カテゴリー「コルネットの話題」の27件の記事

2021/04/28

Bruce Dickey のインタビュー


先日、HBS (Historic Brass Society) がオンラインで開催した、コルネットの第一人者Bruce Dickey へのインタヴューがYouTubeで公開されている。(リンク先はこちら

司会はトランペット奏者かつHBS役員のStanley Curtis。
100分を越す長さなので全部を見るのは大変という人向けに、僕が見て面白かったところをかいつまんで紹介しよう。


インタヴューはまずBruce Dickeyのコルネット奏者としてのこれまでの経歴や音楽活動の話から始まるが、40:00くらいからリサーチの話題に移る。

 コルネットが活躍していた17世紀から現存するオルガンなどの楽器、アーカイブスに残っている当時の楽譜、これらの現物に直接触れてその匂いを嗅ぎ、当時の奏者や作曲家に思いを馳せる(インスパイアされる)ことの重要性は大きい、とBruceは言う。これははるか東洋に暮らしている我々には叶わない贅沢だけれども、実際自分の体験でもそう思う(チェコのクロムニジューシュでビーバーやシュメルツァーの譜面を見たときの感動は忘れられない)し、同様の思いをした方は多いだろう。Bruceは「いつも夢見ているんだけど、1610年か1608年頃のヴェニスのサン・マルコ寺院にタイムスリップして、20分でいいから当時の演奏が聴けたらどんなにかいいだろう。多分すごい面食らうだろうけどね」とも言っている。それができないから、いろんな資料や材料をパズルのピースのようにつなぎ合わせて当時を再現する、その飽くなき好奇心がとても大事だということだね。


1:05:00 - バロック演奏のアーティキュレーションについて。
 モダン奏法の代表例として、まず古楽奏法という概念がほとんどなかった時代の(かの有名な)アメリカ3大メジャーオケによるジョバンニ・ガブリエリのCanzon primi toni の演奏(1968年)を紹介し、続いて、近年では同じ曲の同じモダン楽器の演奏でありながらも古楽らしい演奏がなされるようになった例として、なんと日本の松ヶ丘女子高の演奏(2017年のアンサンブルコンテスト)が引用されている。Bruceはfabulousと言って絶賛しているが、実際素晴らしい演奏だと思う。

1:09:00 - コルネット演奏の究極の形は声楽を模倣すること。
 A.ガブリエリのCaro dolce ben mio (オルガン伴奏のコルネットソロ)や最近のBreathtakingのCD(ソプラノのハナ・ブラジコヴァとの共演)などのBruceの演奏を聴きながら、同時に楽譜を参照しつつ、イタリア語をいかに音に載せるか、声楽を模倣するとはどういうことかの実例を示してくれる。とてもわかりやすい。

1:21:00 - Q&A タイム
 参加者からいくつか質問があるが、1:25:00あたりにコルネットメーカーについての質問に対して、Bruceは以下の通り回答している。
「今は北米にもヨーロッパにも多くの優れたメーカーがある。例えば、
- Matthew Jennejohn(カナダ、モントリオール)
- Paolo Fanciullacci(イタリア)
- Selge Delmas(パリ)
- Damien Bandonnet(リヨン)
- Andrew Hallock(オランダ)
- Sam Goble(ケンブリッジ)
- Ricardo Simian(バーゼル)
なんかかな。
Ricardoは3Dプリンターで楽器を作っているけれど、ちゃんと使い物になる。サイトからも注文できるし」

なるほど。僕も知らないメーカーがいくつかある。

 以上の他にもコルネット吹きには興味深い話がたくさんあるので、時間のある方は全編ご覧になることをおすすめします。

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2018/10/02

データベース完成!

