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2019年11月

2019/11/29

東京ゲートブリッジを渡る

天気が良かったので前から気になっていた海の森水上競技場を見に湾岸を自転車散歩。

行程としては新木場まで輪行→若洲公園→ゲートブリッジ→海の森水上競技場→葛西臨海公園→舞浜。

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新木場で自転車を組み立て。若洲公園はサイクリングロードが整備されていて気持ち良い。対岸に舞浜のホテル群が見える。
公園にはレンタサイクルもある。

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やがてゲートブリッジの威容が見えてきた。恐竜にしか見えない。
東京ゲートブリッジは全長2,618m。広い歩道が片側(陸側)にだけあるのだが、残念ながら自転車の走行は禁止されている。
ただし、レインボーブリッジとは違って眺めを遮るものがなく、最も高いところは海上60mくらいあるので最高に気持ちが良い。

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橋の歩道を行き着いた先、右手に水上競技場が見えてきた。なんか味気のない建物。
歩行者が行けるのはここまで、つまり橋を歩いて渡りきることは現在のところできないように通行止になっている。
しかもこの競技場がある中防(中央防波堤)にはエレベーターがあるのだが、これも使用禁止になっていて、歩行者はきた道を戻ることしかできない。

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若洲公園サイクリングロードを戻り、葛西臨海公園、浦安の舞浜、運動公園まで足を延ばしてあとはまっすぐ帰宅。

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この地図のオレンジライン、一番下のところがゲートブリッジ、引き返した地点。
ここをまっすぐお台場まで行ければ近いのだが、やむなく遠回り、長距離になってしまった。

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2019/11/25

ロマン派のレパートリー(その3 シューベルト)

ロマン派の作曲家については、自分の個人的な興味からまずメンデルスゾーンを調べてしまったが、音楽史的にはシューベルトを先に取り上げるべきだったかもしれない。というわけで次にシューベルトの曲を見てみよう。

Franz Schubert (1797-1828)

ロマン派音楽の開拓者。この人も天才肌で早くに夭折したがたくさんの作品を残しているのはご存知の通り。作品番号のD.はO.E.Deutscheの番号で概ね作曲順に割り振られている。トランペットを含む作品は主に交響曲とミサ曲である。

下記リストは作品名、作品番号、作曲年、トランペットの調性の順に記載

・交響曲第1番 D.82(1813)D(第16倍音まで)
・交響曲第2番 D.125(1814-1815)B/C(第13倍音まで、1stにミ♭あり)
・交響曲第3番 D.200(1815)D(第12倍音まで)
・交響曲第4番 D.417「悲劇的」D.417(1816)C/Es(第11倍音の吹き分けあり)
・交響曲第5番 D.485 (1816)トランペットを含まず
・交響曲第6番 D.589 (1817-1818)C
・交響曲第7番 D.729 (1821)ピアノ譜のみで未完
・交響曲第8番「未完成」D.759(1822)E(第10倍音まで)
・交響曲第9番「ザ・グレート」D.944(1828)C/A(in Cは第10倍音、in Aは第12倍音まで)

・コンチェルトシュトゥック(VnとOrch.のための)D.345(1816)D(第11倍音まで)
・劇音楽「ロザムンデ」D.797(1823)D(序曲)D, E(全曲)

・ミサ曲第1番 D.105(1814)C/F(第12倍音まで)
・ミサ曲第2番 D.167(1815)トランペットを含まず
・ミサ曲第3番 D.324(1815)B(Kyrieにラの音が1回ある)
・ミサ曲第4番 D.452(1816)C
・ミサ曲第5番 D.678(1819-1822)B/C/E(この作品番号以降の曲はTrb付き)
・ドイツ・ミサ曲 D.872(1827)B
・ミサ曲第6番 D.950(1828)B/Es/C

・歌劇「フィエラブラス」D.796(1823)B(序曲)

シューベルトに関しては、時代もベートーヴェンとほぼ重なっているし、トランペットの用法は古典派と全く同じで全ての曲をナチュラルトランペットで演奏することが可能だ。曲につけたカッコ書きにある通り、シューベルトの場合はむしろ若書きの曲の方が難しく、歳をとるにつれて譜面が簡単になっていくのが面白いところだ。特に交響曲の第1番などは最初から終わりまで第16倍音(ドの音)が頻発し、これが in Dということはすなわちバッハのロ短調ミサやクリスマスオラトリオと同じ音という、ラッパ吹きに喧嘩でも売っているのかという曲でびっくりしてしまう。おそらくラッパという楽器のことはあまり知らず、「出る音域はここからここまでなのね、ハイ」って感じで作ったんだろうけど。

