションが施してあります。
S.P.E.S
イタリア、フィレンツェの出版社。その作品が出版された当時の譜面(ファクシミリ譜)を廉価で提供しています。譜面は慣れれば問題なく読めます。ただし、当時はスコアを出版する習慣がなかったのでパート譜のみになっています。
Ut Orpheus
イタリア、ボローニャの出版社。イタリア初期バロックの現代譜が豊富です。

 

以上、いずれの出版社の譜面もインターネットの Ut Orpheus 社のサイト(Ut Orpheus Bookshop URL:http://www.utorpheus.com)経由で入手が可能です。支払いは主要クレジットカードが使えますし、在庫があれば数日で送られてきます。

 

Kings Music
イギリスのキングスミュージックもモンテヴェルディなどの譜面が豊富です。同じくインターネットで注文できます。

 

2.
第2の図書館の利用ですが、首都圏に住んでいる場合は次のような図書館を利用するといいでしょう。民音音楽資料館、遠山記念資料館、東京文化会館音楽資料室、各音楽大学図書館。それぞれの利用条件や蔵書リストはインターネットのサイトで確認してください。音大図書館はその大学の関係者じゃなくても利用できる心の広いところもありますので、利用するに越したことはないと思います。ただし、私は全部の図書館を利用したことはないのでどの程度のレパートリーがあるのか全部把握できているわけではありませんが、少なくとも初期バロックについては(私の経験では)図書館よりも Ut Orpheus Bookshop のほうがラインアップは豊富です。

 

3.
第3の方法、インターネットでフリーの楽譜をダウンロードする。これもいくつかサイトがあります。僕はCazzati の曲やDowland のリュート曲などをこの方法で入手しました。検索エンジンを使って調べてみるといいでしょう。

 

4.
第4の方法、一番手軽なのはこの知り合いにもらうという方法でしょうね。幸い、バロックの曲はどれも著作権が切れているので、楽譜の入手にしろ、入場料をとっての演奏にしろJASRAC(日本音楽著作権協会)にお伺いを立てなくても良いのが気が楽でいいです。
ただ、そうかといってむやみにコピーをとるのは、出版社の経営を阻害することになるのであまり好ましいこととは言えません。やはり必要な譜面はきちんとお金を支払って購入することがこうした小さな出版社を応援することにもなり、ひいてはまた新たなレパートリーが入手できることにつながりますので、なるべくコピーは控えましょう。

 

 

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コルネットのレパートリー

器楽曲でお勧めの曲

 

中級者向け(注)

 

Giovanni Bassanoのアレンジしたディミニューション
 Frais et gaillard (原曲はClemens non Papa)
 Oncques amour (原曲はThomas Crequillon)
 Susanne ung jour (原曲はOrland di Lasso) 
Giovanni Battista Bovicelli のアレンジしたディミニューション
 Io son ferito (原曲はGiovanni P Palestrina)

 

Giovanni Paolo Cima のソナタ
Girolamo Frescobaldi のカンツオン
Biagio Marini のAffetti musicali より小品
Giovanni Picchi のカンツオン
Andrea Falconiero の曲集より
Tarquinio Merula の曲集より
Salomone Rossi の曲集より   など

 

上級者向け

 

Girolamo Dalla Casaのアレンジしたディミニューション
 Petit Jacquet (原曲はJean Courtois)
 A la fontaine (原曲はAdrian Willaert)
Bartolomeo de Selma y Salaverde のアレンジしたディミニューション
 Vestiva i colli (原曲はG. P. Palestrina)
Francesco Rognoniのアレンジしたディミニューション
 Pulchra es amica mea (2つバージョンあり)
 Io son ferito
 Vestiva i colli (以上3曲とも原曲はG. P. Palestrina)
 Ancor che col partire (原曲はCipriano da Rore)  

 

Giovanni Battista Fontana のソナタ
Dario Castello のソナタ
Francesco Turini のソナタ
Giovanni Pandolfi-Mealli のソナタ  などなど

 

(注)なにを持って中級者向け、上級者向けとするかの区分けは曖昧(なにしろコルネットで吹く限りなんでも難しいので)ですが、とりあえず指が回るかとか広い音域をカバーできるかなどの表層的なところを判断の基準として分けてみました。つまりある程度のテクニックがないと歯がたたないような曲を上級者向けとしています。

 

 

なお、コルネットのレパートリーに関しては次の本が現在入手できる最も詳細なガイドです。
コルネットを含む器楽曲、コルネット入りの声楽曲と2つに区分けして網羅してあります。

 

A Catalog of Music for the Cornett (Michael Collver & Bruce Dickey) Indiana University Press ISBN 0-253-20974-9

 

 

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コルネット(古楽器)の練習方法

基礎練習

まずはロングトーンから

楽器を持ってソの音の指使い(ソプラノリコーダーなら真ん中のドの音の指使い)で無理なく音が出るようにトライしてみましょう。焦りは禁物です。ナチュラルトランペットもそうですが、コルネットは特に「楽器を支配してやろう」と思ってはいけません。楽器を自然に鳴らすにはどういう姿勢がいいのか、どの程度の息の量が必要か、どの程度マウスピースに圧力をかけるかをゆっくり体得していくのがいいのではないかと思います。

ソの音を5〜6秒、伸ばしてみましょう。音は最初から鋭いアタックをつけることなく、"息が唇を通ったから音になった" と言った感じでスタートし、真ん中をちょっと膨らませて最後はゆっくりディミヌエンドします(いわゆるメッサ・ディ・ヴォーチェという歌い方です)。 次に一音上がってラの音で同じことをします。楽器を落としそうになって持つのが大変かもしれませんがそれもトレーニングのうちです。次にシ、ド、と上がってレまでいったら今度は下ります。(別にこの通りにする必要はないのですが一例ということで)。

次にスラーで 同じ音域を上下します。 
Warm-up_20200521095201
こういう風にいろんなパターンを試しながら中音域を無理なく上下することに慣れます。

とにかく真ん中のソからオクターブ上のソの音域をまず自分のものにすることが先決です。実際にこのあたりが一番使う音域だからでもありますが、ラからシへの移行を含むフィンガリングの練習にもなるからです。

音源へのリンクを貼っておきます。

cornetto1

ブルース・ディッキーの教本だと次は3度と4度のインターバルの練習です。コルネットは唇で音程を作る微妙な楽器なので音が3度にしろ跳躍したときにきちんとした音程をとれるようになるのはリップコントロールにも耳の鍛錬にもなるからということなのでしょうか。殊に3度はミーントーンの根幹でもありますからピュアな3度間隔をしっかりと身につけておく必要があるでしょう。
3度は初め上昇で後半下降、4度も同じく。
Warm-up2

次に音階を使ったタンギングの練習。
ここで大事なことはモダン楽器のようにひとつひとつの音を均等に明瞭に発音するのではなく、音形に合わせてシラブルを変えてそれぞれの音の性格付けをすることです。つまりしゃべるように演奏する訓練です。バロック時代の絵画のように光と影のコントラストを楽しむというのは音楽にあっても同じで、部屋の中が蛍光灯でくまなく明るく照らされているのではなく、ろうそくの光の回りは明るいけど部屋の隅にはなにがひそんでいるか分からないというのが面白いわけですから。

