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2020/05/25

ロマン派のレパートリー(その10 ビゼー)

Georges Bizet(1838-1875)

随分後の世代になるが、同じフランス人のビゼーにもナチュラルトランペットを想定して書いた曲がある。

・交響曲第1番(1855)2 Tromba (C)(1st,2nd共に2ヶ所シの音がある)
・組曲「ローマ」(1861, 1871改訂)2 Tromba (B/C/Es/E/G)
・「アルルの女」第一組曲(1872)2 Trumpet (C/E), 2 Cornet a Pistons (A)
・序曲「祖国」(1873)2 Trompettes (G/C/A), 2 Pistons (B)

ビゼーは1860年以降もナチュラルトランペットを愛好していたと見える。序曲「祖国」における Pistonsはトランペットなのかコルネットなのかははっきりしないが、短管楽器であることは間違いないだろう。この曲のスコアには興味深いコメントがあった。曲の途中に 1st Trumpetのソロがあるのだが、そこに「オーケストラにトランペットがない場合は1st Pistonが代わりに演奏する」とあるのだ。つまりこの頃には作曲者が想定していてももうオケに長管のナチュラルトランペット吹きがいないという状況が現出していたということなのだろう。ちなみに同じ頃作曲されたオペラ「カルメン」(1873-74)はPiston2本(A/B)のみでありナチュラルは起用されていない。

 Photo_20200527113501
  譜例:「祖国」該当部分
     (上からTrompette in G, Trompette in C, Pistons in B, Trombones)

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