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   譜例:交響曲第1番冒頭 1st Trumpet in D


実際に音にしてみてラッパのポテンシャルに失望したのか、ラッパ吹きからクレームがついたのか、未完成やグレードでは最高音も第10倍音(ミ)まで(グレートのin Aの12倍音もC管ならミだしね)という"優しい"扱いになってる。

自然倍音以外の音、D.125のミ♭の音(2回だけ)と、D.324のラの音(1回だけ)についてはどう解釈したらいいだろうか。考えられるのは、①シューベルトが勘違いした ②写譜屋が間違った ③楽譜上のしみか汚れの読み間違い くらいかなあ。でもそれらの音は和声的には問題がないので、多分③はないだろうし、同じ理由で②も考えにくい。よって①の可能性かなと思っているんだが。ベートーヴェンとは違い、シューベルトにとってトランペットはそんなに重要な楽器ではなかったようだし、ちょっと筆が滑ったのかな。

この通りトランペットが地盤沈下する一方で、1820年代に作られた曲(ミサ曲第5番6番、未完成、ロザムンデ、ドイツミサ、グレート)ではトロンボーンが大抜擢されており、テーマの提示からコラールの厚み、クライマックスでの強奏に到るまで、縦横無尽に活躍する。金管楽器のオーケストレーションでは通常ホルンが1番というのが定番なのだが、シューベルトの場合はその位置にトロンボーンが座っていると言っても過言ではない。アルト、テナー、バスと声部が揃っていて、おまけにスライドのおかげで完璧な和音を奏でることができるというその長所を歌曲作家のシューベルトが愛さないわけはないもんなあ。

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2019/11/22

ロマン派のレパートリー(その2 メンデルスゾーン)

さて、ではメンデルスゾーンの曲を見てみよう。

Felix Mendelssohn (1809-1847)

ご存知、神童にして38歳で夭折した天才作曲家。オペラを含めた管弦楽曲の作曲は早くも1820年(11歳)から始め、晩年は健康を害したため1845年あたりで創作が終了している。先のバルブシステムの開発の歴史と重ね合わせると、ちょうどトランペットが変化する時期に作曲活動をしていたと言えなくもない。

編成にトランペットを含む主な作品を作曲年順に並べると以下の通り。

○ 交響曲 第1番 Op.11(1824)C
○ 序曲「真夏の夜の夢」Op.21(1826)E
○ 序曲「トランペット序曲」 Op.101(1826, 改訂1833)C
○ 序曲「海の静けさと幸ある航海」 Op.27(1828, 改訂1834)D
× 交響曲 第5番「宗教改革」 Op.107(1830)D, Es
○ 序曲「フィンガルの洞窟」 Op.26(1830, 改訂1832)D
× 交響曲 第3番「スコットランド」 Op.56(1831, 改訂1842)C/D
○ ピアノ協奏曲 第1番 Op.25(1831)D
○ 交響曲 第4番「イタリア」 Op.90(1831-33)D/E
△ 序曲「美しいメルジーネの物語」 Op.32(1833)B
○ オラトリオ「聖パウロ」 Op.36(1834-36)H/C/D/Es/F
△ ピアノ協奏曲 第2番 Op.40(1837)D
× 序曲「ルイ・ブラス」 Op.95(1839)C
× 交響曲 第2番「賛歌」Op.52(1840)B/D/Es
○ 行進曲ニ長調 Op.108(1841)D
× 劇音楽「真夏の夜の夢」 Op.61(1842)C/D/E
○ ヴァイオリン協奏曲 Op.64(1844)E
△ オラトリオ「エリア」 Op.70(1845-46)A/B/C/D/Es/E

曲名、作品番号の後のカッコ内が作曲された年、その後のアルファベットは必要とされる調性の管を記載した。
(曲名及び作曲年度、改訂年度については三省堂の「クラシック音楽作品名辞典」に従った)
そして曲名の頭についている○△×は、次の通りの区分である。