音源へのリンクはこちらです。

cornetto2

アーティキュレーションの練習
このへんになると(というか最初からでもあるんですが)17世紀の音楽のスタイルを言葉で伝えて行くのに限界を感じます。是非初めこそ専門家のレッスンを受けてどういうスタイルが初期バロックらしいのか実体験していただくのが一番です。それが無理であれば前に挙げたCDを聴き込んでお手本にされることをお勧めします。


曲を吹いてみよう

いきなりコルネット用の器楽曲を、と先を急がないほうがいいでしょう。ただでさえ難しい楽器ですから。
コルネットは人の声(ソプラノ)と音域が重なっています。ですのでソプラノの曲はなんでもコルネットの練習曲になりうると考えていただいていいと思います。古いところでは

カッチーニ「新しい音楽」 Giulio Caccini “Le Nuove Musiche”
フレスコバルディ「アリア集」 Girolamo Frescobaldi “Arie Musicali”

実際のところ、濱田門下だとこのフレスコバルディのアリア集15曲目の「そよ風吹いて Se l'aura spira」 はレッスンで必ず通る道の一つでした。

バッハのカンタータのコラール(ソプラノパート)も練習には最適ですし、古楽じゃなくても賛美歌集は練習曲の宝庫ですね。
教則本、練習曲とこなすうちにだんだんより難しい器楽曲にチャレンジしたくなると思います。どういう曲があるか、これもまた先に挙げたCDの中にたくさんいい曲が入っていますので自分の好みで曲の難易度と自分の能力を天秤にかけつつ選択するといいでしょう。

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コルネットの教則本

先人のコルネット吹きあるいは器楽奏者・声楽家が記した教則本の主なところでは以下のものがあります。コルネット吹きにとって重要な教則本の順に並べてみましょう。

 

Il vero mode di diminuir con tutte le sorti di stromenti (Girolamo Dalla Casa) ジローラモ・ダラカーサはヴェネチアのコルネット奏者(超名人だったということです)、この本は1584年に出版されました。音符にどのようにシラブルをつけるか表記してあってとても参考になります。この本に限らずこの時代の教則本は最初に簡単なパッセージやフレーズの練習があり、その後に音符の装飾の付け方、カデンツ(終止形)のさまざまな形の練習などがあって、最後に当時の曲にアレンジをつけたものがサンプルとして載っているという形式をとっています。考えてみれば今のジャズの教本なんかと同じですね。なお、この本はファクシミリ譜(当時の楽譜のコピー)がイタリアはボローニャの Arnaldo Forni Editoreというところから出版されています。

 

Ricercate, Passaggi et Cadentie (Giovanni Bassano)
ジョバンニ・バッサーノもヴェネチアで活躍した器楽奏者です。この本の出版は1585年。これも曲やフレーズにどう装飾をつけるかのサンプル集になっています。8曲あるリチェルカーレは独奏曲集。現代譜がスイスのEdition Pelikan から出版されています。

 

Selva di varii passaggi (Francesco Rognoni) ちょっと時代が下って1620年にミラノで出版された声楽用の教則本です。これはもうこの時代の音楽を勉強するものにとっては聖書みたいな存在です。「パッセージの森」というタイトル通りアイデア豊かなフレーズがいっぱいいっぱいつまっていてこの曲集をさらうだけで満腹になるくらい。しかも付録のサンプル曲集は超難曲でチャレンジング、飽きがきません。ファクシミリ譜がArnald Forni Editoreから、現代譜がEdition Pelikanから出ています。

 

Passaggi per potersi essercitare (Richardo Rogniono) 1592年ヴェネチアでの出版の器楽用の教則本。リッカルドは先のフランチェスコのお父さんにあたります。フランチェスコをさらった後だとちょっとフレーズが機械的に過ぎて面白みに欠けるところがちょっと難点でしょうか。ファクシミリ譜です。

 

Regole, Passaggi di musica (Giovanni Battista Bovicelli)
1594年ヴェネチア出版の声楽用練習曲集。ボヴィチェッリの節回しは独特で上昇音形がクセになりそうです。これもファクシミリ譜のみです。

 

Varii Esercitii (Antonio Brunelli)
ブルネッリは斜塔で有名なピサのオルガニスト。この曲集は1614年にフィレンツェで出版されました。現代譜がPelikanから出ています。フレーズ集のデュエットのところがカノンになっているのでもし二人いたら節回しの練習として合わせるのに最適です。

 

これ以外にもコルネットの練習に向くかどうかはともかくとして、Diego Ortiz のガンバ用の練習曲集(El Primo Libro 1553)とか、リコーダー用のSylvestro Ganassi の有名な練習曲集、フォンテガラ(Opera Intitulata Fontegara 1535)なども重要な文献で参考になります。

 

 

さて、オリジナルの教則本はこれくらいとして、次に現代につくられた教則本について見てみましょう。

 

Varii Esercitii per cornetto (Bruce Dickey)
なんと言っても世界中で一番使われているコルネットの教則本はこれではないかと思います。バーゼル・スコラ・カントルムの教授のブルース・ディッキーの教本。Warm up Exrcises, Tonguing Patterns, Articulation, Intervals, Meantone Intonation というブルース作のオリジナル部分に加えて先に挙げた昔の教則本からさわりの部分がピックアップされて構成されています。
知らない奏者でも最初のウォームアップ部分をさらっているだけで、「あ、この人はブルースの教本で練習したんだな」ということが分かってすぐ友達になれます。というわけで有名な教本なんですが、出版はされていません。というのも直接ブルースからコピー譜を手に入れる(バーゼルの学校の他にさまざまなマスタークラスなどで)という形で流通しているからです。それだけブルースの影響が大きいという証左でしょうね。
私はバンクーバーのサマーアカデミーでブルースのクラスを受講したときに入手しました。

 

How to play the cornett (Jeremy West) 次にポピュラーな教本はこれでしょうか。イギリスのコルネット奏者ジェレミー・ウェストが1995年に著したものです。ウェスト氏のホームページから購入することができます。
この本の貴重なところは前半部分に「どうやってコルネットを演奏するか、練習するか」について文章で丁寧に書いてあるところです。英語が苦でなければ是非読むことをお勧めします。後段はトランペットのアーバンみたいな練習曲集になっています。

 

215 Chop-Busters for the cornetto (Michael Collver)
著者のマイケル・コルバーはアメリカのコルネット奏者です。題名の通り215曲の練習曲と付録に昔のディミニューションの曲集がついています。練習曲はひたすら吹く感じ。練習曲についてはウェスト氏の教本と趣旨は似通っています。

 

コルネット用の教本ではないけれど、モダンのトランペットの教則本もコルネットの練習用に使えます。アーバンなどはそのままコルネット練習に使うのに向いています。むしろスケールや跳躍を練習するにはこれで充分ではないかと思います。

