久々の楽器購入!
昨年、バロックトランペットを新調したくなって注文していた楽器がようやく完成して手元に届いた!
製作者はオランダのMartinus Geelen。
彼はオランダバッハ協会や18世紀オケで活躍しているトランペット奏者で、演奏の傍ら楽器製作も本格的にやっている。ホームページはこちら。
注文したモデルはホームページにあるスタンダードタイプのMOD+モデルで、モダンピッチのDとC、バロックピッチのDとC。それにモダンのDだけはナチュラルでも吹けるようにホールなしのヤードとそれに対応したマウスパイプも付けてもらった。
次の写真が今回届いたもの。最初は細かなパーツが多くて戸惑ったが、組み立ているうちにシステムがわかってきた。
パーツを具体的に説明すると、(写真の)上から、本体。その左下3本がリードパイプ(うち上の1本はテーパーなしのナチュラルin D用のもの。それ以外では真ん中のパイプに下のパイプを重ねて使用する)。その下左側にある細かなパーツがチューニングビッツ的なもので、リードパイプを重ねる時にその間に挟んで長さを調整するもの。さらに下左側がD管用のクルークとそれに対応するヤードが3本(上から穴なし、D in 440、D in 415)。さらに下側にC管用のクルークとそれに対応するヤードが2本(C in 440、C in 415)。そして一番下のちょっと短いパイプはクルークのエクステンション(in 415用)。
バロックピッチのD管用のパーツを並べ(左側写真)、それを組み立てて完成形となる(右側写真)。
パーツ構成はよく考えられたシステムだと思うし、すごくきっちりとはまる。管を替えるのには、ヤードのセッティングとかに時間がかかるので曲中とかは無理かな。
肝心の音や吹き心地だが、しっかりとした豊かな音だ。ベントホールを開けても音色の変化が少ないのもとても良い(これは製作者が強調していたポイントだった)。しかも音程が正確。今までバロックトランペットとしてメインで使っていたエッガーはその点に不満があったので、狙いは当たって一安心。
ただ、操作上の難点が一つ。それはベントホールの位置だ。マウスピースから一番遠いホールは、僕は今までエッガーの楽器では小指で開け閉めしていたのだが、この楽器は製作者の説明によれば薬指で操作するという設計にしてあり、確かにそうすれば角度はぴったりではあるものの、ちょっと距離的には辛い。小指だとうまく塞ぎづらいという、どちらにしてもカンファタブルではない。オランダ人は体が大きいから薬指でも問題ないんだとは思うが、スイス製のエッガーはその点全く問題がなかった。解決策としては、穴を開ける面を移動させるか、あるいはこの穴は塞いだままにして3穴で使うか、多分当面は後者でしのぐことになりそうだ。
細かなことは他にもいろいろあるが、一言でいうと「奏者が作った楽器だな」ということに尽きる。吹きやすい、音程がいい、ツボがはっきりしている。ホームページの説明にもある通り、コンセプト自体がオリジナル楽器にベントホールをつけたという方向性ではないし、作りもモダンな部分(ジョイント部の絞りがないとか、マウスパイプにテーパーをつけているとか)が多々あるけれども、それも「いい演奏をしたい」という方向から作られているからだろう。Markが「僕の楽器を使ってからはみんなエッガーから乗り換えてるよ」という言葉がわかる。やっぱり音にしてなんぼだからね。
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