○ 従来の古典派と同じ楽器の使用法にとどまるもの。すなわち全て自然倍音で吹けるように作曲してある。
 なお、ここでの自然倍音にはシのフラット(第7倍音)とファのナチュラル(第11倍音)を含む。
△ 上記の自然倍音に加えてごく一部それ以外の音を含むもの。
× 自然倍音以外の音をしばしば含むもの。

△と×が多いように見えるが、具体的にパート譜を見るとわかるのだが、基本的にメンデルスゾーンはトランペットを古典派と同様の扱い方にしている。つまり例外部分は意外と少ない。

例外的使用法の△印と×印の曲をより詳しく見てみよう。

△のメルジーネとピアノ協奏曲で使われる自然倍音以外の音はただ1つで、ミ♭(第5倍音の半音下の音)だけである。またエリアでの例外音はシのナチュラル(第8倍音の半音下)の音のみ。これらについてはベルを手でかざすストップ奏法を用いたか、あるいは素早く管を抜いて音を下げることができたインベンション・トランペットを用いたかのどちらかであろう(実際筆者がエリアを演奏した時もインベンション・トランペットで充分対応できた)。

次に×がついている5曲について。

・「宗教改革」ではD管で下の方から、ミ♭(第5倍音の半音下)、ラ(第7倍音の半音下)、シのナチュラル、レ♭(第9倍音の半音下)、ミ♭(第10倍音の半音下)の5音。いずれも自然倍音から半音下げの音なので、インベンションで対応できなくもない。
・「スコットランド」ではC管でラの音(4楽章)、D管で下のシ(第4倍音の半音下)、ド♯(第4倍音の半音上)、上のシ(第8倍音の半音下)、ミ♭(第10倍音の半音下)(いずれも第1楽章)の5音。この中ではド♯が厄介な音でインベンションでもストップ奏法でも出すことができない。
・「ルイ・ブラス」はこの中で唯一特殊な使い方がされている。というのは、下のド(第4倍音)から上のソ(第12倍音)まで、二分音符で順次スケールで上行する部分があるのだ。これはバルブトランペットでなくては吹けないだろう。
・「賛歌」ではB管でラとシ(それぞれ第7倍音及び第8倍音の半音下)、D管でシ(第8倍音の半音下)、Es管でレ(第4倍音と第5倍音の間)が出てくる。この中ではレの音の処理が問題になる。
・作品番号61の「真夏の夜の夢」。これは劇音楽で複数の曲から成っているが、自然倍音以外があるのは、有名な結婚行進曲でのシのナチュラル(第8倍音の半音下)の音を除けば、1曲目のスケルツォに限られている。音としてはラ♭(第7倍音の全音下)、シのナチュラル、そして上のミ♭(第10倍音の半音下)の3つ。

以上みた通り、×グループの5曲も3種類に分けられるようだ。すなわちインベンションやストップ奏法でなんとか対応できそうなもの(宗教改革)、明らかにバルブシステムを必要とするもの(ルイ・ブラス)、そしてバルブがなければ出せない音はあるが、そこまで頻出しない(1音だけとか)ので楽器の選択が悩ましいもの。作曲年を見るとルイ・ブラスは1839年、悩ましい曲たちもスコットランドこそ1830年だが、それ以外は40年代の作となっていて、ペリネシステムを含め、ある程度バルブを備えた楽器が出てきていてもおかしくはない頃に作られている。

ただし、上記の議論とは別の問題として、今回僕が発見(?)して注目しているのは、この最後のカテゴリーに入る曲の中でも「真夏の夜の夢」のスケルツォにおけるトランペットの扱いについてなのだ。今まで検討してきた曲からすれば、非自然倍音の音自体は似ているのだが、不思議なのは、これが161小節目から182小節目まで(練習番号で言えばGの3小節目からHの4小節目まで)のわずか20小節ばかりの間に集中しているという点だ。

 Midnightsummer

しかもスコアを見るとこの部分はホルンのパートと全く同一となっている。あくまでも仮定の話だが、この部分、メンデルスゾーンがオーケストレーションに当たって勘違いをしたか、あるいは写譜した者が誤ってホルンパートを写譜してしまったかのどちらかではないか、というのが僕の推測だ。ちなみに、この曲の出版はライプチヒのブライトコップフ&ヘルテル社(1848年初版)だが、手元のIMSLPのスコアで見ると、ブライトコップフ版もペータース版もどちらも同じ記譜になっている。