ようやくコルネットCDのデータベースが完成した。

これから徐々にブログにアップするのだが、カテゴリー分けと順番、検索をどうするかで未だに悩み中。
あまり悩んでばかりいても先に進まないので、以下のような順番で順次アップすることにした。

1. Cornetto Renaissance(1977以前の先人たちの偉業から)
2. コルネットソロのCD
3. ガブリエリに代表されるコルネット・サックバットアンサンブルのCD
4. ソナタ/カンツォンなどのコルネットが活躍する曲を収めたCD
5. ダンス曲主体のもの
6. 作曲家(モンテヴェルディやシュッツなど)主体で
7. 残りを適当に(アンサンブルごととか作曲家順とか)

よし!がんばろ。

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2018/09/27

データベース作成中

コルネットのCDを整理してみたところ、現時点で326枚持っていることが判明。これって世に出回った同種のCDのどれくらいをカバーしているんだろうか。希望的観測では8割くらいかな?

とりあえず地道にデータ整備を進めよう。

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2018/09/20

CDデータベース化

ようやくコルネットの演奏が入っているCDのディスコグラフィ作成に着手。数年前から企画だけはあったのだが、なんだかんだで先延ばしになっていたのだった。

まずはデータベースが必要ということで、データベースのソフトを入手し、おとといから入力を始めた。
とりあえず50枚入れてみた。
う〜む、これは時間がかかりそうだわ。

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2016/07/28

J.S.バッハのコルネットの使用法(まとめ)

J.S.バッハのカンタータにおけるコルネット(ツィンク)の使用法についてまとめてみた。

(あらかじめ告白しておくと、調べ始めたときは何か面白い発見でもあるかなと期待していたのだが、結果は単に事実関係をまとめただけに終わっているので内容はあまりないかも)

さて、バッハのカンタータでコルネットが使用されたと思われる曲は全部で13曲ある。これはスコアまたはパート譜にコルネットと明記されているものの他、楽譜にはトロンボーンと記載されてはいるものの、音域などからコルネットが充てられただろうと推測されるものを含んでいる。
この13曲を初演日(またはコルネットが追加されたのが再演時であればその日)の順に並べたのが次のリストである。

順番 BWV    曲番        年月日          金管の編成  ピッチ    備考
        21        9          1723/6/13       Tb3              C    初演は14/6/17
  1      25       1, 6       1723/8/29      Cor1, Tb3     K    Tbの譜面はC
  2      60       1, 5       1723/11/7      Cor1             C    Cornoと記載
  3      64       1, 2, 4   1723/12/27   Cor1, Tb3     K
  4      23        4          1724/2/20      Cor1, Tb3    C    初演は23/2/7
  5       4       2, 3, 8   1724/4/9       Cor1, Tb3     C    初演は07/4/24?
  6       2       1, 6       1724/6/18      Tb4              C
  7    135      1, 6       1724/6/25      Cor1, Tb1     C    Tb1はBass Trb
  8    101      1, 7       1724/8/13      Cor1, Tb3     K
  9     38       1, 6       1724/10/29    Tb4               C
10    121      1, 6       1724/12/26    Cor1, Tb3     C
11    133      1, 6       1724/12/27    Cor1             C
12     28       2, 6       1725/12/30    Cor1, Tb3     C
13    118                    1736頃        Corno2, Cor1, Tb3   C

注)ピッチの欄のCはChorton、KはKammertonの略。
  Chorton (a=466) は Kammerton (a=415) よりも全音高い。
  弦楽器はKammertonなのでChortonの譜面は他のパート譜に比べると全音低く記譜される。
  なお、当時のコルネットは大きく分けてa=466の楽器とa=440の楽器が併存していたが、どちらかというと466の楽器の方が多かった。従って演奏に使用するにはChortonで記譜されていたほうが実用的であった。また、トロンボーンの場合アルトトロンボーンはa=440だとEs管だがa=466だとD管、テナートロンボーンはa=440だとB管だがa=466だとA管ということになる。これもそれぞれD管、A管とみなせばChortonが有利となる。
  BWV60に関しては、パート譜にCorno(ホルン)と記載されているが、音域がソプラノパートであること、Chortonで記譜されていること
(ホルンはChortonの楽器ではないので)からCornettoの誤記と思われる(E.H.Tarr教授の説)。なお、BWV21はトロンボーン3本でコルネットは含まないが期日が近いので参考までにリストに加えてある。

