2016年5月
2016/05/29
2016/05/27
永年の誤解
今更ながらに正直に告白すると、永年(ほとんど20年近く)誤解してたことがあった。
それはナチュラルトランペットに関する英語について。
今博物館においてあるような歴史的ナチュラルトランペットは単なる真鍮の管なのだが、これだと出せる音が自然倍音のみなので、いわゆる平均律から音程が大きく乖離する音がいくつかある。現代になって古楽器のリバイバルブームが起きたときに、この問題を解決するためにナチュラルトランペットの管の途中に小さな穴をあけることが考案された。1960年代のことである。
最初は管長の2/3のところに穴を1つ空けて管の中の振動数をそこで止めることにより4度上の倍音列になるようにしたのだが、それ以外にも小さな穴をいくつか空けて他の倍音列にしたり、本来は出ない音も出せるような工夫がなされた。それによって演奏の安全性や音程の調節のたやすさなど、ナチュラルトランペットが持っていた演奏上の困難な問題をかなりの程度克服できるようになった。
今ではごく一部の勇敢な純正ナチュラルトランペット奏者以外は世界中のほとんどのピリオド奏者(自分も含め)がこの3つか4つの穴が開いた”えせ”ナチュラルトランペットを使ってピリオド楽器によるピリオド奏法、と言ってコンサートやレコーディングをしているわけだ。
ちなみに、長らくバーゼルのスコラの教授だったエドワード・タール氏はこの古くて新しい楽器のことを「ナチュラルトランペット」と区別して「バロックトランペット」と呼んでいるので、僕もずっとそれに倣っている。
前置きが長くなったが、問題はこの穴の名称。英語だとvent holeと呼ばれている。機能は上述した通り、その穴の地点で波動を止めて倍音列を変えることなのだが、僕はてっきりbent(曲げる)と混乱していて、波動を変化させて音程調節に使うという意味で「補正孔」という言葉を充てていた。最近改めてもっとぴったりした単語はないかなとずっと考えていて「変調孔」とかどうかな、とか思案しながら、辞書を引いてみてびっくり! なんのことはない、「vent=(管楽器の)指穴」 とあるではないか。なんか考え過ぎだったというわけだ。
ということで今後はこの小さな孔のことを「指穴」と呼ぶことにしよう。
今までさんざん「補正孔」として書いてきたブログの記事とかどうしよう。それが新たな問題だ。
2016/05/24
演奏会のお知らせ(5/28)
日時:2016年5月28日(土) 6:00pm
場所:日本キリスト教団 本郷教会礼拝堂(東京・上荻)
曲目:J.S.バッハ カンタータ第75番 <乏しき者は食らいて>
演奏:ハインリヒ・シュッツ合唱団&ユビキタス・バッハ
指揮:淡野太郎
入場無料
バッハが1723年にライプチヒのトーマス教会に着任して最初に演奏されたカンタータ(1723年5月30日)です。新任バッハの気合いの入った名曲です。
このカンタータは自分にとっても思い出が深く、2003年6月にターフェルムジーク鎌倉の教会カンタータシリーズ第1回で76番とともに演奏したのですが、それが自分にとって初のバロックトランペットでのバッハ・カンタータ初体験だったのです。
この本郷教会のSDGの催しでも2007年6月に演奏いたしました。
今回は従って自分にとって3回目ということになります。
(以下はトランペットのオタク的話です)
75番はトランペットの出番は2曲、8のシンフォニアと12のバスのアリアです。12は通常の in C のトランペットという指定ですが、問題は8のシンフォニア。バッハの楽譜では tromba in G となっていますが、trombaの楽器指定でG管なのはバッハの曲目でこの75番だけです。
(ちなみにバッハがトランペットにB,C,D以外の調を指定しているのはこの75番の in G とケーテン時代に作曲したブランデンブルグ2番の in Fだけです)
in G を楽譜通りに演奏するととんでもなく高い音域なので現代では1オクターブ下げて演奏するのが通例になっています(僕の手持ちでは唯一ヘレヴェッへ/コレギウム・ヴォカーレのトランペット、昨年亡くなったリンデケがオクターブ高く演奏しています)。しかしオクターブ下げるとコラール旋律なので自然倍音以外の音が頻繁に出てくる。これを演奏したであろうライヒェはどのようにしたのでしょうか。
考えられる選択肢は3つ、
1. 楽譜通りオクターブ上げてナチュラルトランペットで演奏
2. 1オクターブ下げてナチュラルのベンディングで対応
3. 1オクターブ下げてスライドトランペットで演奏
1. が一番順当な気もしますが、はたしてG管ナチュラルがあったのかどうか極めて疑問です。
2.の根拠は同時期(初演は75番の翌週 6/6)に作曲された76番のコラール(in C)にもtrombaの指定があるにも関わらず自然倍音以外が沢山出てくることです。
3.の根拠は希薄ですがライヒェの所有楽器の中にはスライドトランペットもコルネットもあって使っていたようです。おそらく76番のコラールもスライドで吹いた可能性が高いように思います。
さて、過去2回の演奏会では自分はモダンのピストンの楽器でこれを演奏(1オクターブ下げ)しましたし、先日のリハーサルでもポストホルンで代用しました。
でも今回の演奏ではスライドトランペットでチャレンジしてみようかなと思っています(直前練習の具合次第ですが)。まあ、こんな機会でもないとルネサンススライドトランペットを使うことは滅多にありませんし。
少々能書きが長くなってしまいましたが、そんな感じで演奏会がありますので、次の土曜日お暇な方は西荻までいらして僕のスライドワークをご覧になってください。
2016/05/02
東海道を歩く VIII(鞠子から藤枝まで)
今日は鞠子(丸子)宿から藤枝宿まで目指す予定。東海道線では前回の安倍川駅からのスタートだ。
スタートしてほどなくではあったが名物の食ベ物やがあったのでまずは腹ごしらえ。とろろ汁の丁子屋。慶長元年(西暦1596年)創業だそうで、浮世絵にも残っているらしい。「丸子」定食に揚げとろをいただく。これは美味かった。
宇津の谷峠、交通の難所とある。明治以降いくつかトンネルも掘られたようだ。ここはトンネルに頼らず、迷わず旧街道を進む。
峠というだけに、ここを超えると下り坂で、下りは楽チンだった。
静岡市を抜けて藤枝市に入ったところで今回は終了。



