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コルネットの取り扱い方など

楽器のメインテナンス

 

まず毎日のこととして、楽器を吹き終わった後に、内側についている水分を拭き取ってあげることが大事です。そうしないと内側にカビが生えて使い物にならなくなってしまうおそれがあるからです。
水分を拭き取るにはスワブというものを使いますが、これは簡単に自作できます。1.まず適度な大きさに切ったガーゼを用意します。2.次に太めの凧糸を50cmくらいの長さに切り、ガーゼの端にしっかりと結びます。3.凧糸の反対側の端におもりとなる髪留めのピンを結んで出来上がりです。練習後にマウスピースをはずし、このスワブをベルの広い方から2、3回通して内部の水分を拭き取ります。ガーゼが途中でつまったりしないようにガーゼの大きさには注意してください。また、使っている最中に結び目がほどけたりしないようしっかり結んでおいてください。

次に定期的なメインテナンスとしては、月に1回くらいの頻度で内径部に油を染み込ませてあげることが必要です。新品の楽器ほど頻度を多くした方がいいでしょう。油については私は料理用の普通のオリーブオイルを使用しています。やり方は奏者それぞれ独自のノウハウがあるようですが、ブルース・ディッキーが教えてくれた方法は、
1 オリーブオイルと受け皿を用意する
2 楽器のベルのほうからオイルを流し込む
3 同時に両手で指孔を全部ふさいで、楽器を回転させながらオイルがまんべんなく行き渡るようにする
4 そのまま歌口の方からオイルを受け皿に流し出す
5 上記の作業を何度か繰り返す
以上ですが、実は書くのは簡単ながら、実際にはオイルをこぼさず上記の作業を行うには熟練の技が必要です。しかも両手がオイルまみれになります。ちなみに私は、オイル塗り用のスワブ(ワイヤーのハンガーを加工してそれに布を巻いたもの)を使ってそれにオイルを浸しコルネットの内部に塗っています。
オイルを塗った後は、余分なオイルを抜き取るため、床に新聞紙を敷き、コルネットを歌口が下になるようにして壁に立て掛け、しばらく放置しておきます。

それから、これはメインテナンスではありませんが、楽器の音程の補正について。
それぞれのコルネットはメーカーが出荷する時に、ピッチの調整は済んでいるはずですが、調整不足や奏者の癖などによりそのままでは正しい音程が得られないことがあります。その場合、いきなり楽器をいじるのは考えものですが、明らかにある音は常に高く、ある音は常に低いということが明確であれば、指孔の大きさを変えることで微調整します。
まず音が低い場合、これは孔を少し大きくする必要がありますので、ナイフで慎重に指孔を削ります。指孔は丸いのでそれに沿って丸く削るという手もありますが、音を高くしたいのであれば歌口に近い方をより多めに削った方が効果はあります。
音が高い場合は逆に指孔を小さくしなければならないので、蜜蝋をライターなどの熱で溶かして指孔に塗ってふさぐか、あるいはマニキュアを少しずつ指孔周りに塗って孔のサイズを小さくします。
いずれにせよ、楽器の改造は失敗すると大事な楽器をダメにしてしまうリスクがありますし、やり始めるとキリがないので、手をつける前に専門家に診てもらった方が安全だと思います。

 

楽器のケースについて

コルネットをケース付きで売っているメーカーはほとんどありませんので、ケースは自前で用意しなければなりません。周りのコルネット奏者をみると、苦労しつつもいろんなものをコルネットケースに転用しているようです。自分が何本くらい持ち歩く必要があるか、他の楽器と一緒に持ち運ぶ必要があるかなどでケースを選ぶと良いでしょう。ケースとしてよく使われている物は、専用のケースを別にすると次のようなものがあります。

1 ソプラノサックスのソフトケース
2 カメラスタンドのソフトケース
3 コントラバスの弓のハードケース(複数本入る大きめのもの)
4 大正琴のハードケース

私はその時の必要に応じて、キルティングで作った手製のソフトケース(これはひもが付いていて肩からかけられるようになっている。便利)か、ソプラノサックスのケース、大正琴、それにバロックトランペットのケース(これはトランペットと一緒に持ち運ぶとき)を使い分けています。
専用のケースが欲しい場合は、クリストファー・モンクが提供していますし、あるいは楽器メーカーのところで紹介した桑原さんが注文に応じてケースも製作してくれます。

 

 

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コルネットのメーカー

コルネットのメーカー

 

コルネットのメーカー(制作者)についての情報についてはヒストリック・ブラス・ソサイエティのニュースレターが一番豊富です。最近は更新されていませんが1999年夏の12号には次のメーカーについて連絡先、作っている楽器の種類と値段、コメントなどが載っています。(ABC順)

 

  Victor Aragon(ベネズエラ、Merida)
  Serge Delmas(フランス、Meru)
  Paolo Fanciullacci(イタリア、Prato)
  Henri Gohin(フランス、Boissy L'Aillerie)
  Jacques Leguy(フランス、Malabry)
  Philippe Matharel(フランス、Toulouse)
  John R. McCann(アメリカ、Uta)
  Christopher Monk Workshops(イギリス、Forest Hill)
  Graham Nicholson(オランダ、Den Haag)
  Bent Nielsen(デンマーク、Valby)
  Nicholas Perry(イギリス、St. Albans)
  Toni Romera(スペイン、Manresa)
  Lluis Sole(スペイン、La Garriga)
  Siem van der Veen(オランダ、Le Burgum)
  Roland Wilson(ドイツ、Koln)
  Romano Zolss(オーストリア)

 

これらのメーカーのほとんどは自身がコルネット奏者であることが多く(要するに必要に迫られて自分で作り始めたというケース)、少数の例外(クリストファー・モンク・ワークショップ)を除いて個人で手作りしているところがほとんどですから、たいていは注文生産になります。

 

自分が実際に吹いてみた経験から各メーカーのコメントをしましょう。

 

セルジュ・デルマス
多分ヨーロッパで(いや世界で)一番人気があるのはフランスのデルマスでしょう。僕がメインで使っているのもここの楽器です。茶色の羊皮紙をカバーに使っているのが特徴で、茶色の楽器を持っていたらデルマスだと思って間違いないです。通常の黒の牛革のもあります。素材の木にはつげ、梨、りんご、くるみ、ローズウッド、エボニーなどなどいろいろな材質を使っています。オリジナル楽器のコピーではありますが、プレーヤーの要請によりさまざまな修正を施してあり、使っていて一番安心できます。初期の頃の楽器は仕上げがやや粗雑だったようですが、最近は改善されて綺麗な仕上がりです。

 

パオロ・ファンチュラッチ
ブルース・ディッキーが一時愛用していたことからイタリアのファンチュラッチも人気があります。僕のA=440の楽器はちょっと太めで、指孔が他のメーカーに比べると少し大きいので若干操作性が大変な気がします。音色はデルマスよりちょっとくぐもった感じ。でもこれは個体差のあることなので一般的ではないかもしれません。さすがイタリア、仕上げは美しく、刻印されているハートのマークがかわいらしいです。