さて、上記のリストから判明することを列挙してみよう。

1. 期間が短い。最後の二つBWV28とBWV118を除くと1723年6月から1724年12月の1年半である。バッハはミュールハウゼン、ケーテン時代を含めると1707年からカンタータを作曲しているし、ライプチヒでも1740年代中盤まで作曲を続けている。この30数年間という長い期間中のたった1年半にほとんどが集中している、というかそれ以後は使っていないのは極めて特徴的である。

2. 起用法について。コルネットとトロンボーンが使われている曲は全てコラールの曲であり、合唱の補強を目的として使われている。これはトランペットがアリアやコラール以外の合唱曲に独立した旋律楽器として使われているのと全く違う使用法である。

3. 同一の曲ながらあとから追加された例がある。BWV4, BWV21, BWV23は初演作曲時には金管楽器を想定していなかったが1723年6月以降に再演したときにはこれらのパートが追加されている。

なんだか当たり前すぎて結論と言うのもおこがましいが、以上のことから推察されるのは以下のようなことであろう。

・なぜ1723年6月からなのか?
バッハが1723年の5月にライプチヒのトーマス教会カントルに赴任したとき、トーマス教会の合唱団は非力であった。音程すらろくにとれない状態だったとの記事もある。これを補強する目的で加えられたのでちょうどこの時期からだと考えられる。BWV23が判りやすい例だ。この曲は当初1723年2月にトーマスカントルの採用試験用に提出した曲であり、そのときは金管無しだったのだが、1年後の再演時に加えられているのはカントルとしてのバッハの判断だったのだろう。

・なぜ1725年12月までなのか?
バッハがライプチヒの楽団および合唱団の充実度について、ずっと不平を言っていたのは有名な話であるが、さすがに着任1年半も経つと不満足ではあってもそれなりのレベルに達してきたので合唱団の補強は不要になってきたのだろう。従って1725年以降のカンタータにはコルネット/トロンボーン隊が用いられていない(BWV118は例外)。これはもともと第3年巻(1725年)の曲が少ないこととは関係なさそうだ。

・誰が吹いたのか?
合唱団の四声部(ソプラノ、アルト、テナー、バス)のすべてを補強するには、コルネット、アルトトロンボーン、テナートロンボーン、バストロンボーンの4本を充てるのが音域、音色的にも最適だったし、実際そのように使われている。奏者にはライプチヒの都市楽師たちがエキストラ的に加わったのであろう。そのうちの一人はトランペットの名手であったゴッドフリート・ライヒェ(コルネット掛け持ち)だった(ライヒェの在籍期間は1719-1734)。
なお、1723年5月のトーマスカントル着任直後のカンタータはBWV75とBWV76で、どちらもトランペット1本が活躍する曲であり、これは恐らくライヒェが吹いたはず。その翌月のBWV21は譜面上トロンボーン3本であり、これは楽譜通りコルネットは入っていなかった可能性が高い。ライヒェのコルネット奏者としての起用は8月に補強が4声部になった時点(BWV25)からではなかろうか(この点は推量の域をでないが)。

・なぜコラール限定の使用法だったのか?
バッハは、その使用法からみて、他の楽器とは異なって、コルネットやトロンボーンをソロ楽器としては全く認めてなかったようだ。必要なときにちょっと助けを借りたけど不要になったら見向きもしなかった。それは当時の奏者の腕にもかかわっていることなのかもしれない。これは1700年頃にはヨーロッパの主要都市でコルネットが時代遅れの遺物とみなされていた状況では仕方のないことだろう。

参考資料:CarusのBach for Brass vol.1、vol.2
     バッハの教会カンタータを聞く HP  ほか

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2015/09/11

Bruce Dickey.com

コルネットの第一人者、ブルース・ディッキーの新しいホームページが出来たらしい。

ディスコグラフィとか動画、試聴もできて素晴らしい。
コルネットに興味ある人は是非訪れてみて下さい。

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こちらは同じテイストのコンチェルト・パラティーノのHP

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2014/12/05

コルネット逆曲がりの謎

先日BCJのシュッツの演奏会を聴きに行った時のこと。

ゲストで来ていたコンチェルト・パラティーノのコルネット奏者、Jamie Savanの使っていた2本のコルネットのうち1本が極めて珍しいものだった。というのは、通常コルネットは歌口から右側に緩やかにカーブを描いた形なのだが、その1本は逆に左側にカーブしていたのだ。いや、昔の図版にないわけではないのだが実物は初めて見た。

