ロマン派のレパートリー(その5 カール・マリア・フォン・ウェーバー)
Carl Maria von Weber (1786-1826)
ウェーバーの音楽はロマン派に属するが、トランペットの使用法は完全に古典派を踏襲していて特に目新しいことは見当たらない。作品の全てがナチュラルトランペットで演奏可能だ。
トランペットの編成は2本のペア。オクターブや5度あるいはユニゾンで使われることがほとんどで、最高音は第12倍音(上のソの音)まで、第7倍音(シのフラット)も使われていない。ベートーヴェンの方がよっぽど革新的な使い方をしているくらいだ。
主な作品の作曲年および楽器の調性は下記のリストの通り。
・交響曲No.1 Op.19(1807) C
・クラリネット協奏曲No.1 Op.73(1811)F
・クラリネット協奏曲No.2 Op.74(1811)Es
・歌劇「アブ・ハッサン」J.106(1811)C(序曲のみ)
・交響曲No.2 J.51(1813)C
・祝典序曲 Op.59(1818)E
・歌劇「魔弾の射手」Op.77(1821)C/D(全曲)
・劇音楽「プレチオーザ」Op.78(1821)C(序曲のみ)
・コンチェルトシュトゥック(PfとOrch.) Op.79(1821)F/C
・歌劇「オイリアンテ」Op.81(1823)Es(序曲のみ)
・歌劇「オベロン」J.306(1826)D(序曲のみ)
プロシア(当時の首都はブレスラウ、現在のポーランド)のホルン奏者、シュトルツェルが最初にバルブを発明したのが1818年だった(こちらを参照のこと)。ウェーバーは音楽家として駆け出しの頃は同じブレスラウにいたけれども、1813年以降はプラハやドレスデンを活動の拠点としていたので、1826年に39歳の若さで亡くなるまでオーケストラで使われる楽器にも変化はなかったのだろうし、従って楽器用法も保守的だったのは当然の帰結なのだろう。
それにしても魔弾の射手のオペラ全曲がC管とD管だけで賄えるなんて、ホルンの活躍ぶりに比べるとラッパの扱いは本当に軽いもんだ。
譜例:歌劇「魔弾の射手」冒頭
(上から4段目が1,2 Horn in F、5段目が3,4 Horn in C、7段目にTrombe in C となっている)
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