「斎藤秀範バロック・トランペット コンサート」
BCJなどで活躍されている斎藤秀範さんのリサイタルを聴きに行った。
会場はルーテル市ヶ谷ホール、何度か行ったこともあると高を括っていたら、なんと迂闊にも市ヶ谷からの道を間違ってしまい、開演時刻に間に合わず、1曲目はロビーで聞くことになってしまった。2曲目のパーセルから会場に潜り込む。
この催し、斎藤さんの1回目のリサイタルということで、サブタイトルに "Baroque Trumpet and... vol.1"とある通り、バロックトランペットにゲストを招いて室内楽を披露するという趣旨らしい。初回のゲストはソプラノの松井亜希さん。チェンバロ伴奏に重岡麻衣さん。
今まで僕が「これしかない」シリーズでやってきた曲ばかりなので、曲に馴染んでいるのはさることながら、曲の部分部分での演奏者の斎藤さんの心理状態も多少推測できたりして純粋な鑑賞の妨げになってしまうのは仕方がないところ。一体に、どうも自分がやっている楽器のコンサートって音楽以外のいろんなことが気になって素直に楽しめない厄介な面がある。
曲は斎藤さんのMCにあった通り、ほとんどがD管の曲だったが、(記譜の)F, Fis, G, A のピッチがいずれもシャープ気味(特にFが)で、ずっとふわふわしている感じ。でも曲の終わりは C(実音D)でちゃんと着地してホッと安心する。ガルッピで使ったC管はそこまで極端ではなかったのだが。
休憩後後半にテレマンを持ってきていて勇気あるなぁと思ったらアダージョで始まるあの有名な曲の方ではなかった。トランペットは1曲を除いて出ずっぱりだったけれど、緩徐楽章の休みや譜面ヅラを考えると無理のない選曲だと思った。欲を言えば全体にコンセプトが欲しかったかな。イタリアもの、イギリスもの、ドイツものとごっちゃになっていて、「はい、演奏したい曲並べました」っていう体で、バロックトランペットをまとめて聴くのが珍しいという状況だから仕方がない面もあろうが、今後シリーズ化するならそれぞれの回に何らかのテーマがあったほうがいいように(余計な御世話ながら)思ったことだった。
ソプラノの松井さんの歌はメリスマも装飾も見事で聞き応えがあった。トランペットもそれに応えてセラフィムが一番華やかかつ華麗な演奏だった。
会場の入りは3割くらい?なぜか聴衆はほとんどが女性で、斎藤さんのイケメン人気か、松井さん、重岡さんのファンか。
いわゆるラッパオタク的な若い人たちは少なくて、知り合いのトランペット奏者の誰にも遭遇しなかったのにびっくり。
「斎藤秀範バロック・トランペット コンサート」
2022年4月5日19:00開演
ルーテル市ヶ谷ホール
プログラム
1. コレッリ/トランペット・ソナタ ニ長調
2. パーセル/トランペット・ソナタ ニ長調
3. A.スカルラッティ/"Mio tesoro per te moro"
4. パーセル/"When I am laid in earth"(ソプラノソロ)
5. A.スカルラッティ/"Si suoni la tromba"
ー 休憩 ー
6. テレマン/トランペット・ソナタ ニ長調
7. ガルッピ/"Alla tromba della fama"
8. ヘンデル/"Let the bright Seraphim"
9. ヘンデル/組曲 ニ長調
アンコールはバッハのカンタータ第51番から終曲のアレルヤだった。斎藤さんは1曲目がやりたかったようなのだが、松井さんから終曲って言われたらしい(この辺りお二方の気持ちが推察できて面白い)。
このリサイタル、第2回目は9月に予定しているそうだ。
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