コルネット逆曲がりの謎
BCJのシュッツの演奏会を聴きに行った時のこと。
ゲストで来ていたコンチェルト・パラティーノのコルネット奏者、Jamie Savanの使っていた2本のコルネットのうち1本が極めて珍しいものだった。というのは、通常コルネットは歌口から右側に緩やかにカーブを描いた形なのだが、その1本は逆に左側にカーブしていたのだ。いや、昔の図版にないわけではないのだが実物は初めて見た。
楽器が右側にカーブしている訳は「昔の角笛の名残だ」とか「指穴間隔が広いから曲がっていたほうが右薬指が指穴に届きやすいから」など諸説がある。特に後者の説に立つならば逆向きのカーブだと吹きにくいのではないか。
演奏会が終わって彼に直接訊いてみたところ、「いや、それが意外と問題ないんだよ」とのこと。実際に楽器にさわらせてもらったが構えてみると確かに違和感はない。ピッチがコアトーンのa=466だったからコルネットが小振りなせいもあったかもしれない。慣れないのはビジュアルだけの問題だ。ちなみに楽器製作者はマッカーンだと言っていた。
そのときは深く考えてみなかったんだけれど、うちでコルネットをさらっていて「なるほど」と腑に落ちた。つまり、逆向きになっていることで左手の薬指はノーマルな楽器より孔を押さえやすくなるからだ。それが右薬指のハンディより大きい気がする。なぜならば左手は親指も孔を押さえなくちゃいけないから固定されているのに対し、右親指は楽器を保持するだけの役割だから位置はフリーに決められる。意外と人間工学的に優れた形状だったというわけだね。
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