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2020/04/17

CDその240 Alison Balsom Royal Fireworks / Balsom Ensemble

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カテゴリ: Trumpet Ensemble

タイトル: Alison Balsom Royal Fireworks

演奏団体: Balsom Ensemble

Trumpet: Alison Balsom               
               David Blackadder
               Wolfgang Gaisböck
               Franz Landinger
               Adam Wright
               Adrian Woodward
Timpani : Robert Howes

収録曲目: Music for the Royal Fireworks HWV351 (George Frideric Handel)
               Sonata in D Z850 (Henry Purcell)
               Jesu bleibet meine Freude from BWV147 (Johann Sebastian Bach)
               Trumpet Concerto in D (Georg Philipp Telemann)
               Suite aus dem Weihnachts-Oratorium BWV248 (J.S.Bach)
               Music for the Funeral of Queen Mary II (H.Purcell)

録音年月:2019.8 Hampstead, London (UK)
レーベル: Warner Classics 0190295370060

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HMVはこちら

コメント:前回のクリスマスアルバムから3年、人気のアリソン・バルサムの新譜である。トランペットアンサンブルの曲がタイトルの王宮の花火のほかバッハとパーセルで都合4曲、バルサムのソロの曲がパーセルのソナタとテレマンのコンチェルトの2曲収録されている。

まずソロの曲から見てみよう。テレマンのコンチェルトは僕がエクルンドのCDを聴いてノックアウトされ、自分もバロックトランペットに挑戦するきっかけとなった曲だ。バルサムは無難に上手い。そこでふと思った。もし僕が最初にこれに出会っていたらやっぱりエクルンドの時と同じようなショックを受けただろうか。多分そうかもしれない。でも、残念ながらこの数年の間に耳が肥えてしまったのか、上手なトランペット吹きもずいぶんと増えたし、マドゥフのように純正ナチュラルの演奏まで知ってしまった今となっては、特別な演奏にはもはや聞こえてこない。試しに初心に返ってエクルンドの演奏と聴き比べをして見た。うーむ、やっぱり全然違う。エクルンドの演奏の方が断然光っている。思うに、彼女の演奏には残念な点が主に2つあって、一つは高音時の音の伸びやかさが足りないこと。これは相変わらずモダンのマウスピースを使っていることに起因していると思う。もう一つはアレグロ楽章で明白だけれど、テンポの取り方がオンビートでノリが悪いことだ。鮮やかに吹いているようでいても聴いている方は切迫感があって窮屈な感じがしてしまう。

アンサンブル曲はどうだろう。ヘンデルのトランペットアンサンブルバージョンと言えばベルリンの連中のCDが楽しくて良かった。あっちは水上の音楽で王宮の花火は入ってなかったけれど、これも聴き比べをしてみよう。バルサムアンサンブルではオケのオーボエパートやフルートパート(バッハのクリスマスオラトリオなど)をトランペットに吹かせるようなアレンジになっているのだが、これがアンサンブルというよりもちょっとアクロバット的に過ぎてちょっと行き過ぎのように感じる。その点アンサンブルベルリンのアレンジは2つのトランペットコアーを対比させつつ、両翼で装飾などを競い合う作りになっていて、あくまでも自分の嗜好の問題ではあるが、こちらの方が好ましい。ついでに言うと、バルサム盤ではバッハのカンタータ147番からの有名な「主よ、人の望みの喜びよ」のコラールも入っているのだが、本来四部合唱のコラールの部分をトランペットアンサンブルにアレンジしている。ところが、ナチュラルの倍音の制約を少なくするために曲のピッチを4度上げにすることでその問題解決を図っている。ピッチが4度も上がるともはや同じ曲には聴こえないのだが、これはアリなのだろうか。せっかくこのアルバムにはボーカルアンサンブルも参加している(ただし演奏は1曲のみ)のだし、このコラールといい、同じくバッハのクリスマスオラトリオといい、歌手を起用してもいいんじゃないかと僕は思うのだが(例えばクイケン/ラ・プティット・バンドの同曲は各声部一人でレコーディングされている)。というか、そもそもクリオラは器楽曲じゃないんだし。

毎回、彼女のCDが出るたびに、いろいろと腑に落ちないところがあってモヤモヤとしてしまう。

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