 

アンリ・ゴワン
フランスのゴワンはミュートコルネットやストレートコルネットなど、一本の木から切り出した直管の楽器に定評があります。普通のコルネットは吹いたことがないので判らないのですが、ここのテナーコルネットはとてもいいです。テナーだったら迷わずこの人の楽器ですね。

 

ローランド・ウィルソン
ドイツのケルン在住のローランド・ウィルソンはさまざまなピッチのコルネットを提供しています(A=490なんてのもある!)。私は残念ながら試してみたことはありません。ドイツの初期バロックといえばシュッツですが、そのコルネットの使い方なども高音が多く、例えば今のピッコロトランペットのような響きを好むような気がします。コルネット特有の艶のある魅惑的な音とちょっと違うような気がするのは私だけでしょうか。彼の演奏したCDを聴くとそういう印象を持ちます。

 

ジョン・マッカーン アメリカやカナダではやはりマッカーンの楽器を持っている人が多いですね。この人は1975年からコルネット作りをやっていて、ラインアップもいろいろあります。彼はさまざまなオリジナル楽器のX線写真を撮って採寸し、コンピューターなども駆使してコピー楽器を作っているそうです。もちろんすべて手作りです。私は人の楽器を借りて吹いたことがありますが、いい楽器でした。(残念ながら私の好みではありませんでしたが)

 

クリストファー・モンク さて、モンク・ワークショップの楽器です。もともとはクリストファー・モンクという人がさまざまな古楽器を製作することで始まったのですが、イギリスはアメリカと並んで古楽愛好家が多いのか、規模が大きくなってきたので会社組織にし、演奏家のウェスト氏も経営に参画しています。製作は主にキース・ロジャースという人が担当していましたが、近年亡くなってしまいました。モンク氏は1991年に他界しましたが、古楽器の復元に多大な功績を残した人です。この工房も楽器の種類、材質、ピッチなどさまざまな楽器を提供しています。僕の持っている楽器はちょっと華奢な印象です。
なお、このメーカーの最大の特徴はレジン(合成樹脂)製の楽器を廉価で作っているところです。安くて手に入りやすく、かつ大量生産していますので、このレジン製の楽器でコルネットを始めたという人は数えきれないほど多いのではないでしょうか。私もその例外ではありません。ウェスト氏が来日したときに「レジンの楽器は世界中ありとあらゆるところにあまねく売ってきました。今もコンスタントに売れる我が社のヒット商品です」と語っていました。

 

以上が私の独断的コメントですが、最後にリストに載っていなかった日本のメーカーを紹介します。

 

桑原孝広(日本、福岡)
桑原さんの楽器は素晴らしいです。彼はデルマスの楽器を参考に独学でコルネット製作を始めた人(コルネット奏者でもあります)ですが、持ち前の器用さでもって、非常に品質の高い良い楽器を作るようになりました。芯のあるつややかな良い音がしますし、ピッチも正確です。注文生産ですが、素材もいろいろな木を使っています。私も愛用していて、演奏会ではデルマスの楽器か桑原さんの楽器、どちらかをプログラムによって選んで使ってます。なにより便利なのは楽器の調整をすぐ頼める点ですね。メインテナンスも含めて大変お世話になっています。

 

どの楽器を買うか

 

これからコルネットを買って練習を始めてみようかなという人、どの楽器を手に入れるか迷っていらっしゃる方への究極のアドバイスをしましょう。

 

1. まずモンク社のレジンの楽器を手に入れて音を出す練習をしてみてください。
2. 「こりゃー無理だ」と思った方は、そのままレジンの楽器を部屋のインテリアにでも使ってください。あるいは友人が家に来た時に「ほら、こんな変な楽器あるんだよ」と話のたねに使えます。
3. 「なんとか吹けそうなのでもう少しやってみよう」と思った方は、迷わず桑原さんに楽器を注文して木のコルネットを手に入れましょう。
4. それで充分満足できるはずですが、他のメーカーのも欲しい と思われた方は、お好みでデルマス、ファンチュラッチ、マッカーン、ウィルソンなどの楽器を手に入れてみてはいかがでしょうか。その段階に至る頃には家の中に確実に数本のコルネットがころがっているという状況になっているでしょう。

 

 

マウスピースのメーカー

 

自分に合ったコルネットのマウスピースを見つけるのは結構大変です。モダンのトランペットのように規格化されたものではないし、第一いろいろ試してみることすら難しい状況です。とりあえずクリストファー・モンクのレジンの楽器を買うとトランペット型の大きめのマウスピースとドングリ型の小さいマウスピースがついてきます。まずはこれで感触をつかんでから自分に合いそうなものを注文するのがよいでしょう。メーカーとしては次の3つを紹介しておきましょう。

 

  クリストファー・モンク・ワークショップ
  ジパング社(及川茂さん)
  中川隆さん

 

モンクのマウスピースのカタログはウェスト氏のホームページで見ることができます。
ジパング社のものは東京古典楽器センターにおいてあるはずです。いろいろなモデルを作製していて一番ラインアップが豊富です。ジパング社のホームページに詳細が載っています。
中川さんのマウスピース(私はこの数年ここのNo.2というモデルを愛用しています)については雑誌アントレに広告が載っていますので、連絡先はそちらをご参照ください。

 

 

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コルネット(古楽器)の演奏を聴くなら

世界のコルネット奏者たち

コルネットという楽器の復興に先駆的に貢献した第1世代というべき人々としてはアメリカのドン・スミサーズ、イギリスのマイケル・レアード、ドイツのエドワード・タールやホルガー・アイヒホルンという先人が挙げられます。この人たちの功績は大変偉大なものの、演奏という面では今や歴史的な部類に入ってしまいますので、今からコルネットを学ぼうという人の参考にはならないでしょう。

次に第2世代に当たる人たち。これらの人たちは奏法の技術向上、レパートリーの開拓、演奏スタイルの確立という面で今日のコルネット界の一番の立役者といってもいいでしょう。今も現役でアンサンブルでの演奏や音楽大学で後進を指導するなど第一線で活動中の方々です。

 ブルース・ディッキー(アメリカ人、在イタリア、コンチェルトパラティーノ主宰)
 ジャン・ピエール・カニヤック(フランス、レ・サックブティエーズ・デ・トゥールーズ主宰)
 ジェレミー・ウェスト(イギリス、ヒズ・マジェスティズ・サックバッツ&コルネッツ主宰)
 ローランド・ウィルソン(ドイツ、ムジカ・フィアタ・ケルン主宰)

彼らはそれぞれ自分のアンサンブルを持ち、積極的にレコーディングを行ってきたので、CDもたくさん出ていますし、数あるモンテヴェルディのヴェスプロのCDなどでもこの人たちの名前の入っていないCDを探すのが難しいくらいです。

