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2016/02/24

コルネットの教則本

先人のコルネット吹きあるいは器楽奏者・声楽家が記した教則本の主なところでは以下のものがあります。コルネット吹きにとって重要な教則本の順に並べてみましょう。

 

Il vero mode di diminuir con tutte le sorti di stromenti (Girolamo Dalla Casa) ジローラモ・ダラカーサはヴェネチアのコルネット奏者(超名人だったということです)、この本は1584年に出版されました。音符にどのようにシラブルをつけるか表記してあってとても参考になります。この本に限らずこの時代の教則本は最初に簡単なパッセージやフレーズの練習があり、その後に音符の装飾の付け方、カデンツ(終止形)のさまざまな形の練習などがあって、最後に当時の曲にアレンジをつけたものがサンプルとして載っているという形式をとっています。考えてみれば今のジャズの教本なんかと同じですね。なお、この本はファクシミリ譜(当時の楽譜のコピー)がイタリアはボローニャの Arnaldo Forni Editoreというところから出版されています。

 

Ricercate, Passaggi et Cadentie (Giovanni Bassano)
ジョバンニ・バッサーノもヴェネチアで活躍した器楽奏者です。この本の出版は1585年。これも曲やフレーズにどう装飾をつけるかのサンプル集になっています。8曲あるリチェルカーレは独奏曲集。現代譜がスイスのEdition Pelikan から出版されています。

 

Selva di varii passaggi (Francesco Rognoni) ちょっと時代が下って1620年にミラノで出版された声楽用の教則本です。これはもうこの時代の音楽を勉強するものにとっては聖書みたいな存在です。「パッセージの森」というタイトル通りアイデア豊かなフレーズがいっぱいいっぱいつまっていてこの曲集をさらうだけで満腹になるくらい。しかも付録のサンプル曲集は超難曲でチャレンジング、飽きがきません。ファクシミリ譜がArnald Forni Editoreから、現代譜がEdition Pelikanから出ています。

 

Passaggi per potersi essercitare (Richardo Rogniono) 1592年ヴェネチアでの出版の器楽用の教則本。リッカルドは先のフランチェスコのお父さんにあたります。フランチェスコをさらった後だとちょっとフレーズが機械的に過ぎて面白みに欠けるところがちょっと難点でしょうか。ファクシミリ譜です。

 

Regole, Passaggi di musica (Giovanni Battista Bovicelli)
1594年ヴェネチア出版の声楽用練習曲集。ボヴィチェッリの節回しは独特で上昇音形がクセになりそうです。これもファクシミリ譜のみです。

 

Varii Esercitii (Antonio Brunelli)
ブルネッリは斜塔で有名なピサのオルガニスト。この曲集は1614年にフィレンツェで出版されました。現代譜がPelikanから出ています。フレーズ集のデュエットのところがカノンになっているのでもし二人いたら節回しの練習として合わせるのに最適です。

 

これ以外にもコルネットの練習に向くかどうかはともかくとして、Diego Ortiz のガンバ用の練習曲集(El Primo Libro 1553)とか、リコーダー用のSylvestro Ganassi の有名な練習曲集、フォンテガラ(Opera Intitulata Fontegara 1535)なども重要な文献で参考になります。

 

 

さて、オリジナルの教則本はこれくらいとして、次に現代につくられた教則本について見てみましょう。

 

Varii Esercitii per cornetto (Bruce Dickey)
なんと言っても世界中で一番使われているコルネットの教則本はこれではないかと思います。バーゼル・スコラ・カントルムの教授のブルース・ディッキーの教本。Warm up Exrcises, Tonguing Patterns, Articulation, Intervals, Meantone Intonation というブルース作のオリジナル部分に加えて先に挙げた昔の教則本からさわりの部分がピックアップされて構成されています。
知らない奏者でも最初のウォームアップ部分をさらっているだけで、「あ、この人はブルースの教本で練習したんだな」ということが分かってすぐ友達になれます。というわけで有名な教本なんですが、出版はされていません。というのも直接ブルースからコピー譜を手に入れる(バーゼルの学校の他にさまざまなマスタークラスなどで)という形で流通しているからです。それだけブルースの影響が大きいという証左でしょうね。
私はバンクーバーのサマーアカデミーでブルースのクラスを受講したときに入手しました。

 

How to play the cornett (Jeremy West) 次にポピュラーな教本はこれでしょうか。イギリスのコルネット奏者ジェレミー・ウェストが1995年に著したものです。ウェスト氏のホームページから購入することができます。
この本の貴重なところは前半部分に「どうやってコルネットを演奏するか、練習するか」について文章で丁寧に書いてあるところです。英語が苦でなければ是非読むことをお勧めします。後段はトランペットのアーバンみたいな練習曲集になっています。

 

215 Chop-Busters for the cornetto (Michael Collver)
著者のマイケル・コルバーはアメリカのコルネット奏者です。題名の通り215曲の練習曲と付録に昔のディミニューションの曲集がついています。練習曲はひたすら吹く感じ。練習曲についてはウェスト氏の教本と趣旨は似通っています。

 

コルネット用の教本ではないけれど、モダンのトランペットの教則本もコルネットの練習用に使えます。アーバンなどはそのままコルネット練習に使うのに向いています。むしろスケールや跳躍を練習するにはこれで充分ではないかと思います。

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