僕のバッハ演奏記録 vol.6(マイ・フェイバリット・バッハ その1)
なんだかんだ難癖をつけてはいても、トランペット奏者としてはバッハの演奏機会が増えるのは嬉しいものだ。難しい曲なら「ようし、チャレンジしてやるぞ」と思うし、手慣れた曲では「今度はどういう風に工夫しようか」と考える。
そんな中、今回は自分が演奏者として最も好きなバッハの曲について語ってみたい。
数ある教会カンタータの中では、なんと言っても有名な第147番(終曲に「主よ、人の望みの喜びよ」が置かれている名曲)の第1曲目が僕のお気に入りだ。名曲だけにこれをコンサートに取り上げる団体も多いので、自分の演奏回数が多い曲の一つ。
冒頭からトランペットが旋律を吹き、オケのみんなを先導する役割を担っているところが萌えポイントなのに加えて、この曲が in C で書かれていて音域的にも無理がないので歌いやすいことも好きな点だ。
BWV147-1 (2007年6月 スプラアンサンブル)
2006年に残響たっぷりな東京カテドラル聖マリア大聖堂で演奏した動画がこちら
BWV147-1 (2006年3月 シュッツ合唱団)
同じカンタータの第9曲のバスのアリアも捨てがたい
BWV147-9 (同)
使用楽器:4hole long type Baroque trumpet by Egger(以上3曲)
ついでに同じカンタータから誰もが聴いたことのある曲
BWV147-6 (同)
僕が座って演奏しているし、合唱のソプラノと同じ旋律を吹いているので分かりづらいけど、この曲はスライド・トランペットを使用して演奏した。というのも、この合唱曲には自然倍音以外の音が多いからで、多分1723年の当時もスライドトランペットが使われたものと思われる。
使用楽器:Renaissance slide trumpet by Geert Jan van der Heide
教会カンタータの中では、第70番も好きな曲だ。
ラッパらしい戦闘を模したフレーズ(下記楽譜参照)が何度も繰り返し出てくる。それを他の楽器がフォローしているところが聴きどころだ。
BWV70-1 (2008年5月 スプラアンサンブル)
使用楽器:4hole long type Baroque trumpet by Egger
ところでこの冒頭の1小節に出てくるフレーズ、この4分ほどの間にトランペットで何度繰り返されているだろうか?
正解は14回。
バッハに詳しい人はご存知だと思うが、この14という数字はバッハにとって特別な意味を持っている。以下は淡野弓子先生の本からの引用。
「バッハは自分の名前をアルファベットの順序を数に置き換え、B(2)A(1)C(3)H(8)を全部足して14という数を自分の数とし、さまざまな場所でサイン代わりに使ったことはよく知られています。」(バッハの秘密 平凡社新書 P73)
こんな巧みな仕掛けを組み込んでいて、かつ音楽的にも隙のない完璧な曲を作り上げているのがバッハのすごいところだ。
この項、ちょっと長くなったので続きは次回。
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