そしてその次の世代。先の第2世代に教わった人たちで、先輩達の業績を土台にさらにレパートリーや奏法の可能性を広げていっている人たちです。今一番旬でエキサイティングな演奏を聴かせてくれる人たちと言って良いでしょう。

 濱田芳通(日本、アントネッロ主宰)
 ジャン・チュベリー(フランス、ラ・フェニーチェ主宰)
 ウィリアム・ドンゴワ(フランス、レ・コンチェルト・ブリーゼ主宰ほか)
 ドロン・シャーウィン(アメリカ人、在イタリア、コンチェルトパラティーノのメンバー)

さらに次の世代については、これからどんどん若い人が出てくるのでしょうが、まだ第3世代をしのぐような逸材は出てきていないというのが現時点での私の正直な感想です。第3世代でかなりのところやり尽くしちゃったんじゃないかという気もして、果たしてそれを超えるビッグな奏者がでてくるのかどうか自体が疑問でもあります。

独善的おすすめCD

日本に住んでいてコルネットをやろうというのなら、なにはともあれまず濱田氏率いるアントネッロの演奏を聴くべきです。世界一流のコルネットの腕もさることながら、音楽とはいかにあるべきかということについて重大な示唆を与えてくれること必定です。

 Anthonello/ Il Chiostro Manieristico (マニエリスムの回廊)Cookie & Bear 00001
 Anthonello/ Estro Venetiano(ヴェネチアの霊感)Cookie & Bear 00002
 Anthonello/ Viva Ciaccona!!(ビバ!チャコーナ)Cookie & Bear 00004
 Anthonello/ Frescobaldi, Arie, toccate e canzoni スウェーデン BIS CD-1166
 Anthonello/ Tarquinio Merula, toccate, canzoni e canzonette 伊Symphonia SY02201
 アントネッロ/ 薔薇の中の薔薇ー聖母マリアのカンティガス Anthonello Mode 10001
 アントネッロ/ ナトゥラーレ Anthonello Mode 10002
 アントネッロ/ 天正遣欧使節の音楽 Anthonello Mode 10004

正統的コルネットの模範演奏はこちら、ブルース・ディッキーのものは聴いておかねばなりません。なにしろコルネットを芸術楽器として今ある位置まで高めたのはブルースですし、わざわざ研究のために文献の豊富なボローニャに移り住んいることから判る通り、実践的な研究に基づいた史実に忠実な演奏習慣の復活に長らく奉仕してきたコルネット界の大御所です。今活躍している世界的コルネット奏者で彼の教えを乞うたことのない人はいないくらい彼の影響力は偉大だと言えましょう。演奏は堅実ながらスタイルはしゃれています。

 Bruce Dickey/ Virtuoso solo music for cornetto ベルギーAccent ACC9173D
 Concerto Palatino/ Sonate concertate in stil moderno ベルギーAccent ACC9058D
 Ensemble Sonnerie/ Sonatas Fontana, Cima and Turini 英Virgin Veritas 7243 5 45199 25
 Concerto Palatino/ Gabrieli, Sonate e Canzoni 独harmonia mundi HMC901688

ここから先は好みの問題になります。
ヴィルティオーゾ的技巧を聴いてみたい人にはジャン・チュベリーの演奏がいいでしょう。まるでリコーダーを吹くように軽やかにコルネットを操っていて、これがどんなに困難な楽器であるかをみじんも感じさせません。ジャンほど技巧的ではないけれど、やはり鮮やかな演奏はウィリアム・ドンゴワのものです。この人の即興はすばらしい。カニヤックの演奏もものによっては参考になります。いずれもフランス人ですが、ラテン人の粋な面というのはこういう演奏で伺い知れることができます。

 La Fenice/ Dialoghi Venetiani 仏Ricercar RIC157142
 La Fenice/ Lassus & Palestrina 仏Ricercar RIC152137
 La Fenice/ Dario Castello In stil moderno 仏Ricercar RIC206422

 Le Concert Brise/ La Barca D'amore 独Carpe Diem 16254
 Le Concert Brise/ La Golferamma 独Carpe Diem 16258
 Le Concert Brise/ Musique Transalpine 独Carpe Diem 16263

 Les Sacqueboutiers de Toulouse/ Giovanni Martino Cesare 仏Accord 205 532

誤解を恐れずに言えば、それ以外の演奏は聴かなくても良いと言えるでしょう。積極的にはお奨めしません。これらを凌ぐコルネットの名演はないと思いますから。ただ、違うスタイルの演奏を聴いてみたいとか、どうしてもその団体しか音源として録音が存在していないというときには聴いてみるのはいいかもしれませんが。限られた予算でコルネットの良い演奏、いい音楽を聴きたいのであれば上記に挙げたCDで充分だと思います。

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2016/02/22

PIPERS3月号

先週発売された管楽器専門月刊誌パイパーズ3月号に僕の記事が載ったのでご紹介。

1つは巻頭Zoom up で今回の「これしかない」の演奏会の紹介(4世紀にわたる金管楽器を吹き分ける)が2ページ、これはリハーサルの時に取材されたもの。
もう1つは最後の方に3ページの記事(PJBEからキイトランペットまでの遍歴)で、こちらはプログラムに挟んだ解説に多少修正を加えたもの。ちょっと昔の写真なども使ってみた。

Pipers201603_4
(下敷きになっているのは前回2009年6月号の記事)

解説の方はプログラミングとも密接に関係していたので、これだけを取り出すとちょっと「なぜこの話題がここに?」という部分もなくはないのだが、まあそんな細かいことにこだわってもしょうがないだろう。
「このプログラムノートは面白いので記事にしたいのだが」とおっしゃっていただいた編集長に感謝。

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2016/02/17

マウスピース到着

先日注文したナチュラルトランペット用のマウスピースが到着した。早い!しかも最近はEgger社はクレジットカード決済も受け付けるようになったから支払いも楽だ。

さて、今回頼んだのは新モデルMZシリーズ。このMZシリーズについてはMadeufさんからお話は聞いていたのだが、昨年Eggerに問い合わせをしたところまだ試作段階とのことだった。2月に入ってから再度聞いてみるとこの1月から正式に販売することになったらしい。まだHPには載っていないが1, 1a, 2, 2a, 3, 3aの6種類を案内された。aがついているのはalphaの略だとすると、カップがやや浅めでスロートが狭いモデルだと推察される。僕はこのラインナップの中から2と3を注文した。

新しいおもちゃが到着するとわくわくするよね。
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左がMZ2, 右がMZ3

正確に計測してないから適当なコメントになってしまうのを許していただければ、手持ちのBLシリーズと比較するとリム、カップ、スロートいずれも同じサイズのように思われる。ちなみにBLシリーズのサイズは以下の通り(単位はいずれもmm)
    cup   rim    throat
BL1  19.5  32.0  4.6(BL1aは4.4)
BL2  19.0  31.2  4.4(BL2aは4.2)
BL3  18.5  30.32   4.3(BL3aは4.2)