この点についてはもうすでにどこかで議論されているのだろうか。ついでに気になったので、世の中の演奏がどうなっているか、確かめて見た。自分の手元にあるCDは次の4種。

クーベリック/バイエルン放送管弦楽団(1964)
デュトワ/モントリオール管弦楽団(1986)
小澤征爾/ボストン交響楽団(1992)
ヘレヴェッヘ/シャンゼリゼ管弦楽団(1994)

ある程度予測はしていたが、最初の3つの演奏は楽譜通りの演奏だった。僕が確かめたかったのは最後のピリオド楽器での演奏(シャンゼリゼ管)。吹くのか吹かないのか、と興味津々で聴いてみたところ、どうやら自然倍音の音のみ吹き、それ以外の音は吹いていないようであった。なるほどね、そういう対応もあるかと納得。

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ロマン派のレパートリーについて(その1 バルブシステムについて)

クラシックのレパートリーにおいて、どこまでナチュラルトランペットが使われていたか(あるいはどこまでナチュラルで演奏可能か)を調べると、一番悩ましいのが古典派からロマン派への過渡期、すなわち19世紀前半の曲ということになる。アプローチの方法としては2つ考えられる。つまり、1つは楽器自体の改良や変化(発展という言葉は敢えて使わないことにしよう)から見る方法、もう1つはスコアに書かれた楽器の使用法から見る方法だ。最終的にはその2つを合体させて判断することになるんだろうとは思うけれど。

 

まずは楽器の変化について

トランペットで自然倍音以外の音を出そうという試みにはいくつかのアプローチがあった。初期のものとしてはホルンと同様のストップ奏法によるもの、ばね仕掛けのスライドを取り付けて音を下げるもの、それから楽器に穴を開けてキイを取り付けたキイ・トランペット。しかし、ストップ奏法とスライドトランペットは半音階を全て演奏することはできなかったし、キイ・トランペットは半音階こそ出せたものの音色などの問題から広く普及するに至らなかった。結局のところ、オケで満足にメロディーを吹けるようになるためには、現在使われているピストンやロータリーなどのバルブシステムの出現を待つしかなかったのである。では、それらはいつ発明されたのか、代表的なタイプ5つとその構造を以下に示す。(年号と名前はそのパテントを取得した年と人名、国名)

1. シュトルツェル・バルブ(1814-1816, Heinrich Stölzel, Germany)
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2. ロータリー・バルブ(1814-1816, Friedrich Blühmel, Germany)
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3. ウィンナー・バルブ(1819, Christian Friedrich Sattler 他, Germany)
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4. ディスク・バルブ(1838, John Shaw, England)
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5. ペリネ・バルブ(1839, François Périnet, France)
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1.のシュトルツェル・バルブは短命に終わって普及はしなかったが初期のコルネットに多く採用されたタイプだ。2.のロータリー・バルブと3.のウィンナー・バルブは現在も使われているが、ウィンナータイプは今ウィンナホルンに残るのみとなっている。4.のディスクバルブはシュトルツェルと同じく広まらずに廃れてしまった。そして5.のペリネ・バルブが現代で最も使われているピストン式のおなじみのバルブである。

別の記録ではシュトルツェル・バルブを使った最初のコルネット(Cornopean)が売り出されたのが1825年頃、そして1827年にはパリのオペラで初めてバルブトランペットが使われたという記録もある。

 

さて、本稿のタイトルを「ロマン派のレパートリーについて」としたのだが、そもそも以上のようなことを調べようと思ったのは、たまたまメンデルスゾーンの曲を見て疑問が膨らんできたからなのだった。というわけで、今度はメンデルスゾーンがトランペットをどう扱ったかを見ることにしよう。(以下その2に続く)

 

参考文献:
Elisa Koehler; Fanfares and Finesse
Elisa Koehler; A Dictionary for the Modern Trumpet Player
T.Herbert, A.Myers, J.Wallace; The Cambridge Encyclopedia of Brass Instruments(図表も)

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