楽器が右側にカーブしている訳は「昔の角笛の名残だ」とか「指穴間隔が広いから曲がっていたほうが右薬指が指穴に届きやすいから」など諸説がある。特に後者の説に立つならば逆向きのカーブだと吹きにくいのではないか。

演奏会が終わって彼に直接訊いてみたところ、「いや、それが意外と問題ないんだよ」とのこと。実際に楽器にさわらせてもらったが構えてみると確かに違和感はない。ピッチがコアトーンのa=466だったからコルネットが小振りなせいもあったかもしれない。慣れないのはビジュアルだけの問題だ。ちなみに楽器製作者はマッカーンだと言っていた。

そのときは深く考えてみなかったんだけれど、うちでコルネットをさらっていて「なるほど」と腑に落ちた。つまり、逆向きになっていることで左手の薬指はノーマルな楽器より孔を押さえやすくなるからだ。それが右薬指のハンディより大きい気がする。なぜならば左手は親指も孔を押さえなくちゃいけないから固定されているのに対し、右親指は楽器を保持するだけの役割だから位置はフリーに決められる。意外と人間工学的に優れた形状だったというわけだね。

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2014/08/05

心技体終了

心技体(アントネッロ門下生の発表会)終了

個人的な記録を見てみると前回この心技体に出たのは2009年12月、つまり4年半ぶりということになる。しかもその時はリコーダーで出たのだし、その前の回はキイトランペットだった。コルネットでのエントリーはというと8年前の2006年までさかのぼらないといけない。もうそんなに経ったのか。光陰矢の如し。

曲は今まで人前で演奏したことがなくて、かつ難曲じゃなくて、っていう基準からチーマのヴァイオリンのためのソナタを選んだ。けれどコルネットで演奏するのに難曲じゃない曲ってないやね。レッスンのときに「初心に帰ってこれ(チーマ)にしました」って言ったら「これは初心に帰るってレベルの曲じゃないよね」と師匠に一喝されてしまった。はは。
確かにさらうほどに難しいところが見つかる。フォンタナもそうだけど、ヴァイオリンのための曲をコルネットでそれなりに様にするのは至難の業だ。

泥縄と表現するのがまさにぴったりの状況で本番を迎える。当日のリハはパスしたけれど、会場(近江楽堂)の響きと伴奏者に助けられてなんとか練習した成果くらいは出せたかな。あ、それから聴衆のみなさんの暖かい雰囲気にもすごく力をもらった。
ただ、いつものことながらあとで録音を聴いてみると、ダメなところはダメだし、音程の定かじゃないところがゴマンとあるし、反省点は多い。
ま、ここをスタートにまたコルネットも練習再開だね。

発表会全体について触れると、今回も歌、リコーダー、コルネット、ハープにガンバにチェンバロ、アンサンブルと全部で37組のバラエティに富んだエントリー、いつもながら熱演の連続で一つ一つが聴きごたえがあり4時間があっという間に過ぎた。
それにしても回を追うごとにハープのお弟子さんが増えている。まりえさんの最近の布教の勢いを垣間みた思いだった。

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2012/10/20

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2009/08/15

コルネットのコンファレンス

今年の10月終わりにドイツでコルネット/セルパンのコンファレンスが開かれる。

場所:Stiftung Kloster Michaelstein
期間:10/23 - 10/25
テーマ:コルネットーその歴史と楽器、製作について
内容:レクチャーとコンサート
参加予定:ブルース・ディッキー、ウィリアム・ドンゴワ、ローランド・ウィルソン、スチュワート・カーター、ダグラス・ヨー(セルパン奏者)など
参加費用:聴講25ユーロ、コンサートは15.5ユーロなど

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