手持ちのBL1とBL3と並べて比較してみよう
Img_7672  Img_7670
(上下写真とも)左から
BL1, MZ2, MZ3, BL3

大きく違うのはシャンクの長さ。
Eggerのバロックトランペットにそれぞれのマウスピースを刺し、どこまで入るかマジックで印をつけてみた。
Img_7674  Img_7673

さて、肝腎の吹奏感だが、見た目と同じくBLと大きくは違わない。ただしシャンクの長さにこれだけ差があると、特にvent holeを使った場合のイントネーションがかなり違う。
まだ吹き込んでいないので即答は危険だが、今のところMZシリーズの方が音程が改善される気がする。
どれが馴染んでくるか、徐々に分かってくるのも今後の楽しみの一つだ。

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2016/02/16

「これしかない」で使った楽器とマウスピース

今更の話題の気もするけど、きちんと記録しといた方がいいかと思いアップしとこう。

1/31のこれしかないファイナルで使った楽器たち

Img_7663
上から

1. Natural trumpet (18c Haas copy, M. Raquet作)
  1部のエドモンズベリーのファンファーレと3部のサムソン終曲に使用
2. Modern trumpet in B♭(V.Bach)
  1部のアーノルドのクインテットに使用
3. cornetto (17c copy, T. Kuwahara作)
  2部の初期バロックに使用
4. Baroque trumpet (18c Ehe copy, R. Egger作)
  3部のサムソン終曲を除くすべて
5. Keyed trumpet (19c Meindle copy, G.J.v.d. Heide作)
  4部のハイドンとフンメルのコンチェルトで使用

一方マウスピースは
Img_7665  Img_7667  Img_7669
左から

1. V. Bach 1C(1部、modern trumpet用)
2. T. Nakagawa (2部、cornetto用)
3. Egger BL3(1部と3部、natural/baroque trumpet用)
4. Egger SI7(4部、keyed trumpet用)

1つの演奏会で持ち替えが多かったので楽器とマウスピースの組み合わせはなるべくシンプルにしたつもり。

マウスピースの写真で見て取れる通り、楽器によってマウスピースのサイズが大きく異なる。今回のコンサートでは、カップの大きさの推移は小→極小→大→中という具合だった。自分の場合、小さいマウスピースから大きいのに移行するのはアンブシュアを崩す原因になって問題があるのだが、第2部の極小のコルネットに関しては自分は唇の端で吹く(サイド・アンブシュア)ので、そのセッションが都合良く緩衝剤になって3部の大きいカップに持ち替えた時に違和感なく吹奏することができた。もしアーノルドの直後にヘンデルだったとすると、いわゆるナチュラルトランペットのクラリーノ演奏ができずに苦しんでいたかもしれない。

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2016/02/14

泳ぎながら考えること

プールでぼんやりとスイミングをするのが好きだ。

ぼんやりとは言っても何メーター泳いだのかは勘定するようにしている。25mプールで1往復50m、これを10回が一応ワンセットということにしている。しかし、なにぶんぼんやり泳いでいるので途中でどこまで数えたかわからなくなることもときどきある。だいたい7か8くらいで、あれ?今8だっけ、9は行ってないよね、とかなることが多い。

そこで最近取り入れているのが数の代わりにシンフォニーのメロディーを思い浮かべながら泳ぐ方法。つまり1回目はベトーヴェンの1番、2回目はベト2、3回目はエロイカ、というふうに交響曲のメロディーとともに泳げば、第九のメロディーまでくれば9回ターンしたことになるというわけだ。

というわけでこのスイミング法に向いている交響曲はというと、やっぱりベートーヴェンとマーラーということになるかなあ。9曲作ったのは他にブルックナーもあるけど、どれも似てるから混乱しそうだしそもそも1番2番とか憶えてないし。シューベルトだと7番でつまづいちゃう。

1セットをもう少し長くしたければブラームスの交響曲を楽章ごとに数えて16にするという手もあるか。いや別にベートーヴェンのカルテットでもいいんだけどね。しかしメロディーを必死に思い出そうとしてる時点でぼんやり泳ぐという趣旨からはずれそうだ。

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2016/02/13

CDの陳列法

集めたCDは聴かなければ意味がない。

なるべくそのときの気分に応じてあれこれとCDを引っぱり出しては聴こうと努めているのだが、そんなときどうしても出てきづらいのがBOXセット。コンパクトにまとまっているのはいいのだが、特にシェルボックス(貝のように開くタイプ)は箱をえいやっと広げないと個々のCDに到達しない。

そこでなるべくすぐに取り出せるようにしたのが写真のような方法。普通のボックスはフタを取り外し、シェルボックスの全集は他のボックスタイプの箱を活用しCD1枚1枚が見えるように工夫。これだと単体のCDと同じようにすぐピックアップできる。

それにしてもこの写真にあるだけでも11指揮者、285枚のCD。全部をちゃんと聴くにはどんだけ暇な時間が必要なことだろうか。

Cds

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2016/02/12

マウスピース新モデル

バーゼルのエッガー工房に新しいモデルのマウスピースを注文した。新しいMPを試すのは久しぶり。

今日送ったということだけれど届くのに何日くらいかかるんだろうか。わくわく。

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2016/02/11

恩師その後

インターネットでとある記事を見ていて、ホルン吹きの故田中正大さんが嘉穂高校のご出身だというのを発見し、僕の恩師のことを思い出した。

僕が最初にレッスンについた先生も嘉穂高校の出身で今も郷里の飯塚に住んでいらっしゃる。その先生を訪問したことはこのブログにも書いた。そういえばあれ以来ずいぶんご無沙汰してしまったなあ、とそのときの記事を探してみたらなんと10年も前だったんだね。

最近はどうされていらっしゃるのか、と調べてみたら昨年9月に口腔外科で手術を受けられたとのこと。死ぬまでラッパは吹くんだ、とおっしゃっていた先生だけれど、手術後もラッパは練習していらっしゃるのだろうか。

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2016/02/06

ネット上の反響(その4)

Facebookからの転載、最後はやや内輪ネタ。

記事を書いてくれたのは「これしかないファイナル」のステージマネジャーを担当したO氏。O氏は僕のナチュラルトランペット仲間でもあるが、彼の所属する市民オケや会社のオケでマネージメントの経験が大変豊富にあり、かつそのきめ細やかな仕事ぶりはかねてから僕も拝見して感心していたので、ステージ展開が複雑な今回の舞台のマネージメントをお願いするのは彼しかいないと最初から決めていた。

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160131 これしかない ファイナル(第5回)

中村孝志さんプロデュースの演奏会企画は今回5回目にしてファイナルとの位置づけだった。今回はブリテン、アーノルドに始まり、ガブリエリやモンテヴェルディなど17世紀の音楽、休憩後18世紀ではヘンデルを取り上げ、最後に19世紀、ハイドンのTp協奏曲で〆るという壮大な企画だ。それぞれ編成が大きく変わるということもあって、ステージマネージャを拝命したのは前にも書いた通り。

結果として、大きな問題はなく進められたのではないかと思うけど、これはお客様や演奏者の皆様の感覚が重要なので、保留すべきだろう。最大の反省点は、ピリオド楽器の特性上、ピッチが環境によって大きく変わることを考えず、チューニング等考慮しないで曲間の間合いを短く想定してしまったこと、だろう。
あとはトークの時間の見誤り。遅れに遅れて結局16分オーバーという..退館時刻には十分時間があったのでまあ、結果的には重大なことにはならなかったが、普段ギリギリなYCS(県の施設が16時半退館ってのも大きいが)で16分オーバーなんて夢に出てきてガバッと起きそうな事態であるw 幸い、今日のホールは表周り16時半、楽屋は17時退館だった(終演は16:02)。

さておき、演奏会はお客様も多くいらっしゃったし、演奏内容も各部各曲それぞれの個性がしっかりしていて美しく響き、成功だったと思う。それにしても、この分量をものにする中村さんって本当にすごい。お客様の興味を外さず、「あっという間の3時間だった」とアンケートにも多数書かれていてまったくその通りだと思った。

個人的にも好きなヘンデルのEternal source of light divineやLet the bright Seraphim はもちろん素晴らしかったのだが、知らなかった曲ではVa tacito e nascosto (Giulio Casare)とかもよかったなあ。Hrとアルト(本来はカウンターテナーらしい)のかけあいは、私も金管奏者の端くれでもあるから、そのHrの超絶さに感嘆した。他には、ドルツィアンとセルパンのduoなんて、ステマネ業務を放り出して写真を撮りたいと思ってしまったw

そんなわけで、スタッフ業務ではあったが、モニタースピーカからの演奏も十分に楽しめて、良い一日だった。

このような機会をいただき、感謝いたします。

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彼にとって16分オーバーは想定外だったようだが、僕はこれまでの経験で、MCやCDプレゼントの時間もあるから、多分15分くらい押すかなと見込んでいたので、自分的にはスケジュールぴったりという感じだった。

ともあれ、O氏の働きがなければ、準備段階から当日の進行に至るまで、とてもあんなにスムーズに進んで行かなかったと思う。 期待を上回る協力を得られてすごくありがたかった。
こちらこそ感謝、感謝です。

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2016/02/05

ネット上の反響(その3)

今回の「これしかない」では4世紀の時空をまたがることから、出演者にはかなり過酷な注文をお願いすることとなった。

例えばファゴットの鈴木さん。初期バロックのドルツィアンに始まり、バロックファゴット、クラシカルファゴットと一つのコンサートで3本の吹き分け。それぞれにリードも異なり大変だったに違いない。同じくホルンの大貫さんにはモダンでクインテットをやってもらった後にバロックのコルノダカッチャでスタミナを要求されるキツい3曲、さらにクラシカルのナチュラルホルンに持ち替えてハイドンの伴奏をお願いした。ヴァイオリンの律ちゃんに至っては一つのヴァイオリンでピッチをa=440から415, そして430と、休憩ごとに調弦し直してもらうという前代未聞のコンサートだった。

そうした僕の無茶なリクエストに応えてくれた中の一人がこちら、
バリトンとフルート掛け持ちをお願いした春日さんだ。

春日さんのFacebookのタイムラインを見てみよう。

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いやぁ、中村さん素晴らしかった!!あれだけのプログラムを演奏し、コーディネートをしと、仕事をしつつクオリティを上げられ、ほんと尊敬致します。

まるでお祭りのような舞台で、見事な大輪の花を咲かせました!!

僕はヘンデルの《リナルド》から、ハイトーン盛りだくさんのアルガンテのアリアを歌いました。この曲は僕が学生時代にヘンデル協会の公演で中村さんともご一緒した思い出深い曲。

そして、それを歌うと今度はバロックフルートに持ち替えて、オラトリオ《復活》を吹き、《サムソン》の合唱をソリスト4人で歌いました。

その後は、クラシカルフルートに持ち替えて、ハイドンのトランペットコンチェルトをオケの中で吹きました。初めてのクラシカルフルートに、かなり苦労しつつも、なかなかない機会を楽しませて頂きました。

更にはアンコールにモツレクからTuba mirum を歌い、最後は再びオケ席でフンメルを吹くという、やや頭が混乱気味になってしまいましたが、これも中村さんと一緒ならではの舞台ですね。

コンサート自体も4世紀にわたる金管楽器の世界を存分に楽しめ、それを1人で吹き分けるのは世界でも類を見ない、貴重なものだったと思います。個人的には各世紀のファンファーレが楽しかった!

とにかく、面白いコンサートでした!!!

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やはり多少混乱しましたか。すみません。
ほんと、ありがとうございました。

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2016/02/04

ネット上の反響(その2)

次は許可を得てのFacebookからの転載です。

聴きにいらっしゃったお客さま(Kさん)の感想。
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今日はいいお天気!
中村孝志さんのコンサートへ。トランペットの400年の歴史をめぐるコンサート。トランペットの楽器が世紀を超えるごとに変わっていくのはもちろんのこと、共演楽器や編成もどんどん変わっていってとても豪勢なプログラム。わたしの普段接している音楽は2ステの17世紀、3ステの18世紀が主だけれど、1ステのモダン、4ステの19世紀も楽しませていただきました。

最初モダンから入って古楽入っていくというのは、中村さんのトランペット人生を辿る構成とのこと。確かに合唱の世界でも、無伴奏の現代ものと同じく無伴奏でできるルネサンスものを合わせてレパートリーにすることが多く、案外古いものと新しいものとは親和性が高いように思います。

1ステは華やかなナチュラルトランペット3本のファンファーレの後(ブリテンだけどナチュラルでした)、金管五重奏。チューバの重低音はすごいですね。厳かな気持ちになります。あんなにでかくて大変なのにもかかわらず、人が低い音の楽器を作りたがる理由が分かったような気がします。

2ステになると、ちょうど今、気合を入れてやっているシャインの曲が17世紀の曲で、イタリアの様式を下敷きにして作っていることもあり、とても聞き覚えのある音楽が聞こえてきてほっとします。中村さんはトランペットをコルネットに持ち替え、バリバリ装飾音をつけながら吹いてらっしゃいます。りっちゃん先生との装飾のキャッチボールは聞いていて気持ちいい!ステージ上手が管楽器、下手が弦楽器中心の編成で、まろやかな管楽器の音と、刺激的な弦楽器の音のやりとりが対比されておもしろいステージでした。コルネットは歌とも相性がよさそうと感じました。

一番興奮!したのは、歌がいちばん華やかな3ステのヘンデル三昧。オペラのカウンターテナー用アリアをア2曲歌われたちはるさんの、颯爽とした舞台姿が美しく、低い音域も美しい響きでホールを満たしてくださいました。歌と楽器が対話して同じパッセージを会話するのも楽しく。こういうとき、装飾はあらかじめ打ち合わせしておくのでしょうか。打ち合わせと違う装飾つけちゃって、「あっ!」なーんてことになったら大変だけれど、スリリングで楽しそうですね(^.^;)。

4ステはハイドンのトランペット協奏曲。いわゆるオーケストラ&ソリスト、というスタイル。この時代の曲はほとんどなじみがないので、全く訳がわからないままに興味深く聞かせていただきました。430Hzだったのでしょうか?チューニングの音が不思議な感じがしました。
アンコールのモーツアルトのレクイエムから「Tuba mirum spargens sonum 」も素晴らしかったです。

そんなわけで、バリバリの本業を持ってらっしゃりながら、コンサートをオーガナイズし、主演する、中村さんのバイタリティーとインスピレーションに驚嘆したコンサートでした。モダン用のトランペット(中村さんとこの取り合わせは逆に新鮮です)、ナチュラルトランペットのみならず、コルネットにキー・トランペットと、実に4つの楽器を吹きこなしてらっしゃしました。

中村さんとは実は同じ大学出身。人数が少ない大学ですし在学中はわたしは西洋音楽はやっていなかったので、なかなか音楽界で出会うことが少ないのです。それで勝手に親近感を感じさせていただいているのですけれども、これからもますますのご活躍を楽しみにしています。
このコンサートシリーズ「これしかない」は、実は今回がファイナル。次はいったいどんな中村さんの新たな活動が始まるのか、楽しみです。

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Kさん、詳細なレポートと感想ありがとうございました!

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2016/02/03

「これしかないファイナル」ネット上での反響(その1)

ネットでいただいたコンサートの感想をまとめてご紹介です。

時代の趨勢を反映してFacebookの記事が多いですね。これについてはリンクが貼れないので本人の許可を得て別に改めて転載するつもりです。

共演で素晴らしい歌を聴かせてくれた歌姫のお二人のブログです。

お客さんでいらっしゃった某トロンボーン吹きさんのブログです。

まだあとで見つけたら追加しますね。

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2016/02/02

チラシ考

Img_7644

日曜日のコンサートの事後処理、メディア関係も含めてようやく一段落してきた。沢山のいただきものはアルコール以外は足の速いものから少しずつ会社で消化しています(笑

さて、今回のコンサートで自分のミッションの一つにしていたマーケティング(すなわち観客動員)について、ちょっと振り返り。

最終的に来ていただいたお客さんの数は280人。朝日ホールは550席なので約半分の入りだったということになる。ただし客席が空席ばかりで寂しかったかというと、そういう感じもなかったようだ。僕としては300の大台に乗せたいという気持ちがあったのでそれにはちょっと及ばなかった。

終演後にいただいたアンケートの数は73、4人に1人がアンケートに答えてくれたわけで、普通こんなに回収率がいいわけではないのでこれはすごくうれしいことだった。
アンケートから更に詳細を見てみよう。

どうやってこのコンサートを知ったかという問いに対し、
1. 主催者・出演者から 56%
2. チラシを見て    15%
3. HPやSNSなどネット 15%
4. その他       14%

となっている。通常知り合い関係の方がアンケート記入は多くなるだろうから、アンケートに答えなかった人もこの割合というわけにはいかないだろうが、ここでは話を単純化してこの比率を4倍して人数を割り出すことにする。

ここで見たいのは2のチラシの効果だ。
今回のコンサートのチラシは4ヶ月半前の9月中旬から撒き始めた。全部で37のイベント、枚数にして15,000枚。これに対してチラシを見て来てくれた人が42人(280 x 15% = 42)。1人あたり360枚のチラシ、1枚のチラシあたり0.28%ということになる。コスト面で見ると(内輪話になってしまうが)、製作コストを動員数で除すると一人あたり約千円となり、入場料金の半額はチラシ代だったという計算になる。もちろんチラシは知り合い勧誘にも使われたわけだから以上の計算は大げさに見積もり過ぎではあるが。

チラシの費用対効果について、今回が高かったのか安かったのか、効率が良かったのか悪かったのか、この1回の集計ではなんとも結論は出せない。せっかくなので事実関係ということでまとめてみた。

それにしても、従来から個人的には「チラシ撒き」って原始的でかつ効率の悪いマーケティングだなあ、と思ってきた一方で、今回他のコンサートにチラシの挟み込みに行くと、「これがダイレクトに見込み客に届くんだよなあ」と期待する気持ちとが交錯した。「お願い、目に留まってよね!」

それに比較して3. のHPやSNSなどのネット が同率の15%になっているのは、興味深い。このブログの効果はいかほどか分からないが、FacebookやTwitterなどでの宣伝はほぼ追加コストゼロでチラシと同じだけの動員につながるわけだから効率のいいことこの上ないね。

もう一つ、チラシに関して。
今回のコンサートはブラスアンサンブルからバロック、古典、歌あり、とジャンルが複数にまたがっていたので、チラシを撒く対象のイベントもそれに合わせて複数ジャンルに亘っていた。すなわちトランペットリサイタルからブラスアンサンブルのコンサート、歌のリサイタル、合唱団の公演、オーケストラの演奏会(モダン/バロック共)、バロックオペラの公演、などなど。

そこで気づいたのだが、挟み込まれるチラシってそれぞれの同類のジャンルに偏りすぎじゃないかってこと。つまり、アマチュアオケの公演には他のアマオケのチラシが、合唱団の公演には似たような合唱団のチラシ、ブラスアンサンブルにはブラスアンサンブルの、以下同文。確かに来場しているお客さんはそのジャンルの演奏会に興味があるのだろう。でもひょっとすると知り合いが出ているからとか親戚付き合いの義理で、という人も多いに違いない。コンサートで見かけるチラシにどれだけ食指が動くか、同類のイベントばかりでなく、ちょっと変わったジャンルのチラシが混ざっていたほうが潜在見込み顧客の発掘につながるのではないか、などと思ってしまった。

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2016/02/01

「これしかないファイナル」ご来場御礼

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 1/31の日曜日には「中村孝志これしかないファイナル」のコンサートに多数ご来場いただきありがとうございました。

終演後のアンケートなどを拝見するとおおむね好評だったようでほっと胸をなでおろしております。これもひとえに共演してくれた素晴らしい音楽仲間のおかげです。1つのコンサートの中で、4世紀にわたる音楽のピリオド演奏を、それぞれのピッチ、それぞれの時代楽器でやってしまおうという、いささか無謀な試みに、みんなそれぞれ忙しいスケジュールの中、文句も言わず協力してくれた友人たちに感謝、感謝です。

「これしかない」は今回でファイナル。打ち上げの席でも皆から「これもあった」とか「あれもあった」とか「これ、もう一回」とかなんとか別タイトルで続けようよ、と声を掛けられました。そう言ってもらえるのはとてもありがたいことで、主催者冥利に尽きます。 とりあえず言葉に嘘のないよう「これしかない」という名の自分のリサイタルは終わりにしますが、音楽活動は今までにも増して続けていくつもりですのでこれからもよろしくお願いいたします。

写真はみなさんからお寄せいただいた品々。ありがとうございました!いくつかのお花はソリストの方々にお裾分けさせていただきました。

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